気になる肌荒れ、咳、鼻水… アレルギー症状は体質ケアで和らげる - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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気になる肌荒れ、咳、鼻水…
アレルギー症状は体質ケアで和らげる

2024.09.03 UPDATE

監修:楊 紅娜(中医学講師)

楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.22

年々、アレルギー症状を訴える人が増えているともいわれますが、その原因や症状は人それぞれ。かゆみや痛みなどがつらいことはもちろん、鼻水や涙目でメイクが崩れたり湿疹で肌が荒れたりと、見た目にも気になることが多いものです。症状の長期化や再発は精神的なストレスにもつながるので、なるべくアレルギーを起こさないよう、また発症しても長引かないよう、適切なケアで体質を整えていきましょう。

明確な予防が難しいアレルギー

アレルギーは、体に入った異物に対して「免疫」が過剰に反応する現象。本来、免疫は病気を引き起こす要因(ウイルスや細菌、ダニ、花粉など)から体を守る仕組みですが、これが過剰に働くと、さまざまな症状となって現れます。
代表的な症状として、皮膚のかゆみや発疹、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、涙目、腹痛、下痢などがあげられますが、その要因は遺伝や環境など多岐にわたり、また個人差も影響するため、明確な原因や予防法はまだ分かっていないのが現状です。

原因が複雑な「特禀質」(アレルギー体質)

中医学では、アレルギーを起こしやすい体質を「特禀質(とくひんしつ)」としています。特禀質は9種類の体質の一つで、外部刺激に対する防御力が弱く、過敏に反応しやすい状態です。

 

<9つの体質>
① 平和質:健康
② 陽虚質:陽気の不足
③ 陰虚質:潤い不足
④ 気滞質:気の停滞
⑤ 痰湿質:痰湿の停滞
⑥ 湿熱質:湿熱の停滞
⑦ 瘀血質:血行不良
⑧ 気虚質:気の不足
⑨ 特稟質:アレルギー体質

 

<アレルギーを起こしやすい部位>
・皮膚:接触皮膚炎(かぶれ)、アトピー性皮膚炎など
・呼吸器:アレルギー性鼻炎、気管支喘息など
・胃腸:アレルギー性胃腸炎

 

特禀質(アレルギー体質)には先天的な要因(遺伝)と後天的な要因(環境、薬物、精神状態)が絡んでいて、この認識は現代の西洋医学と同様。また、臓腑では、遺伝と関わる「腎」、後天的要因と関わる「脾胃」(胃腸)、「衛気」(体の防衛力)や皮膚の状態と関わる「肺」が、アレルギー体質と深く関わっていると考えます。
アレルギーを根本から予防するためには、特禀質の体質を改善し、衛気の充実した健康な体をつくることが基本。ただし、特禀質にはさまざまな要因が重なっていて、セルフケアだけでの改善はなかなか難しいもの。アレルギー体質に悩んでいる人は、ぜひ漢方薬局・薬店などで一度専門家に相談してみてください。

アレルギー対策 1  気になる肌トラブルを落ち着かせる

かぶれや湿疹、炎症などが起こる皮膚のアレルギー症状。目立ちやすくメイクもしにくいため、人目が気になり過剰なストレスを感じてしまうことも。アレルギーが起こったら、適切なケアで早めに症状を落ち着かせましょう。

 

【 体質とケア 】
皮膚に炎症などのアレルギー症状が出ているときは、体に過剰な「熱」や「湿」(余分な水分や汚れ)が溜まっていると考えて。涼性、利水作用のある食材を積極的に摂り、体内の湿熱を取り除きましょう。また、過度なストレスやイライラも熱の一因に。肌の状態を気にし過ぎずると症状の悪化にもつながるので、なるべくリラックスして過ごすことも意識して。

 

【 おすすめ食材 】
苦瓜、冬瓜、すいか、大根、豆腐、あずき、緑豆、緑茶、はと麦、スベリヒユ、ドクダミ など

スベリヒユ

アレルギー対策 2  呼吸器、胃腸の症状があるときは

咳、くしゃみ・鼻水、下痢、腹痛などが起こる呼吸器や胃腸のアレルギー。不調が長引くと体力を消耗してしまうので、早めの対処でつらい症状を緩和させましょう。

 

【 体質とケア 】
呼吸器や胃腸のアレルギー症状には、体内の「陽気」(体を温めるエネルギー)の不足が関わっていると考えます。肺や脾胃が冷えたままだと症状が長引きやすいので、温性の食材を積極的に摂り、飲食は温かいものを心がけ、体の陽気をしっかり養いましょう。

 

【 おすすめ食材 】

にら、にんじん、ねぎ、玉ねぎ、山芋、かぼちゃ、鶏肉、羊肉、えび、紅茶 など

生活習慣でアレルギーを起こしにくく!

完全な予防は難しいけれど、日々のケアでなるべくアレルギーを起こさない心がけを。食事、睡眠、運動などの生活習慣に気を配り、健やかな体質を保ちましょう。

 

【 暮らしのポイント 】
・自分のアレルゲン(アレルギーの原因物質)を知り、なるべく避けるように
・喫煙はNG。アルコールは控えめに
・睡眠を十分取って、体力の維持を
・適度な運動を習慣に(激しい運動は避け、有酸素運動を)

 

【 “発物”を避けて! 】
中医学では、アレルギー体質の人のNG食材を「発物(はつぶつ)」といいます。アレルギーの誘発や悪化につながるので、症状が気になる人はなるべく避けるよう意識して。

 

〜発物の例〜
魚介類、羊肉、牛肉、鴨肉、卵、唐辛子、こしょう、パイナップル、マンゴー など

 

【 体質改善に効くツボ 】
・神闕(しんけつ):へそ
・足三里(あしさんり):膝頭の外側の下にできる窪みから指4本下

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 紅娜

楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。