監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスン Vol.55
いつも通りお手入れをしているのに、なんだか肌がゴワゴワ、ガサガサ……。そんな不調を感じたら、肌のターンオーバーが乱れているサインと考えて。放っておくと化粧ノリもどんどん悪くなってしまうので、中医美容のスキンケア+体質改善で、ふっくらやわらかな健康美肌をめざしましょう。
ゴワゴワ肌の原因はターンオーバーの乱れ
秋から冬は、肌のゴワつきやザラザラ感が起こりやすい季節。その主な原因は、肌のターンオーバーの乱れにあります。
●ターンオーバーとは?
肌表面の「表皮」は「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれています。一番下の基底層では常に新しい皮膚細胞が生まれ、上へと押し上げられて角層に。ここで一定期間とどまると角質となって剥がれ落ち、新しい細胞と入れ替わります。
ターンオーバーは、こうした細胞が生まれ変わる新陳代謝のこと。個人差はありますが、健康な肌はおおよそ28日程度のサイクルでターンオーバーを繰り返しています。
ターンオーバーがスムーズに行われていると、肌はみずみずしく透明感のある状態に。反対に、ターンオーバーが乱れると古い角質が溜まりやすく、潤いも不足して乾燥やゴワつき、くすみ、しわといった肌トラブルが起こりやすくなるのです。
ターンオーバーが乱れる原因はさまざまですが、「紫外線」と「乾燥」は特に大きな要因とされています。
秋は、まだ夏の紫外線ダメージが残り、乾燥の影響も強く、ターンオーバーが乱れやすい時期。ゴワゴワ肌を放っておくと見た目もどんよりくすんでしまうので、気になる人は早めのケアを心がけましょう。
乾燥や冷え、「気」の不足に気をつけて
中医美容学では、ターンオーバーの乱れは体内の「気」(エネルギー)の不足、また秋冬の季節にも深く関わっていると考えます。
【ターンオーバーが乱れる中医美容学的要因】
●「気」の不足
「気」は、肌のハリや弾力、バリア機能、新陳代謝などを支えるエネルギー源。そのため、体内の気が不足すると肌の元気が失われ、新陳代謝も落ちてターンオーバーの乱れを招きます。
●体の活動の低下
中医美容学では、秋冬は「収蔵(しゅうぞう)」の季節。夏に盛んだった活動は落ち着き、体は静かにエネルギーを蓄えます。そのため新陳代謝も落ちやすく、ターンオーバーも乱れがちに。
●乾燥(燥邪)のダメージ
肌は外気に触れているため、乾燥によって直接ダメージを受けます。この乾燥状態が、ターンオーバーの乱れを招く大きな要因となります。
●冷え(寒邪)のダメージ
寒さで血管が収縮すると、「瘀血(おけつ)」(血行不良)を招きます。血行が悪いと肌の細胞に栄養が行き届かず、老廃物もスムーズに排泄できない状態に。結果、ターンオーバーも乱れてしまうのです。
こうした要因が重なると潤いやハリのないゴワゴワ肌を招いてしまうため、気を補い、血行を良くするなど、体の中からケアをすることも大切です。
ゴワゴワ肌をふっくらさせる中医美容ケア
肌のゴワつきが気になる時は、いつもより丁寧なスキンケアを。血行を促し、潤いを補給して、ふっくらやわらかな肌をめざしましょう。
【スキンケアのポイント】
●洗う
ぬるま湯で丁寧に洗顔し、古い角質をやさしくオフ。シコン、トウキ、ニンジンなど植物エキス配合の医薬部外品で保湿しながら肌荒れを防ぐ「瑞花露薬用ソープ」などがおすすめです。
●パックする
潤い補給、血行促進で肌をやわらかく。
・プレーンヨーグルトパック:2〜3日に1回、1~3分を目安に。
・沙棘オイルパック:週1回、10分程度を目安に。※パック後のオイルは洗い流して。
・蒸しタオルパック:1分程度、毎日の習慣に。
・化粧水パック:週1回、5分程度を目安に。
●潤いを守る
化粧水やパックで「気」と「潤」を補給したら、オイル、クリームなどでしっかりフタを。「潤・軟」作用を持つ「沙棘オイル」と多数のエッセンスアロマ精油と真珠など植物の働きで「芳香軟堅(芳香によって固くなった肌を柔らかくする)・生肌美白(肌が生まれ変わり、美白になる)」が実践できる「セ・サージクリーム」を取り入れてみて。更に、肌は全身つながっているため、潤いが逃げないよう体の保湿ケアも忘れずに。
スキンケアには、「純(清潔にする)、潤(潤す)、巡(気血を巡らせる)」が大切です。ゴワゴワ、カサカサ、カユカユ、肌荒れなどを中医美容でしっとり、すべすべにすることができる「瑞花露ボディケア入浴液」。また、天然保湿因⼦(NMF)やセラミド及びトウキ、ニンジンなどの植物エキスを配合し、肌に潤いを与える「瑞花露薬用保湿クリーム」などがおすすめです。
●マッサージ
老廃物を流して排泄させ、血行を良く。
手順は下の画像をご覧ください。
体質改善でターンオーバーをスムーズに
やわらかな美肌をつくるためには、スキンケアに加えて体の中からケアすることも大切。ターンオーバーの乱れを招く体内の不調を整えて、ゴワゴワ肌を改善しましょう。
●疲れやすい「気虚タイプ」
肌の元気を支え、新陳代謝を促す「気(エネルギー)」が不足しているタイプ。日頃から疲れやすい、肌に弾力がなくカサカサしやすい、といった不調を感じる人は、栄養をしっかり取って体内の気を養いましょう。
【おすすめ食材】
山芋、れんこん、大豆、きのこ、松の実、良質な肉類、梨、はちみつ など
【おすすめ生薬】
黄耆(おうぎ)、西洋人参、紅景天(こうけいてん)、白朮(びゃくじゅつ) など
●カサカサしやすい「腎陰不足タイプ」
「腎」が蓄える「陰」(潤い)は、全身の潤いの源。そのため、腎陰が足りないと体全体の潤い不足につながり、ターンオーバーが乱れて肌もカサカサに。髪にコシがなく白髪が多い、月経不順、物忘れなどの症状が気になる人は、腎の働きが落ちていると考え積極的に養生しましょう。
【おすすめ食材】
黒ごま、くるみ、黒きくらげ、ひじき、肉類、すっぽん、鹿肉 など
【おすすめ生薬】
「紫河車(しかしゃ)プラセンタ」、亀製剤、枸杞、旱蓮草(かんれんそう)、女貞子(じょていし) など
●シミが気になる「瘀血タイプ」
「瘀血」(血行不良)でターンオーバーが乱れ、肌にも栄養が行き届かないタイプ。肌のゴワゴワ・ザラザラ、シミ、痛みの症状(頭痛、月経痛など)が多い、といった不調がある人は、食生活の改善や適度な運動を心がけ、血流を良くしましょう。この時期は体を冷やさないことも大切です。
【おすすめ食材】
トマト、サフラン、山椒、玉ねぎ、にら、桃、アーモンド、青魚 など
【おすすめ生薬】
沙棘オイル、丹参(たんじん)、田七人参、牡丹(ぼたん)、大黄(おうぎ)、当帰(とうき) など
この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など