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よくわかる中医学vol.12-中医学の生理観「血」-

STUDY中医学の基礎

よくわかる中医学vol.12
-中医学の生理観「血」-

2018.07.31 UPDATE

よくわかる中医学シリーズ、前回に引続きテーマは、中医学の「生理観(せいりかん)」の中から「気・血(けつ)・津液(しんえき)」です。
前回の「よくわかる中医学vol.11」では、「気・血・津液」の「気」を取り上げました。今回は「血」のお話です。

「気・血・津液」とは体の組織を構成し、体内を巡る最小の単位。この3つのどれか1つでも不足してしまったり、流れが滞ってしまったりすると身体の不調に繋がります。

全身を巡り栄養と潤いを与え、精神を安定させる「血」

「血」は生命活動を維持する赤い液体・血液です。また、中医学の「血」の概念は、身体を滋養する血液のほかに、精神の活動を支える働きもあるので、一般的な血液の概念より広い意味を持っています。
 

主に「脾胃(ひい)」(胃腸)の消化吸収機能により、飲食物から摂取された栄養が変化して血になります。また、両親から受け継いだ「腎精(じんせい)」(生命エネルギー)が血へ変化することもあります。偏食・少食、無理なダイエットといった不規則な食事は脾胃の働きを低下させ、腎精の不足にも繋がり、血虚になってしまう方が多いです。

血がもつ2つの働き

(1)滋養(じよう)
体の臓腑・組織へ栄養・潤いを与える働き。血不足になると、全身の栄養状態が悪く、特に頭・皮膚・毛髪・爪の色艶が悪くなり、目・四肢・関節・筋などの働きが悪くなります。症状として、めまい、薄毛、視力の低下、筋肉の痙攣などが現れやすくなります。
 
(2) 正常な精神・思考能力の安定
精神面の安定は、脳に充実した新鮮な血液が供給されていることと深く関係します。血の不足、血行不良、血が熱をもってしまうことなどにより脳の働きが悪くなります。症状として、物忘れ、不眠多夢、躁状態などが現れやすくなります。

血の不足・滞りがもたらす症状とその対策

【血の不足「血虚」】
・気になる症状
顔色が白っぽくて艶が無い、唇の色が白い、めまい、立ち眩み、動悸、肌がカサカサして痒い、髪が細くて抜けやすい、白髪が多い、爪が白くて割れやすい、目が疲れやすい、かすみ目、視力減退、筋肉の痙攣、手足の痺れ、寝つきが悪い、熟睡ができず目が覚めやすい、舌の色が淡い など
・女性特有の症状
女性は月経や妊娠、出産で血を消耗するため血虚になりやすい傾向があります。
生理が遅れがち、経血量が少ない、無月経、不妊症、閉経が早い など
・血虚になりやすい生活習慣
偏食少食、過労、無理なダイエット
・摂り入れたい食材
レバー、トマト、なつめ、クコの実、竜眼肉 など
・補血作用があるツボ
三陰交(さんいんこう):内くるぶしの指4本分上の骨の後ろ

【血の滞り「瘀血(おけつ)」】
・気になる症状
疼痛、シミが多い、顔色と唇の色が紫暗色(チアノーゼ)、体内に腫れもの・できものがある、頭痛、肩こり、動悸、不整脈、便が黒っぽい、物忘れやイライラ(煩躁(はんそう))などの精神的な異常がある、舌暗、舌に黒い点やアザがある(瘀点瘀斑) など
・女性特有の症状
生理痛、子宮筋腫、子宮内膜症 など
・瘀血になりやすい生活習慣・傾向
冷飲冷食、暴飲暴食、運動不足、ストレスが溜まりやすい人
・摂り入れたい食材
なす、しょうが、黒きくらげ、桃、紅花(べにばな) など
・活血作用があるツボ
血海(けっかい):ひざの皿の内側、指二本分上のところ

自分がどのような状態なのか、体質が気になる方は体質チェックをしてみましょう。

血の異常は他にも…

血虚・瘀血以外にも血の異常によって身体に現れる症状があります。
 

【血に熱邪(ねつじゃ)が入り込んだ「血熱(けつねつ)」】
・気になる症状
発熱、夜になると熱が高くなる、皮膚に鮮やか斑点が多くできる、鼻血や生理出血量が多く色は鮮やか、不正出血、イライラ(煩躁(はんそう))、精神錯乱、舌の色がかなり赤い など
・血熱になりやすい生活習慣・傾向
暴飲暴食、辛いものを摂取しすぎる、ストレスを溜めすぎている人
・摂り入れたい食材
西瓜、きゅうり、トマト、クチナシの実、れんこん、スベリヒユ など
 
【血に寒邪(かんじゃ)が入り込んだ血行不良「血寒(けっかん)」】
・気になる症状
顔色が白っぽい、四肢が冷える、しもやけができる、冷えると激痛・頭痛・腹痛が起こりやすい など
・女性特有の症状
生理痛、冷えると痛みがひどくなり温めると痛みが軽減する、生理の周期が遅れる、経血色は紫暗、血塊が多い など
・血寒になりやすい生活習慣
冷飲冷食、薄着習慣、運動不足
・摂り入れたい食材
しょうが、ねぎ、玉ねぎ、にら、シナモン、紅花 など

症状が当てはまる方、体質チェックで血虚・瘀血タイプに当てはまった方は参考になさってください。
次回は「津液(しんえき)」をピックアップしてお伝えします。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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