監修:楊 敏 先生(中医学講師)
「スポーツの秋」「文化の秋」と言いたいところですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、今までのような賑やかなスポーツ観戦や演劇鑑賞ができないのが今年の秋。終息が見えず、経済面も安定しない社会状況から、息切れ・憂鬱・不安・気持ちが落ち込みやすい人が増えています。
中医学で、秋は肺とつながりの強い季節とされています。寂しさや悲しさを感じる時期でもあるので、肺の養生をしながら心のケアもしていきましょうね。
秋は肺の季節。悲・憂との関係
秋は臓腑の「肺」、情緒の「悲・憂」と密接な関係にあるとされています。肺は、気・呼吸・昇発粛降(しょうはつしゅくこう)を主る臓腑で潤う環境を好むので、乾燥しやすい秋の季節は肺の呼吸機能を傷つけやすいです。
天高く馬肥ゆる秋は、呼吸機能を高めるには最適な運動の季節。しかし、新型コロナウイルス感染症防止のため、多くの運動が制限されている状況です。また、外出時には常にマスクをしなければならないので、通年に比べて肺機能を鍛える時間が少なくなり、息切れや呼吸が苦しい、空咳などの症状が多くあらわれてしまいます。
落ち込むと肺の機能が消耗しやすい?
また、「悲則気消」といわれるように、気持ちが悲しく落ち込むと、肺気を消耗して肺機能が弱くなります。とくに大人数でのイベントや旅行など娯楽の制限などにより、コロナ鬱、悲観的に落ち込みやすい人も増えました。
このような状況下では、息切れ・呼吸が苦しい・空咳のほかに、胸が苦しい・倦怠無力・やる気が出ない・悲しくて涙がとまらないなどの症状が出ることも少なくありません。
秋を元気に過ごすためのWithコロナ養生法
蓮根、茄子、銀杏、さんま、あじ、いわし、牡蠣、大根、豆乳、牛乳、ヨーグルト、蜂蜜、白きくらげ、菊花、梨、マスカット、ぶどう、みかん、びわ、メロン、金柑、杏、かりん など
この記事を監修された先生
中医学講師楊 敏 先生
楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。