〜カラダとココロの深い関係〜五臓と五志 「腎」編 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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〜カラダとココロの深い関係〜
五臓と五志 「腎」編

2024.05.07 UPDATE

監修:楊 紅娜(中医学講師)

楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.18

「五臓と五志」第5回の最終回は、「腎」をテーマにお話します。日頃、なんとなく不安を感じていたり、びくびくしやすかったり……。そんな精神状態が続いているときは、腎の働きが弱っているサインかもしれません。放っておくと心が疲れてしまうので、思い当たる人は積極的に腎をケアしていきましょう。

不安が強いときは「腎」の不調に気をつけて

「腎」は、五神の精神活動(魂・神・意・魄・志)のうち「志」を宿す臓腑。志は“思いを持続し、貫き通す精神力”で、意志や信念、持続力、長期記憶などと関わります。

 

一方、五志(怒・喜・思・悲・恐)の中では、腎は「恐」の感情を宿します。恐は“驚恐”ともされ、びくびく、おどおどした不安な状態のこと。強い恐怖で失禁してしまう……。そんなケースを見聞きしたことがあると思いますが、これは、排尿と関わる腎の働きが恐れのダメージを受けている、ということなのです。このように、腎と恐れの感情は深く関わっています。そのため、腎の機能が落ちていると不安感が強くなり、なんとなくおどおどしがちなメンタルに。反対に、腎が強ければ不安な気持ちになりにくく、落ち着いた精神状態を保つことができます。

精神の発達や脳の働きに関わる「腎」

中医学では、腎は生命エネルギーの源となる「精」を蓄え、人の成長や発育と密接に関わっていると考えます。そのため、子どもの時期に腎精が不足していると、心身の成長に影響が出ることも。精神的にも発育が遅れ、集中力が続かない、落ち着きがない、不安を感じやすくびくびくしている、といった不調が現れやすくなります。

 

また、脳の機能を正常に保つことも、腎精の働きの一つです。腎精は加齢とともに減少していくため、高齢になると脳の機能にも影響。その結果、記憶力の低下、集中力の低下、不安感、無気力といった精神不調が現れ、老人性のうつを招いてしまうこともあります。
腎は年齢を重ねると自然と衰えていくため、特に中高年以降の人は積極的にケアを。腎の働きを健やかに保ち、精神不安を感じやすい更年期や老年期を穏やかに過ごしましょう。

おどおど、びくびく…。不安感を和らげる「腎」のケア

生命力の源となる腎は、健やかな心身を支える大切な臓腑。日々のケアで腎の働きを守り、おどおど、びくびくとした不安な気持ちを落ち着けましょう。

 

<腎に効く基本のツボ>
この3点は腎をケアする基本のツボ。合わせて、体質に応じたツボも参考に。

命門(めいもん):左右の腎兪の中間、背骨の上
腎兪(じんゆ):ウエスト位置、背骨から指2本分外側
太谿(たいけい):内くるぶしとアキレス腱の間の窪み

 

<体質別・腎のケア>

「腎陽虚」タイプ
腎の「陽気(体を温めるエネルギー)」が不足しているタイプ。寒がり、冷え、無力、物忘れ、夜間多尿、舌が太く歯痕がつく、舌の色が淡く舌苔が白い、などの症状が現れます。

 

【おすすめ食材】
シナモン、山椒の実、八角、しょうが、にら、くるみ、えび、羊肉、豚マメ など

 

【ツボ】
このタイプは体が冷えやすいので、お灸がおすすめ!
腰陽関(こしようかん):腰骨の高さにある背骨のでっぱりの下部分

 

「腎陰虚」タイプ
腎の「陰(血や水分など)」が不足しているタイプ。めまい、耳鳴り、口やのどの乾燥、不眠、ほてり、寝汗、舌の色が紅く舌苔が少ない、などの症状が現れます。

 

【おすすめ食材】
黒米、黒豆、マルベリー、すっぽん、アスパラガス、ズッキーニ、キウイフルーツ など

 

【ツボ】
志室(ししつ):ウエストの一番細いくびれラインの上

 

「腎精不足」タイプ
腎が蓄える「精(生命エネルギーの源)」が不足しているタイプ。めまい、耳鳴り、足腰がだるく力が入りにくい、不妊、老化症状(認知機能の低下、性機能の減退、動作が緩慢)、子どもの発育の遅れ、などの症状が現れます。

 

【おすすめ食材】
黒ごま、黒きくらげ、山芋、枸杞の実、うなぎ、鴨肉、なまこ、卵 など

 

【ツボ】
懸鐘(けんしょう):外くるぶしから指4本分上

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 紅娜

楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。