監修:楊 敏 先生(中医学講師)
よくわかる中医学vol.19
よくわかる中医学シリーズ、今回のテーマはすべてのものに宿っている性質「陰陽」です。陰陽学説は中医学における物事の考え方のもととなっており、現代の最先端の研究をしている科学者たちにも大きな影響を与え、科学の分野などでも活用されています。
古代の中国哲学「陰陽」とは、いったいどのような考え方なのでしょうか。
すべてのものに宿る「陰陽」
陰陽学説とは、世の中のすべてのものは「陰」と「陽」という正反対の性質を持ち、お互いに協力・影響し合いながら、物事を支え動かしているという考え方です。影があるから光があるように、どちらかが単独で存在することはありません。
世の中のさまざまなものは、陰陽の性質に沿って分けられます。
一般的に、陰は陽に比べて物質的です。よりゆっくりしていて、より冷たいという性質があります。一方の陽の性質は、陰に比べて非物質的です。より動きがあり、より速く、より温かいという性質があります。
陰陽の属性について、例えば人間は、もともと四足歩行だったことから考え、日が当たらない腹は陰で、日が当たる背中は陽とされました。また、季節では、より寒い秋・冬が陰、より暖かい春・夏が陽です。さらに、秋は陰の中の陽、冬は陰の中の陰というように細かく分かれていきます。
下の表は他にも挙げられる陰陽の属性を一覧にしたものです。
世界の陰陽を図解する「陰陽太極図」
下の図は、「陰陽太極図(いんようたいきょくず)」です。目にしたことはあってもどういった意味のあるものなのか知らない方は多いのではないでしょうか?
陰陽太極図は1つの円の中に陰(黒い部分)と陽(白い部分)が同じ割合で分かれていて、世の中の全てのものは陰と陽が均衡を保って存在していることを示しています。
陰陽太極図から読み解く陰陽の関係
例えば、高熱が出たときは熱くなりますが、汗をたくさんかき体は冷たくなっていきます。寒い冬が極まるとやがて暖かな春が来て、熱い夏が極まるとやがて涼しい秋になります。
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この記事を監修された先生
中医学講師楊 敏 先生
楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。