監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)
【難易度★☆☆】
牛肉は、消化力の低下、気力不足、筋肉の減少、骨がもろい方などに適した食材です
牛肉 甘味/平性 胃腸の強化、気力と血を補う、筋肉の疲労を減軽、運動パフォーマンスの向上 など
中医学において牛肉は、脾胃経(消化吸収系)に属します。『医林纂要』には、牛肉は“専属脾土”と記載され、消化吸収機能を強化する胃の薬とも称されます。消化吸収機能を高めることで、栄養をしっかり体に取りこむことができるので、筋肉の痩せ、骨のもろさの対策におすすめです。『韓氏医通』には、牛肉の補気作用が生薬の黄耆(おうぎ)と同等と記載され、気力を補い、エネルギーチャージに欠かせない食材と言えます。牛肉には血を補う働きもあり、毛髪や皮膚の乾燥対策、妊娠中の安胎効果、流産リスクの減軽にも期待できます。
参考:『中薬大辞典』『中華本草』
雑穀米入りおにぎりの牛肉巻き
RECIPE
暦上は小寒から大寒へ向かおうとしている1月中旬。寒気が強いこの時期は、風邪をひきやすく、また風邪をひくと長引きやすく、インフルエンザの流行などに対する不安も払拭できない状態で、学級閉鎖もしばしば話題になります。中医学には、“正気存内、邪不可干(正気が充実していれば、ウイルスなどの邪気に体を侵されることはない)”という言葉があります。胃腸の消化吸収機能を健やかにし、気力と血を補う牛肉料理は、この時期に特におすすめです。今回ご紹介する「雑穀米入りおにぎりの牛肉巻き」は、栄養満点で消化しやすく、脂肪の燃焼を助ける牛肉に、胃腸の消化機能を助ける雑穀米ともち米を合わせ、主食と主菜を兼ねた一品です。また血を補う小松菜と、血を補い体を潤す枸杞の実を添え、病気を寄せ付けない体づくりに役立ちます。さらに、妊婦、スポーツ少年、フレイルの高齢者にもぴったりの一品と言えます。
調理時間20分
材料
※調理時間には、炊飯時間を含まず
【2人分】
すき焼き用牛肉・・・・・・・・2枚
もち米・・・・・・・・・・・・・・・・100g
雑穀米・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ2
ごま油・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1/2
たれ:
しょうゆ・・・・・・・・・・・・・・大さじ1と1/2
酒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1と1/2
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1/2
飾り用:
小松菜・・・・・・・・・・・・・・・・2株
枸杞の実・・・・・・・・・・・・・・小さじ1
COOKING
- 1雑穀米を乾煎りし、洗ったもち米と炊く。飾り用の小松菜を茹で、3㎝程度に切る。枸杞の実は水に浸しておく。
- 2①で炊いたご飯を4等分にし、俵形に握る。
- 3牛肉を縦半分に切って、②のご飯をしっかり巻き、ごま油を熱したフライパンで焼く。
- 4たれを作る。小さな鍋もしくはフライパンでしょうゆと酒、砂糖を混ぜながら煮詰める。
- 5③を皿に盛り、④のたれをかけ、①の小松菜と枸杞の実を添える。
料理のポイント
- point! 枸杞の実は酢漬けにして、冷蔵保存すれば、いつでも気軽に使えます。 消毒済みの瓶に枸杞の実と穀物酢を1:3の割合で入れ、蓋を締め、5~7日後から使用可能。 冷蔵で3~4か月保存可能。
- point! 雑穀米の代わりに、混植米(黒米、赤米などを混植して栽培された米)の使用もおすすめです。
この記事を監修された先生
一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生
和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。