監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスン vol.42
季節は秋本番。「素足にサンダル」の季節が終わり、足元のお手入れもつい手を抜きがちになっていませんか?でも、肌の乾燥が気になるこれからの時期は、「ガサガサかかと」も悪化しやすいので気をつけて。放っておくと痛いひび割れを起こす心配もあるので、こまめなケアでツルスベかかとをめざしましょう。
かかとが乾燥しやすいのはなぜ?
体の中でも、特に乾燥したり硬くなったりしやすい「かかと」。同じ皮膚なのに、どうして?と不思議に思いますが、それにはきちんと理由があります。
(1)足の裏には皮脂腺がない
そもそも、足の裏には皮脂腺がありません。もともと皮膚の潤いが少ないため、乾燥もしやすいのです。ちなみに、足が蒸れたりベタついたりするのは、汗腺から出る汗の影響です。
(2)角質層が厚く、潤いが浸透しにくい
日常的に体を支えているかかとは、その重さや衝撃に耐えられるよう角質が厚くなっています。保湿をしても潤いが浸透しにくいため、顔などの皮膚と比べ乾燥しがちに。
(3)ターンオーバーが遅く、角質が溜まりやすい
通常、皮膚は約1ヵ月のサイクルで肌が生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返し、古い角質が剥がれ落ちていきます。ところが、かかとのターンオーバーにかかる期間は約4ヵ月。そのため古い角質が溜まりがちになり、厚くなっていきます。
乾燥だけじゃない!ガサガサかかとの原因
かかとのガサガサは、しっかり保湿をすれば改善していきます。ケアを続けても症状が変わらない場合は「水虫」の可能性もあるので気をつけて。
かかとが水虫になると、足の裏全体の皮が厚くなる、かかとが粉をふいたようにガサガサになる、皮がめくれる、といった症状が現れます。かゆみはほとんどないので、気づきにくいことも特徴。ただし、放っておくと水虫が進行して治りにくくなってしまうので、気になる症状がある人は早めに対処することが大切です。
めざせツルスベかかと!基本の保湿ケア
ガサガサのかかとを改善する基本は、きちんと保湿をすること。簡単なようですが、顔のケアと違ってつい手を抜きがちになるので「しっかり継続」を心がけて。
【かかとケアのポイント】
●硬い角質層を柔らかく
角質層が硬いままだと、せっかく保湿をしても潤いが浸透しにくい状態に。入浴や足湯でまず角質層を柔らかくして、効果的に保湿ケアをしましょう。
・入浴:ティーツリー、オリーブオイル、米ぬかオイルなどの精油成分の入った入浴剤を
・足湯:酢、酸味のあるフルーツなどを入れて
● こっくり保湿で潤いアップ
かかとの保湿には、サラッとしたローションよりも、軟膏やクリームなどを使うのがおすすめ。しっかり塗り込むことで、潤いを浸透させます。
● パックで潤いの浸透を
クリームなどで保湿をしたら、ラップを巻いて5分ほどパック。潤いをしっかり浸透させて、皮膚を柔らかくします。市販のかかと用パック、保湿くつ下なども便利なのでおすすめ。
● 清潔な状態を保つ
保湿はもちろん、皮膚を清潔に保つことも大切。日頃のケアに、抗菌作用のある「蝋梅油(ろうばいゆ)」を配合した軟膏、「河原蓬(からわよもぎ)」や「山椒(さんしょう)」配合の保湿クリームなどを取り入れてみて。
● 角質の削り過ぎはNG!
かかとの角質には皮膚を守る働きがあるため、削り過ぎてはダメ。安易に角質を薄くせず、きちんと保湿することでツルスベかかとをキープしましょう。
頑固な乾燥、水虫対策は「体の中」から
保湿だけでは改善しない頑固な乾燥やかかと水虫は、体質を整えて体の中から改善していきましょう。
(1)かかとの乾燥が強い人は「腎」のケアを
かかとが乾燥しやすい人は、「腎の潤い不足」に気をつけて。かかとの乾燥が強く、月経不順、ほてり、腰が重だるい、手足に汗をかく、口が乾くといった症状がある人は、積極的に腎をケアしましょう。
・おすすめ食材:青魚、豚肉、鶏肉、クコの実、山芋、黒豆、豆乳、梨、桃、くるみ、オリーブオイル、沙棘オイル(サージオイル) など
(2)水虫になりやすい人は「気・血」を養う
水虫は白癬菌(はくせんきん)による感染症なので、免疫力をアップして感染しにくい体質を保ちましょう。日頃から立ちくらみ、ふらつき、疲れやすい、かぜを引きやすい、肌トラブルが多い、乾燥しやすいといった不調がある人は、免疫力の基本となる「気」(エネルギー)、「血(けつ)」をしっかり養うことが大切です。
・おすすめ食材:山芋、大豆製品、きのこ類、脂分の少ない肉類、魚などのタンパク質、じゃがいも、にんじん、ほうれん草、レバー、プルーン など
(3)しつこい乾燥性水虫の人は「湿熱」を取り除く
なかなか治らない乾燥性水虫は、体内に溜まった「湿熱」(余分や水分や汚れ)が要因に。オイリー肌、皮脂性の肌トラブル、おりものが多い、むくみなどの症状がある人は、体の湿熱をすっきり取り除きましょう。油っこい食事、アルコールの取り過ぎなどは湿熱の要因になるので、食生活の改善も大切です。
・おすすめ食材:もやし、冬瓜、苦瓜、れんこん、大根、トマト、はと麦、五行草 など中医学のケアを取り入れて、ツルスベかかとを保ちましょう。
この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など