監修:飯田 善彦(イスクラ産業株式会社 開発課)
美肌に役立つ秋の実り
秋には乾燥対策向きの果物が多く実ります。梨は「肺」と「大腸」に潤いをもたらす代表的な果物で、体内の余分な熱を鎮めてくれるので、美肌には最適です。
中国は大陸性の気候で、秋には空気がぐっと乾燥します。歴代の宮廷でも潤いをもたらす薬膳などは食されていましたが、清朝の宮廷では梨の果汁を煮詰めた「梨膏(りこう)」というシロップを西大后(せいたいこう)が飲んだという記録が残されています。現在でも中国では、秋に実る梨の果汁に数種の生薬を加えた「秋梨膏(しゅうりこう)」というシロップが、スーパーマーケットの店頭に並び、手軽に入手できるそうです。
日本では8月の旧盆の頃から梨が出回ります。日本原産の和梨は、赤梨系と青梨系の大きく2種類に分かれます。赤梨系は幸水や豊水といった品種でやさしい甘みと滑らかな食感が特徴です。また、青梨系は、二十世紀が有名な品種で酸味と甘味をもち爽やかな味わいが特徴です。
ダージリンティーの楽しみ
今回、一緒に使用するダージリンティーは、世界三大紅茶(ダージリン、ウバ、キームン)の一つとされます。ダージリンティーは、インド北東部に位置するヒマラヤ山麓のダージリン地方で栽培されています。冷涼な気候が香り高い茶葉の栽培に適しています。
茶葉は、収穫する時期によりファーストフラッシュ(春摘み)、インビトゥイーン(中摘み)、セカンドフラッシュ(夏摘み)、オータムナル(秋摘み)に分類されます。ファーストフラッシュは、発酵(茶葉自体の持つ酵素による酵素反応)が比較的浅く、セカンドフラッシュはほぼ完全に発酵が進むまで加工されます。また、セカンドフラッシュの等級の高いものはマスカテルフレーバーをもち紅茶のシャンパンと称されています。
ダージリンには、およそ80の茶園があり、茶園ごとに生産される茶葉の香りや味が異なります。そのため、自分好みの茶園のお茶を見つけるのもダージリンティーの楽しみ方の一つです。
★レシピのご紹介★
フルーツティーは、茶葉に香り付けをしたフレーバードティーとは一味違った自然な香りと味が楽しめます。様々な季節のフルーツで試してみて自分の好みの味を探すのも楽しいものです。
中医学では紅茶は体を温め、のどの渇きを癒す作用があるとされています。潤いをもたらす梨とダージリンティーのブレンドは、秋の冷えを緩和しながら潤いを補ってくれるので乾燥による不調におすすめです。
【材料】
ティーカップ2杯分 (1杯150mlとして)
・梨…4分の1個 (およそ100g)
・ダージリン セカンドフラッシュ※……6g
・熱湯……300ml
※ダージリン セカンドフラッシュがおすすめですが他の紅茶、あるいはティーバッグ2個でも可。
【作り方】
①紅茶をティーポットに入れ熱湯を注ぎ3分間蒸らします。
②梨の皮をむき櫛形に切り、さらに3mm程度の薄切りにスライスしてティーカップに入れます。
③梨を入れたティーカップへ紅茶を注ぎ、ラップなどで蓋をして2分間蒸らして完成。
補足:
・梨は赤梨系がおすすめです。
・紅茶で蒸らした梨はお召し上がりいただけます。
この記事を監修された先生
イスクラ産業株式会社 開発課飯田 善彦
飯田 善彦(いいだ よしひこ)
中成薬(生薬製剤や漢⽅製剤など)や中国伝統医学にもとづく健康食品の製造販売を行うイスクラ産業株式会社で、主に研究開発を行っている。