ブルーな気分は冬のせい!?体質ケアで季節の「プチうつ」対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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ブルーな気分は冬のせい!?
体質ケアで季節の「プチうつ」対策

2021.12.21 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

冬本番を迎え「なんだか憂うつ」「やる気が出ない……」、そんな気分が続いている人は「ウインター・ブルー(冬季うつ)」かもしれません。この時期はクリスマスにお正月と、なにかと賑わうイベントシーズン。毎日を元気に過ごすためにも、中医学のセルフケアで心身を健やかに整えましょう。

冬は「うつ気分」になりやすい季節

冬になると気分が落ち込んだり、気力がなくなったり……。こうした精神不調が起こるのは、単なる気のせいではありません。
人の脳は、日光を浴びると「セロトニン」というホルモンを分泌します。セロトニンは “幸せホルモン”とも呼ばれ、精神を安定させる働きがある物質。そのため、日照時間の短い冬は分泌量が大きく減り、精神が不安定になると考えられています。
中医学でも、人は季節の変化や天候など、自然界の影響を強く受けていると考えます。冬は暗い時間が長く寒さも厳しいため、気持ちが落ち込みやすい時期。さらに、冷えやストレスの影響で「気」(エネルギー)の巡りが滞りがちになり、イライラや憂うつ感などの不調を感じやすくなります
気の巡りが滞る「寒凝気滞」「肝うつ気滞」の状態は、冬季うつになりやすい体質といえます。心と体の状態は密接に関係しているので、体質からしっかり改善してうつ気分を解消しましょう。

【冬うつ対処法(1)】冷えが気になる「寒凝気滞(かんぎょうきたい)」タイプ

寒さには“流れを滞らせる”という性質があるため、冬の寒さで体が冷えると「気」(エネルギー)の巡りが滞りがちに。すると、気のエネルギーが体内に停滞して、イライラや憂うつ感といった不調を感じやすくなります。
また、気が滞ると「瘀血(おけつ)」(血行不良)を招きやすく、頭痛や肩こり、生理痛といった不調に悩まされることも。痛みが続くとブルーな気分も悪化してしまうので、気になる症状があれば積極的に改善するよう心がけましょう。
【養生の基本】
体を温めて冷えを改善し、気・血をスムーズに巡らせましょう。
【よくある症状】
手足の冷え、憂うつ感、不安感、イライラ、頭痛、肩こり、生理痛 など
【食養生】
体を温め、気・血の巡りを良くする食材
辛味野菜:しょうが、ねぎ、玉ねぎ、にら、にんにく など
冬野菜:かぼちゃ、さつまいも、じゃがいも、にんじん、ブロッコリー、カリフラワー など
香辛料:こしょう、フェンネル、八角、カルダモン、クローブ、唐辛子、紅花、うこん など
〜おすすめ料理〜
・タジン鍋の蒸し野菜サラダ(冬野菜にパプリカなどで彩りを)
・体が温まる鍋料理(しょうがや長ねぎをたっぷり入れて)
・香辛料たっぷりのカレー
【暮らしのポイント】
・冷たい飲食物は控えめに。冬のお酒はホットワインや熱かんなどがおすすめです。
・体を温める服装を心がけて。足首、手首、首元は特に冷えやすいので保温対策をしっかり。
・晴れた日は外で運動を。日光浴はセロトニンの分泌を促し、運動は冷え予防につながります。

タジン鍋の蒸し野菜

【冬うつ対処法(2)】ストレスが多い「肝うつ気滞」タイプ

「肝」は体内の「気」(エネルギー)をスムーズに巡らせ、ストレスをコントロールする働きを担っています。そのため、過剰なストレスなどで肝が疲れてしまうと、働きが低下して気の停滞を招くように。その結果、ストレスの発散も上手くできなくなり、精神トラブルを起こしやすくなるのです。
こうした体質に冬の日照不足や寒さのストレスが重なると、精神不調も改善しにくいので要注意。気持ちに元気がないなと感じたら、早めの対処で体質を整えましょう。
【養生の基本】
肝は”のびのびした状態”を好む臓器。ストレスを溜めず気持ちをリラックスさせて、気の巡りを良くしましょう。
【よくある症状】
イライラ、憂うつ感、情緒不安定、お腹の張りや痛み、ガスが多い、のどの詰まり など
【食養生】
ストレスを発散させ、肝を元気にする食材
香草類:春菊、三つ葉、大葉、セリ、セロリ、パクチー、金針菜 など
柑橘類:みかん、オレンジ、グレープフルーツ など
ハーブ類:ミント、ローズ、ラベンダー、カモミール など
血を養う:レバー、かき、あさり、しじみ など
〜おすすめ料理〜
・牡蠣と春菊の鍋(あさりでもOK)
・ムースやゼリーなど、オレンジ入りのデザート
・ミントとローズのハーブティー
【暮らしのポイント】
・親しい人と楽しく会話を。ちょっと贅沢なディナーなどで非日常を楽しむのもおすすめ。
・音楽を聴いたり読書をしたり。仕事や家事だけでなく、時間を見つけて趣味を楽しんで。
・過労や睡眠不足、過度な飲酒は、肝の疲労を招くので気をつけて。
・1日の中でリラックスする時間を。お気に入りのアロマで気分を落ち着かせるのも効果的。
・適度な運動はストレスを解消し、自律神経を整えてくれます。晴れた日は外で、雨の日は屋内で、体を動かす習慣をつけましょう。

牡蠣と春菊の鍋

ツボ療法でブルーな気分を解消

冬のおすすめは、体を温めるツボと気の巡りを良くするツボ。なんとなくイライラするな、憂うつだな、と感じたらぜひ取り入れてみて。
・体を温める肩甲骨の内側をカイロやドライヤーで温めて。
・気を巡らせるツボを指押しマッサージ。
合谷(ごうこく):手の甲、人差し指の骨のキワ
太衝(たいしょう):足の甲、親指と第二指の骨が接する付け根

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。