体も気分も“重だるい…” 梅雨を乗り切る「湿邪」対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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体も気分も“重だるい…”
梅雨を乗り切る「湿邪」対策

2024.06.04 UPDATE

監修:楊 紅娜(中医学講師)

楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.19

傘の出番が増える6月。この時期は湿度がぐっと上がり、なんだか体が重い、気分がどんより、といった心身の不調を感じやすくなります。ジメジメした空気に肌荒れも起こりがちで、余計に気持ちが滅入ってしまうことも。これから夏にかけては高温多湿の時期が続きます。毎日をスッキリ気持ちよく過ごすためにも、今からしっかり“体の湿気対策”をしておきましょう。

だるい、重い…。“なんとなく”感じる梅雨の不調

雨の多い梅雨は、低気圧の影響を受けやすい時期。体は自律神経(交感神経・副交感神経)の作用で気圧の変化に対応していますが、低気圧になると副交感神経が優位になるとされています。すると、体はお休みモードになるため、やる気が起きない、だるい、といった不調を感じやすくなるのです。また、朝夕の寒暖差がストレスになったり、日照時間が減って気持ちが滅入ったり、といったことも“どんより気分”を招く一因と考えられています。
加えて、湿度が高くなることもこの時期の大きな特徴。湿気が多いと、汗や尿などの水分が体から排出されにくくなります。すると、体内に余分な水分や老廃物が溜まり、体のむくみや重だるさ、食欲不振などの不調が起こりやすくなるのです。

 

梅雨の不調は、冬の冷えや夏の熱中症といったはっきりした症状と違い、“なんとなく”感じることが多いもの。その分がまんしてやり過ごしてしまいがちですが、夏に不調を引きずらないためにも、調子が悪いなと感じたらしっかり体調を整えておきましょう。

湿気に弱いのは「脾」。梅雨は胃腸トラブルに気をつけて

中医学でも、梅雨は過剰な湿気による邪気「湿邪」の影響を受けやすい時期と考えます。湿邪には「重く濁る」「粘りがある」「下へ向かう」という3つの性質があり、主に次のような症状が現れます。

 

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[1]重く濁る
・頭が重い、体が重だるい、手足がだるい。
・排泄物や分泌物が汚く濁っている。目やにが多い、おりものが多い、便の粘り、尿の濁り。
[2]粘りがある
巡りを停滞させ、取れにくいため、
・排泄や分泌がスムーズに行われない。
・不調が長引き、繰り返しやすい。
[3]下へ向かう
下半身のむくみ、下痢、排尿障害、おりものの増加など、体の下部に症状が現れやすい。
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また、梅雨にもっとも影響を受けやすい臓腑は「脾(胃腸)」です。脾は体の水分代謝を担う一方、「乾燥を好み、湿気を嫌う」という特徴があります。そのため、湿気が多い梅雨は不調を起こしやすく、水分代謝の働きも低下しがちに。その結果、体に「湿(余分な水分や汚れ)」が溜まり、脾の働きもさらに弱くなり、脾と深く関わる胃の働きにも影響し、食欲不振、下痢、軟便といったお腹の不調を起こしやすくなるのです。
また、湿が溜まるとニキビやジュクジュク湿疹といった肌トラブルも起こりやすくなります。気温が上がると炎症などで症状が長引くことも多いので、早めのケアを心がけましょう。

「湿邪」対策で体スッキリ&「脾胃」を元気に!

溜まった湿を取り除いて、弱った脾胃の回復を。水分代謝をアップして体内をスッキリさせれば、肌トラブルや体の重だるさなども自然と改善していきます。
湿邪は「熱邪」や「寒邪」と一緒に入り込むことが多いので、症状を参考に自分の体質(湿熱タイプ・寒湿タイプ)をチェックしてみてください。

 

<脾胃に効く基本のツボ>
この3点は脾胃をケアする基本のツボ。合わせて、タイプ別のツボも参考に。
足三里(あしさんり):膝の皿の下・外側の窪みから指4本分下
脾兪(ひゆ):肝兪(肝臓の背部。肩甲骨の下あたり)から指3本分下
胃兪(いゆ):みぞおちの高さにある脊椎・突起部の外側で指の幅2本分のところ

<タイプ別ケア>
「湿熱」タイプ
食べ過ぎ、太り気味の人、また高温多湿の夏にも多いタイプ。臭いの強い粘りのある便、下痢、肛門の灼熱感、尿の色が濃い、顔色が赤い、口臭が強い、のどや口の乾き、にきび、ジュクジュクした湿疹、舌苔が黄色くベタつく、などの症状が現れます。

 

【おすすめ食材】
冬瓜、はと麦、小豆、苦瓜、緑豆、たけのこ、セロリ、どくたみ、大根 など

 

【ツボ】
内庭(ないてい):足の甲、第2指と第3指の間のみずかきの根本
曲池(きょくち):ひじを曲げた時にできる、シワの終わるところ

 

「寒湿」タイプ
湿気や寒さ、冷たいものの取り過ぎなどで、脾の「陽気(体を温めるエネルギー)」が不足しているタイプ。腹痛、水様便(下痢)、食欲不振、むくみ、悪寒、頭痛、舌苔が白い、などの症状が現れます。

 

【おすすめ食材】
みかんの皮(陳皮)、仏手柑、山芋、いんげん豆、大葉、とうもころし、蓮の実(蓮子)、蓮の葉(荷葉) など

 

【ツボ】
体が温まるお灸がおすすめ
関元(かんげん):おへそから指4本分下
水分(すいぶん):おへそから真上に親指の幅1本分上がったところ

<控えたいもの>
弱った脾にさらに負担をかけてしまうので、次のような飲食は控えめに。
・冷たいもの
・生もの
・脂っこいもの
・甘いもの
・刺激の強いもの
・アルコール

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 紅娜

楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。