健康的に体スッキリ! 体質改善で「冬太り」対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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健康的に体スッキリ!
体質改善で「冬太り」対策

2022.12.20 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

冬本番はなにかとイベントが多く、美味しい冬の味覚も盛りだくさん。楽しい気分につい飲み過ぎ食べ過ぎを許してしまい、気づくと体重が増えていた、という人も多いのではないでしょうか。こうした“冬太り”は体に余分なものが溜まっている状態。中医学のケアで体質を整え、見た目はもちろん、体の中からスッキリきれいをめざしましょう

冬はなぜ太りやすい?

冬は体を冷えから守るために、脂肪を溜め込みやすい時期。そのため“冬は太りやすい”と思われがちですが、単純に寒さだけで太るということはありません。体重が増えるメカニズムはシンプルで、摂取カロリーが消費カロリーを上回っているということ。冬は寒さで活動量が減り、運動不足になりがちです。加えて、イベントごとや冬休みでなにかと飲食の機会が増えることも。その結果、自然と摂取カロリーが増え、消費カロリーは減って、“冬太り”を招いてしまうのです。しかし、冬は体温維持に多くのエネルギーを消費するため、基礎代謝が上がり、痩せるチャンスを秘めています。太りやすい冬でもちょっと意識をすれば、きちんと食べて健康的にスッキリ体型を保つことができる時期。体を健やかに保つためにも、体が重いなと感じたら積極的に体質を整えていきましょう

「痰湿」「瘀血」が体重の増加を招く

中医学では、冬は“蔵する季節”と考えます。これは、動物も植物も活動を抑え、春に向けてエネルギーや栄養を蓄える時期ということ。そのため、過剰なカロリーを摂取すると体がそれを蓄えようして、太りがちになってしまうのです。とはいえ、冬は静かに過ごすことが基本。痩せたいからといって、過剰な運動などでエネルギーを発散してしまうのはおすすめできません。適度に体を動かすことはもちろん必要ですが、まずは体質の改善を心がけ、“太りにくい体づくり”をめざしましょう。体重が増える主な要因となるのは、体内の「痰湿」。痰湿は体の余分な水分や汚れで、溜まると水太りや過剰な脂肪につながります。また、ベタベタとした痰湿は血や血管にも影響し、「瘀血(血行不良)」を招くことも。これが、老廃物や脂肪、水分などの代謝不足につながり、太る要因になることもあります。

体質を整えて、体の中からスッキリ体型に

現代は“痩せている=キレイ”と思われがちですが、痩せ過ぎた体では元気も失われてしまいます。肌や髪の状態も悪くなり、キレイをめざしても本末転倒となってしまうので気をつけて。太り気味かなと思ったら、体を整える中医学のダイエットで適正体重を保つことを心がけましょう。
ケアの基本は、体内の「痰湿」を取り除き、血流をスムーズに保つこと。また、「脾胃(胃腸)」が弱いと痰湿が溜まりやすくなるので、胃腸に負担をかけない食生活を心がけることも大切です。
<痰湿を取り除く食材>
玄米、はと麦、粟などの雑穀類、ごぼう、大根、かぶ、にんじんなどの根菜類、昆布、わかめ、ひじきなどの海藻類、さんま、さば、あじなどの青魚、白菜、こんにやく、えのき、しいたけ、なめこ、ピーマン、緑豆、緑豆春雨、バナナ、山査子、ウーロン茶、プーアル茶、ドクダミ茶 など
<おすすめ生薬>
・山査子
消化を促す、脂肪を分解する、血流を良くするといった働きがあります。食べ過ぎたなと感じたら、食後に「山査子入りウーロン茶」を飲む習慣を。山査子は乾燥したものでOK
<痰湿を取り除くメニュー>
・ひじき入り、玄米とはと麦の雑穀ご飯
・白菜、緑豆春雨、豚バラ肉のとろとろ煮
<血流を良くする食材>
玉ねぎ、ねぎ、しょうが、らっきょう、にんにく、にらなどの辛味野菜、いわし、さんま、さば、あじなどの青魚、なす、くわい、ちんげん菜、黒きくらげ、桃、さくらんぼ、山査子、シナモン、紅花、サフラン、ローズ、ウコン、田七人参、黒酢 など
<おすすめ生薬>
・桂枝(シナモン)
体を温め、血流、発汗を促す働きがあります。日常に取り入れるなら、紅茶に入れて毎日のお茶に「シナモンティー」を楽しむのがおすすめ。
<血流を良くするメニュー>
・さんまの生姜煮
・玉ねぎ、なす、黒きくらげの炒めもの

さんまの生姜煮

生活習慣のポイント

太り過ぎの状態は、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の大きな要因となります。肥満気味な人は生活習慣からしっかり見直して、積極的に改善することを心がけましょう。
・暴飲暴食はせず、食事は腹八分目を意識して。
・間食、夜中に食べる習慣はNGです。小腹が空いたらカロリーや糖質控えめおやつを選んで。
・肉より魚を積極的に。料理は減塩、減糖を意識することが大切です。
・適度な運動で新陳代謝をアップ。一駅前で電車を降りて、歩く習慣にするのもおすすめです。
・ストレスは食べ過ぎ飲み過ぎの原因に。日常の中でこまめに発散するよう心がけましょう。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。