季節をたのしむお茶講座vol.5~交感神経の緊張を和らげるローズ&ベリーティー~ - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

STUDY中医学の基礎

季節をたのしむお茶講座vol.5
~交感神経の緊張を和らげるローズ&ベリーティー~

2019.02.19 UPDATE

監修:飯田 善彦(イスクラ産業株式会社 開発課)

春の兆しを感じたら自律神経の乱れに注意

2月中旬から3月上旬は、風も冷たくまだまだ肌寒い季節ですが、暦の上では、雨水(うすい:2月19日頃~3月5日頃まで)を迎え、この頃から春一番が吹きはじめ、春の兆しを感じる時期でもあります。
1年の太陽の運行する見かけの軌道を24等分し、春分・夏至・秋分・冬至・立春など24の季節を表す「二十四節気(にじゅうしせっき)」。雨水もその区分の一つで「空から降るものが次第に雪から雨に変わり、雪が溶けていく」という意味で使われていたそうです。この時期は、寒さの厳しい時期が終わり、春の暖かな空気が周期的に北上してきます。そのため寒暖差が大きくなりやすく自律神経に負担がかかりやすい時期になります。

寒暖差による「肝」の疲労

中医学において自律神経の交感神経の働きと「肝(かん)」(肝臓)の働きは、密接な関係があると考えられています。
中国伝統医学の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』の記述の中に「肝は罷極(ひきょく)の本(ほん)」とあります。現代の言葉で言い換えると、肝は神経や筋肉において弛緩と緊張の根本を司(つかさど)る臓器。すなわち、肝は弛緩と緊張の活動エネルギーの根源となる臓器であるので疲労にも深い関係があるという意味です。

この時期の寒暖差は、数日周期から1日のなかで生じることがあります。寒さによって交感神経が優位になり緊張したかと思ったら、急に暖かくなりゆるんだりすることも。そうすると、肝が疲弊して働きが低下し、⾁体的にも神経的にも疲れやすい状況になってしまうと考えられます。

寒暖差による疲れには「ローズ&ベリーティー」

この時期の急激な寒暖差は、自律神経への負担が大きく疲れやすくなります。そのような時には、優雅な香りで交感神経の緊張を和らげてくれる「ローズ&ベリーティー」がおすすめです。
今回使用するローズレッドペタル(バラの花びら)は、ヨーロッパでは薬用のバラとして用いられるアポセカリーズローズ(Rosa gallica var. officinalis)です。優雅な香りで緊張をほぐし血の巡りを良くしてくれるのでリラックスできます。中国でも、バラの一種であるハマナスの八重咲変種のマイカイ(Rosa rugosa var. plena)の蕾を玫塊花(まいかいか)として薬用に使用し、気の滞りや血の巡りが悪いときに使用します。
一緒に使うイチゴは、津液や血を補うことで肝を助ける働きがあると考えられています。また、イチゴの甘くさわやかな香りで緊張をほぐします。

ローズレッドペタル

おすすめの茶葉は世界三大紅茶の一つ「ウバ紅茶」

今回の「ローズ&ベリーティー」におすすめの紅茶は、スリランカの山岳地帯のウバで生産されるウバ紅茶です。ウバで産出される紅茶は、ダージリン、祁門(キームン)と並び世界三大紅茶の一つに数えられます。
ウバ紅茶は、鮮やかな赤色の美しい水色(紅茶の抽出液の色)をもち、6月~9月にかけてのクオリティーシーズン(旬の時期)の物になると独特のメントール香と呼ばれるハーブのような風味を帯びます。中医学的には、紅茶は温める作用があり、ウバ紅茶は清涼感のあるメントール香を持ちますので気の巡りを改善するような作用もあると考えられます。

ローズ&ベリーティーの作り方

【材料】
2人分(1杯150mlとして)
・ローズレッドペタル……4g
・ウバ紅茶…………………4g(他の紅茶でも可)
・熱湯………………………300ml(小さめのティーポットおよそ1杯分)
・イチゴ……………………6個(ヘタを取り4等分のくし型に切っておく)
【作り方】
(1)ローズレッドペタルとウバ紅茶をティーポットに入れ、熱湯を注ぎ2分間蒸らします。
(2)カップにくし型に切ったイチゴ3個分を入れます。
(3)茶こしなどでこしながらイチゴを入れたカップに注ぎ完成。
優雅な香りのローズ&ベリーティーを是非お試しください。

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この記事を監修された先生

イスクラ産業株式会社 開発課飯田 善彦

飯田 善彦(いいだ よしひこ)
中成薬(生薬製剤や漢⽅製剤など)や中国伝統医学にもとづく健康食品の製造販売を行うイスクラ産業株式会社で、主に研究開発を行っている。