監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)
【難易度★★☆】
パプリカは気の巡りをサポートし、冷房などによる胃腸の冷えをケアします

パプリカ 平性・微温性/甘味 消化促進、胃の不快感を和らげる など
パプリカは中南米が原産で、15世紀頃にヨーロッパに伝わり、その後、アフリカやアジア各地へと広がっていきました。中国では、明の時代に広く栽培され始め、「甜椒(ティエンジャオ)」や「彩椒(ツァイジャオ)」と呼ばれるようになりました。中医学の視点においてパプリカは、気を巡らせる「理気」、胃の調子を整える「和胃」に優れるとされています。食欲不振や胃もたれ、吐き気、げっぷなどの消化器系の不調時に取り入れたい食材です。また、ビタミンカラーとも呼ばれる鮮やかな色合いが特徴で、カロテン、ビタミンC、食物繊維が豊富に含まれています。むくみの軽減をサポートする働きが期待されており、夏の体調管理に適した食材といえるでしょう。
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パプリカの薬膳カレー蒸しロールパン
レシピ

こんにちは。一般社団法人薬膳アカデミア理事長の和田暁です。
蝉の鳴き声が響き始める小暑の頃、いよいよ本格的な猛暑の季節が始まります。高温多湿な日が続き、熱中症のリスクが高まります。そのため、涼を求めて冷房を長時間使用することも増え、体調管理が難しくなる時期です。中医学では、このような状態を「寒包火」と呼びます。つまり、体の内側には熱(内熱)がこもっているのに、外側は冷えに覆われている状態を指します。外側の冷えによって血管が収縮し、発汗が妨げられるため、体内の熱がうまく放出されず、さまざまな不調を引き起こしやすくなります。さらに、室内外の温度差が大きくなることで自律神経のバランスが乱れやすくなり、気の巡りが滞る「気滞」や夏バテの原因にもつながります。そんな時におすすめなのが、胃腸を内側から温め、スパイスの力で冷房疲れを癒してくれる「パプリカの薬膳カレー蒸しロールパン」です。気血を巡らせるパプリカや玉ねぎ、胃腸にやさしい豆腐、そして体を温め湿気を追い出すスパイスを使った精進風のカレーフィリングを、中華まんの生地で包み蒸し上げます。夏に乱れやすい体温調節機能を整え、“熱を逃がせる体”を目指す薬膳レシピです。ぜひお試しください。
【編集部からのコメント】
スパイスの香りが堪らない今回のレシピ。中華まんの生地が軽く、食欲が落ちがちな暑い日にもおすすめの一品です。「余ったカレーでも作ることができるよ」と監修の和田先生談。
調理時間40分
材料
【6個分】
木綿豆腐・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300g
(水切りした状態で250gが目安)
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1個
パプリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g(大1個)
オリーブオイル・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
にんにく(みじん切り)・・・・・・2片(約7g)
しょうが(みじん切り)・・・・・・1片(約15g)
クミンシード・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ1
マスタードシード・・・・・・・・・・・・小さじ1
ターメリックパウダー・・・・・・・・大さじ1/2
コリアンダーシード・・・・・・・・・・大さじ1
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
胡椒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
ガラムマサラ・・・・・・・・・・・・・・・・お好みで
材料A(生地)
中力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200g
ドライイースト・・・・・・・・・・・・・・2g
ベーキングパウダー・・・・・・・・・・1g
ぬるま湯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100ml
作り方
- 1ボールに材料Aを入れ混ぜ、よくこねてから、30分ほどおく。
- 2玉ねぎは粗みじん切りに、パプリカは角切りにする。木綿豆腐は水気をしっかり切り、ばらばらにほぐしておく。
- 3フライパンにオリーブオイル小さじ1を引き、クミンシード、マスタードシードを炒める。香りが出たら火を止め、一旦取り出す。
- 4同じフライパンにオリーブオイル小さじ1を引き、にんにく、しょうがを炒め、②の玉ねぎ、パプリカ、豆腐を加える。しんなりするまで炒め、③を入れ混ぜ、火を止める。
- 5別のフライパンにオリーブオイル小さじ1を熱し、ターメリックパウダーとコリアンダーシードを炒め、油に香りを移し、④に混ぜ合わせる。塩、胡椒、ガラムマサラで味をととのえる。
- 6①の生地を縦20㎝、横30㎝程度に麺棒でのばす。⑤を上に敷き、ロール巻きにし、6等分に切り、蒸し器に入れ12分蒸す。
- 7蒸したものを皿に盛りつける。
料理のポイント
- point! 中力粉200gは、薄力粉100g+強力粉100gで代用できます。
- point! スパイス類は、ホール(粒のまま)でもパウダー(粉末状)でもご使用いただけます。パウダーはホールに比べて風味が出やすいため、使用量を調整してください。目安としては、ホール1gに対してパウダーは約0.7gが適量です。
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point!
工程⑥では、下の画像のようにカレーの具を包み、棒状に成形してから切り分けるとよいでしょう。
この記事を監修された先生

一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生
和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。