体力不足や胃腸虚弱に「サムゲタン風薬膳粥」 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

COOKING食養生のレシピ

体力不足や胃腸虚弱に
「サムゲタン風薬膳粥」

2024.12.10 UPDATE

監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)

【難易度★☆☆】
鶏肉は、精力低下、胃弱、病後・産後の滋養強壮に役立ちます

鶏肉 温性/甘味 精気力を補う、脾胃を健やかにする、疲労回復、血を補う、骨を丈夫にする など

鶏肉は中医学で、甘味温性で脾胃に働き、“温中補気、補精填髄(胃腸を温める、気力を補う、精力アップ)”の働きを持つとされます。体力低下、やつれる、胃弱、下痢、むくみ、尿が漏れやすい、女性の生理がだらだら続く、薄いおりものが多い、産後母乳が少ない方などに最適の食材と言えるでしょう。雄鶏は陽に属し、体を温め、強壮効果が抜群で、気虚陽虚の方に適しています。一方、雌鶏は陰に属し、特に妊娠出産、高齢者、陰血虚弱の方におすすめです。ただし、雄鶏は陽に属すことから、陽の強い高血圧、皮膚の急性炎症、熱タイプの風邪や肥満など、デトックスが必要な場合には避けた方がよいでしょう。
参照:『中薬大辞典』

プリント

サムゲタン風薬膳粥
RECIPE

暦の上では大雪を迎えました。何かと忙しい年末のこの時期は、気温が下がるにつれて、気血の巡りが悪くなり、体が冷えて、風邪をひきやすかったり、体力の低下が気になります。忘年会などのイベントも多く、冷たい飲み物などを多く摂ると、胃腸の調子が悪くなりがちです。中医学では、 “冬令津補、開春打虎(冬にしっかり体を養生し、春には強く健康でいる)”、つまり、元気に春を迎えるためには、冬に体力やエネルギーを蓄えることが重要であるとされます。そんな冬の時期は、朝鮮人参やなつめなどをもち米と一緒に鶏肉につめ、じっくり煮込んだ参鶏湯(サムゲタン)が恋しくなります。今回は、忙しい方にも短時間で作っていただけるように、参鶏湯を簡単にアレンジしたレシピをご紹介します。

精力アップ、気力と血を補う鶏もも肉に、胃腸を健やかにする混植米(雑穀米)、栗、蓮の実を加え、なつめ、枸杞の実、ごまで鶏肉の陰血を補う働きを強化します。生姜、パプリカ、にんにくは胃腸を温め、消化吸収、滋養強壮を助けます。鶏肉に薬膳材料をつめる手間がなく、塩麹を使うことで減塩でき、また柔らかくジューシーに煮込むことができます。

調理時間60分

材料

【2人分】
鶏の骨付きもも肉・・・・・・・・・・・・2
(1本約300~350g)
混植米(雑穀米)・・・・・・・・・・・・100g
なつめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
枸杞の実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さじ2
煮甘栗・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50g
蓮の実(煮てあるもの)・・・・・・50g
にんにく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1かけ
しょうが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15g
パプリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
ごま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
塩麹・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量

COOKING

  1. 1鶏肉に塩麹をつけ、20~30分ほど寝かせる。
  2. 2混植米は洗って水につけておく。なつめと枸杞の実は水に浸しておく。
  3. 3にんにくは、皮を剥き、厚めにスライスする。しょうがは皮付きのまま厚めにスライスする。パプリカは角切りにする。
  4. 4鶏肉の重さの約5倍の水と①の鶏肉を鍋にいれて、火にかける。
  5. 5沸騰したら灰汁をとり、②の米と③のにんにくとしょうがを入れる。蓋をして30分ほど煮る。
  6. 6⑤に煮甘栗、蓮の実、②のなつめと枸杞の実を入れ、さらに12分煮る。
  7. 7⑥を器に盛りつけ、ごまと③のパプリカを上に乗せる。

料理のポイント

  • point! ⑥で、生薬の朝鮮人参を入れると、より補気(エネルギーを益す)の効果が期待できます。
  • point! 蓮の実は、乾燥したものであれば、25gを水に浸してから使いましょう。
  • point! 混植米とは、異なる品種の稲を同じ田んぼで一緒に栽培し収穫したお米のことです。

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この記事を監修された先生

一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生

和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。