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口臭対策も美容の一つ

2017.01.10 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスンvol.10

内面からの美を求めて

中医美容では、お口の臭いも大切な美の要素の一つと考えます。
どんなに肌がつややかで、髪の毛や爪の手入れが行き届いていても、口臭があっては台無しです。
最近では、さまざまなオーラルケアグッズが広まっていますが、口臭こそ、内面からのケアが必要。中医学的なタイプ別の口臭対策で、体の中からの「美」を手に入れましょう。

苔ばかりが悪者になるけれど…

口臭の原因が、虫歯や歯周病、咽頭炎や口内炎といった口腔内で起こる障害にあることは、みなさんよくご存知でしょう。抗菌・清潔嗜好の高まりで、食後の歯磨きやうがいが習慣化されてきました。口臭予防の一つとして、とても大事なことです。
ただ、舌の苔こそ口臭の元凶とばかりに、苔取りに必死な人も増えています。苔には舌の粘膜を保護するという立派な役割があります。苔をとって真っ赤になった舌を健康的だと勘違いしている人もいるようですが、苔の取り過ぎは味覚障害を招くこととなりますので、くれぐれも注意してください。
口腔内の障害ばかりが口臭の原因ではありません。消化器系や呼吸系の内臓が関係するものもあります。その一つ、消化器系の不調のことを、中医学では「脾胃不和:ひいふわ」といいます。
脾は、栄養素を体全体に運ぶ働き、「運化:うんか」を司っていますが、特に重要な栄養素は、心や肺など脾より上に運ばれます。この機能を「昇:しょう」といいます。それとは逆に、胃には不要なもの「濁気:だくき」を小腸や大腸に運ぶ「降:こう」という機能があります。
この「昇」と「降」の機能が、脾胃不和によって逆転し、本来降りていくはずの「濁気」が上昇し、「口臭」となるのです。
脾はまた唾液を司ります。唾液には、消化作用と自浄作用があり、口腔内の恒常性を維持しています。ところが、脾のパワーが落ちて唾液の分泌が減るとこれらの機能が低下するために、口内にバクテリアが発生し、口臭の元になるのです。

原因に応じた対策を!

その脾胃不和の原因はさまざま。もう一つの内因となる呼吸器系が関係するものを含め、口臭は次の五つのタイプに分けられます。
●胃熱気逆(いねつきぎゃく)
辛いもの・脂っこいものの食べ過ぎや飲酒により胃に熱が溜まるタイプ。
【特徴】
・辛いものや脂っこいものが好きな人、お酒をよく飲む人に多い
・口内炎が出る、便秘がち、口が渇く、ゲップがでる
・舌の色が赤い
【注意点】
・熱をつくりやすいもの(辛いもの、脂っこいもの、しょっぱいもの、タバコなど)を避ける
【おすすめのお茶と食材】
・濃い目のお茶、緑茶、五行草茶、にがうり、キュウリ、なす、柿など
●胃腸食滞(いちょうしょくたい)
暴飲暴食で胃腸に負担がかかっているタイプ。忘年会や新年会の多い年末年始に増える。
【特徴】
・暴飲暴食(宴会の後など一時的なものが多い)
・お腹が張る、ゲップが出る、おならが臭い
・舌の苔が厚い
【注意点】
・通便を心がける
・食べる前、飲む前に消化促進作用がある漢方薬などを服用する
【おすすめの食材とお茶】
・サンザシ、プーアル茶、ウーロン茶、みかん、白菜、レモン、梅、お酢など
●胃寒湿滞(いかんしつたい)
ビールなど冷たいもののとりすぎで、胃腸に不要な湿気が溜まるタイプ。
【特徴】
・ビールなど冷たいものが好きな人に多い
・下痢をしやすい、胃もたれ、残便感がある、ゲップがでる、皮膚のトラブルが多い
・舌の色は淡く、苔が白くて厚い。歯の痕が残る
【注意点】
・温かいものを食べるようにする
【お薦めの食材とお茶】
・ジンジャーティー(蜂蜜やレモン入りも可)、生姜、山椒、長いも、八角、なつめなど
●肝鬱胃熱(かんうついねつ)
ストレスによって脾(消化器系)が弱り、唾液の分泌が減少。精神的な悩みを抱えている人に多いタイプ。
【特徴】
・ストレスを溜めやすい人に多い
・イライラ、怒りっぽい、不眠がち、便秘がち、口が渇く、お腹が張る、ゲップが出る
・舌の先端が赤い
【注意点】
・リラックスしてよく寝る
【おすすめのお茶と食材】
・ジャスミン茶、桂花茶、菊花茶、金針菜、セロリ、パセリなど
●痰熱蘊肺(たんねつうんはい)
気管支炎など呼吸器系の病気で肺に熱がこもるタイプ。咳や痰が多くなり、鼻づまりによって口呼吸が増えることで口中が乾燥し、唾液が減る。
【特徴】
・呼吸器に問題のある人に多い
・喉のつかえ、痰が多い、咳が出る、鼻炎、喘息
・舌の苔が厚くて歯の跡が残る
【注意点】
・呼吸器に炎症がある場合、積極的に治療する
・ニンニクなど刺激臭の強いもの、辛いものは避ける
【おすすめのお茶と食材】
・五行草茶、はと麦茶、緑茶、しその葉、冬瓜、緑豆もやし、わかめなど

美しい呼気を保つ方法

タイプ別の口臭対策は上記にまとめましたが、手軽にできて即効性があるのが、緑茶や紅茶の葉を噛むことでしょう。突然の来客など、急を要する時に有効です。2時間は持つでしょう。
けれど、やはり根本的な解決方法は体内の問題をケアするのが一番です。注意点やおすすめの食材をご参考に、美しい呼気を保ってくださいね。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など