監修:楊 紅娜(中医学講師)
楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.8
迷いが多くなかなか決断できない、すぐ動揺してしまう。そんな心の状態には、「胆」の不調が影響しているかもしれません。“優柔不断”“気が小さい”といった性格に悩んでいる人は、胆のケアで決断力&度胸アップを目指しましょう。
“決断力”は「胆」の働きにあり
中医学では、精神の状態にも五臓六腑の働きが関わっていると考えます。精神活動の中心となるのは、五臓の「心」。それをサポートするように他の臓腑にもそれぞれ役割があり、「胆」はものごとを“決断”する働きを担っています。この機能は胆と表裏関係(互いに助け合う関係)にある「肝」とも密接に関わっていて、肝が情緒を安定させて“思考”し、胆が“決断”を下すことで、しっかり考えて決める、という精神活動が正常に保たれています。また、“胆力がある”“胆(肝)が据わっている”といった言葉があるように、ものごとに動じない精神力や気力も胆の働きによるもの。そのため、胆の機能が低下すると、迷いが多くなる、動揺しやすくなる、といった不調が現れやすくなるのです。
<胆の機能が低下すると……>
精神的な不調
・優柔不断で、決断力や行動力が低下する。
・怖がりでオドオド、ビクビク。すぐ動揺してしまう。
身体の不調
・目の痛み
・頭痛(側頭部)
・口の苦み
・ため息が多い
・肋骨下の張り、痛み
・足の外側の痛み
「胆」「肝」のケアで優柔不断を改善
優柔不断、オドオド、ビクビク……。そんな精神状態を変えたいときは、胆と肝を合わせてケアすることがポイント。また、肝はストレスのダメージを受けやすいので、日頃のストレスをこまめに発散して「気(エネルギー)」の巡りをスムーズに保つことも大切です。
<ツボ押しケア>
胆と肝のツボを一緒にケアすることで、効果アップが期待できます。
【胆のツボ】
陽白(ようはく):瞳の上、眉から上へ2cmほどのところ
風池(ふうち):首の付根。後頭骨の下のくぼみ
陽陵泉(ようりょうせん):膝の外側にある骨(腓骨)の下にある窪み
丘墟(きゅうきょ):外くるぶし下方のくぼみ
【肝のツボ】
行間(こうかん):足の甲にある親指と人差し指の間
太衝(たいしょう):足の親指と人差し指の骨が交わるところの窪み
蠡溝(れいこう):内くるぶしのおよそ指7本上
期門(きもん):乳頭からまっすぐ下がった肋骨の下端
<胆・肝ケアの食養生>
【おすすめ食材・生薬】
食材:玫瑰花、山査子、ゆり根、小麦、枸杞の実 など
生薬:酸棗仁(さんそうにん)、柴胡、梅花、麦芽、合歓花(ごうかんか)、合歓皮(ごうかんひ)、芍薬 など
枸杞の実のおすすめレシピ
杏仁豆腐のトッピングでおなじみの枸杞の実ですが、おいしい食べ方はいろいろ。ほんのりとした甘酸っぱさは料理のほどよいアクセントになるので、ぜひ試してみてください。
・枸杞の実ごはん:
米1合に枸杞の実10g程度を入れて炊く。ほんのり甘く、香りの良いご飯になります。
・枸杞の実入り餃子:
牛ひき肉、枸杞の実、セロリ、玉ねぎ、にんじん、トマト(少量)を肉だねに。
・枸杞の実の粉:
枸杞の実を粉末にして、料理やお茶などにお好みでプラス。クセがないのでどんな料理にも。
この記事を監修された先生
中医学講師楊 紅娜
楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。