監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)
【難易度★☆☆】
空心菜は、体の余分な熱を冷まし、暑さによるだるさやほてりの緩和に役立ちます

空心菜 寒(涼)性/甘味 熱感、だるさ、食欲不振、むくみの緩和 など
空心菜はヒルガオ科の水生植物で、茎の内部が空洞になっていることから「空心菜」と呼ばれます。中医学では、胃・大腸・小腸の経絡に働きかけるとされています。体の余分な熱を冷まし血熱を鎮める「清熱涼血」、水分代謝や毒素の排出を助ける「利湿解毒」などの働きがあるとされ、鼻血、血便、血尿、便秘、尿道の違和感、痔、皮膚の湿疹や腫れ、蛇咬などへの食養生として古くから利用されてきました。夏の暑さによる倦怠感やのぼせ、口内の不快感、むくみや湿気によるだるさなどの軽減を目指したいときに、季節の食材としておすすめされる代表的な夏野菜のひとつです。寒涼の性質があるため、冷え性(寒証)の人は食べすぎに注意しましょう。
参考:『中薬大辞典』『中華本草』
空心菜と苦瓜の白和え
レシピ

こんにちは。一般社団法人薬膳アカデミア理事長の和田暁です。
中国の伝統的な暦において、一年のうちで最も暑さが厳しくなる時期を「三伏(さんぷく)」といいます。三伏は、初伏・中伏・末伏の三つの期間に分かれており、例年7月中旬から8月中旬にかけて訪れます(2025年は、初伏:7月20日〜7月29日、中伏:7月30日〜8月8日、末伏:8月9日〜8月18日)。この時期は、高温多湿の気候が続き、湿度は70%以上、体感温度は連日35℃を超えることも珍しくありません。
陽気(体を温めるエネルギー)が過剰になることで、自律神経のバランスが乱れやすくなり、体温調整もうまくいかず、体が熱く感じたり、頭痛やのぼせが起きたりすることがあります。さらに、イライラしやすくなったり、口の渇きを感じて水をたくさん飲みたくなるなどの不調が現れやすくなります。また、湿度の影響によって、皮膚がジュクジュクしたり湿疹が出たりするほか、むくみや食欲不振、体の重だるさといった症状もよく見られます。そんな時期におすすめしたいのが、「空心菜と苦瓜の白和え」です。体の内側から余分な熱や湿を取り除く空心菜や苦瓜に、渇きを潤し気を補う豆腐やごまを加えることで、バランスのとれた一品に仕上げました。
調理時間15分
材料
【2人分】
空心菜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1束
なす・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/2本
にんじん・・・・・・・・・・・・・・・・・・2cm
苦瓜(小)・・・・・・・・・・・・・・・・1/3本
昆布だし・・・・・・・・・・・・・・・・・・100ml
絹豆腐・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・250g
調味料A:
醤油・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ2と1/2
味噌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1弱
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
白すりごま・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1
ごま油・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひとつまみ
作り方
- 1空心菜はさっと湯通しし、水にとって冷ました後、1cm幅に切って水気をしっかり絞る。
- 2なすとにんじんは、いちょう切りにする。苦瓜は薄切りにして塩で揉んでおく。
- 3②を、沸騰した昆布だしでさっと湯通しし、ザルにあげて水気を切る。
- 4絹豆腐はさっと湯通しして水切りし、裏ごしする。
- 5④に調味料Aを加えて、なめらかになるまでよく混ぜ合わせる。
- 6下ごしらえした野菜を、⑤の和え衣に加え、全体をやさしく混ぜ合わせる。
- 7⑥を器に盛りつけ、好みで白ごま(分量外)をトッピングする。
料理のポイント
- point! 工程③で湯通しに使った昆布だしはとっておき、工程⑥で味や固さに応じて適宜加え混ぜてください。
- point! 空心菜にはシュウ酸が含まれるため、加熱してから使うのがおすすめです。
- point! 白和えが水っぽくならないように、豆腐はしっかりと水切りしておきましょう。
この記事を監修された先生

一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生
和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。