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体臭予防は夏のエチケット!中医学で体臭を抑える方法

2019.08.06 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン vol.40

夏になると、満員電車などの人混みで自分の体臭が気になる…ということはありませんか。体臭には体質の問題も関係しているので、清潔に気をつけていてもなかなか治りにくい悩みの一つ。体臭は自分ではなかなか気がつきにくいこともあるので、夏のエチケットとして気をつけておく必要があります。
今回は、中医学の考えに基づいて体質別に体臭を抑える方法をお伝えします。

汗が原因?夏に体臭が強くなる理由

夏に体臭が気になりやすいのは、汗のせいだと考えている方が多いはず。しかし、かいた直後の汗がすぐに体臭の原因となるわけではありません。

汗や皮脂に含まれる皮膚の老廃物などが雑菌やカビ菌によって分解され、変質したものが体臭の元となります。そのため、汗(湿気)や油分が多い部位では雑菌・カビ菌が繁殖しやすく、体臭が強くなってしまうのです。

発汗は体温調節をする上で大切な働きの一つでもあります。体臭予防として汗を抑えようとする前に、肌の菌が過剰に繁殖するのを防ぐことから始めましょう。

菌の繁殖を防ぐ3つの「体臭予防習慣」

(1)汗をかいたときは濡らしたタオルで拭き取る
菌の付着を取り除くには、タオルを濡らして拭き取るとより効果的です。水や濃い緑茶をスプレーの容器などに入れて持ち歩くようにすると便利。

(2)着用した服はすべて外干しする習慣を
一度着用した服は、汚れが目立たなくても雑菌がついていたり、臭いがこもっていることがあります。晴れた日は外干しをして紫外線消毒するようにしましょう。ご自宅の洗濯機で洗えない服は定期的にクリーニングに出すよう心がけましょう。

(3)殺菌効果のある生薬をとりいれた化粧品を使う
古代中国では入浴時にも生薬をとりいれていました。殺菌効果のある生薬配合のソープローションなどで体を清潔に保ち、特に体臭が気になる方は朝にも体を洗うようにしましょう。

中医学的・体臭が気になりやすい体質チェック

清潔に保っていても体臭の強弱には個人差があります。中医学では、この個人差に体質が関係していると考えます。

気をつけたい体質は主に2タイプ。それぞれに当てはまる項目が多いほど注意が必要です。
(1)オイリーな「湿熱痰湿(しつねつたんしつ)」タイプ
□体重は重め
□顔の五点分布(おでこ、鼻、鼻の両側、顎)がオイリーになりやすい
□赤ら顔
□肌がべたつきやすい
□舌苔が厚い

(2)暑がりな「熱毒血熱(ねつどくけつねつ)」タイプ
□汗っかき
□口が渇きやすい
□冷たいものが飲みたくなる
□冷房をつけていても自分だけ暑く感じる
□舌の先端が赤い

体質別の体臭予防習慣

(1)オイリーな「湿熱痰湿」タイプ
・体重コントロールを心がける
・湿熱を溜めやすい食事を控える(天ぷらなどの油っぽい料理、アイスクリームなどの甘いもの、ビールなど)
・肉類を食べるときは牛肉、マトン、鹿肉など脂の少ないものを
・脂肪分を分解する作用のある食材を(パイナップル・サンザシなど)
・痰湿をデトックスする利尿作用のある食材を(黒豆茶、はと麦茶、スイカ、もやしなど)

(2)暑がりな「熱毒血熱」タイプ
・熱を作りやすい食事を控える(とんかつ、油揚げ、焼き肉などの料理、唐辛子、せんべい、クッキー、スナック菓子、アルコール度数の高いお酒など)
・タンパク質は魚類、豆腐で取り入れる
・苦味のある野菜を取り入れる(ゴーヤ、高菜、小松菜、きゅうりなど)

汗っかきの方は中医学では体に熱毒が溜まっていると考えます。汗っかきだからといって制汗しすぎてしまうと、汗孔から熱を出すことができなくなり、熱中症になってしまう恐れがあるので注意が必要です。

中医学的小話:古代の中国で親しまれていた「芳香剤」

中医学には、「清熱除臭(せいねつじょしゅう)」という現代の芳香剤のような役割で使われてきた生薬があります。芳香の作用だけでなく、肌の健康を損なう邪気(汚れ、雑菌、真菌など)を取り除く作用などがあるとされています。
※清熱除臭生薬の例:丁子(ちょうじ)、茴香(ういきょう)、山椒(さんしょう)、ティーツリー など

また、一部の芳香生薬は、胃腸の働きを良くする内服薬として使われます。消化器系を健やかにし、邪気(湿邪)を取り除く夏の食欲不振、吐き気、お酒の飲みすぎ、二日酔いのデトックスの作用をもっています。

古代の中国ではこれらの生薬を使った「香身方(こうしんほう)」と呼ばれる方剤が使われ、漢字からも芳香剤として親しまれていたことがわかります。生薬の五行草(スベリヒユ)を砕き、布に包んで脇に挟んだり(食療本草(しょくりょうほんぞう))、丁子、山椒を砕いた顆粒末をシルクの袋に入れ首にかけ、制汗消臭効果を図った(必用全書(ひつようぜんしょ))という話もあるそうです。

現代は体臭予防の方法も簡単に取り入れやすくなりました。自分に合った方法を見つけて実践してみてくださいね。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など