花粉症が悪化しやすい体質を改善するタイプ別食養生 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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花粉症が悪化しやすい体質を改善するタイプ別食養生

2020.02.18 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

鼻のムズムズ、目のかゆみなどの症状で春を感じるという方も多いのではないでしょうか。
現代人を悩ませる「花粉症」ですが、約二千年前の医学書「黄帝内経」(素問)に、「鼽嚔(きゅうてい)」(突発的なくしゃみ・鼻水などの症状)と記載されており、いわゆるアレルギー性鼻炎は昔からある病気でした。
しかし、「花粉症」が現代病とされているのは、植林されたスギ・ヒノキの問題だけではなく、車の排気ガス、生活の不摂生、過労、ストレスなどが原因で発症率が高まっているためとも言われています。

今回は、「花粉症」を悪化させやすい体質に着目して、おすすめの食養生・レシピをご紹介します。

中医学で解説!人によって花粉症の症状が異なる理由

例えば、ホコリの多い部屋に入ったときくしゃみが止まらない人もいれば、一度のくしゃみで治まる人もいます。
このような差が生まれるのは、免疫機能である「正気(せいき)」のバランスの差と中医学では考えます。

まず、邪気は体の表面から侵入します。特に鼻は「肺の竅(きょう)」(肺の穴)とも呼ばれ、邪気が侵入しやすい部位です。邪気が侵入するとくしゃみ・鼻水のような邪気を外に出すための症状が表れます。
しかし、正気の不足により邪気を出しきれず、肺機能のバランスが崩れると、水分代謝に影響し、鼻水が止まらない・鼻づまり・たんが出るなどの症状に進行してしまうのです。

症状を悪化させないために、正気のバランスを整えるには、水分代謝と関係の深い「肺」、「脾胃(ひい)」(胃腸)、「腎」を健やかに保つことが大切です。食事の乱れ、過労、寝不足、ストレスなどの生活習慣が続くと、これらの臓腑の気を消耗し、体の抵抗力を下げる原因になります。また、体表のバリア力である「衛気(えき)」の不足にも繋がるため、邪気が侵入しやすい穴だらけの体になってしまいます…。

花粉症を悪化させやすい体質

花粉症が悪化しやすい人は基本的に「気」が不足している「気虚(ききょ)」タイプと言えます。花粉症の症状が悪化する前に改善するように心がけましょう。

【気になる症状】
顔色に艶がない(顔色が良くない)、かぜを引きやすい、よく息切れする、暑くなくても汗をかく、胃が弱い(胃腸トラブルが多い)、軟便・下痢しやすい、鼻がむず痒い、よくくしゃみをする、薄い鼻水、鼻詰まり、たん・喘息が出やすい、舌に歯の痕がある

【おすすめ食材】
芋類:長芋、自然薯、さつまいも、じゃがいも など
緑黄色野菜:かぼちゃ、パプリカ、ピーマン、にんじん、アスパラガス など
きのこ類:しいたけ、えのき茸 など
豆類:大豆、いんげん、黒豆 など
肉類:鶏肉、牛肉 など

【気虚タイプについて詳しくはこちら

慢性的な花粉症で症状が進行しているときの体質

基本として「気虚」タイプがありますが、慢性的な花粉症になると鼻水の出しすぎなどにより、「陰液(いんえき)」(潤い)の不足に繋がります。そのため、「陰虚(いんきょ)」タイプを併せ持つ人が多いです。

【気になる症状】
鼻がむず痒い、鼻水が出た後量が少なくなり鼻が乾燥、目が痒くてドライアイ、口が乾いていて喉が渇く、舌が乾燥している

【おすすめの食材】
長芋、自然薯、トマト、きゅうり、れんこん、百合根、梨、白きくらげ、ごま、豚肉 など

【陰虚タイプについて詳しくはこちら

気虚・陰虚タイプにおすすめレシピ「山芋粥」

【材料(3~4人分)】
米1/2カップ、鶏がらスープ6カップ、鶏むね肉50g、干ししいたけ2枚、山芋100g、塩ひとつまみ、ザーサイ50g、ごま油適量

(1)米は洗って水をきる。干ししいたけは水でもどし、石づきを取って薄切りにする。山芋は皮を剥き、1cmの厚さのいちょう切りにする。
(2)ザーサイは薄切りにし、10分ほど水に浸して塩抜きし、ごま油で和える。
(3)鍋に米、鶏がらスープ、鶏むね肉、干ししいたけを入れて火にかける。煮立ったらアクを取り、中火にしてときどき混ぜながら20~30分煮る。
(4)鶏むね肉を取り出し、山芋を加える。弱火で20~30分煮て、塩で味を調える。
(5)(4)を器に盛り付け、細かく割いた鶏むね肉と(2)を添える。

花粉症を悪化させないように、食事以外にも、適度な睡眠など規則正しい生活を心がけるようにしましょう。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。