中医美容で「菌活スキンケア」〜湿気や汗の肌トラブル対策〜〈二十四節気の中医美容学:芒種・夏至〉 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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中医美容で「菌活スキンケア」
〜湿気や汗の肌トラブル対策〜
〈二十四節気の中医美容学:芒種・夏至〉

2021.06.01 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン Vol.62

6月の節気(※)は「芒種」(ぼうしゅ)と「夏至」。しっとりと雨の降る田植えの季節です。夏至には昼の時間がもっとも長くなり、夏に向けて日ごと暑さが増していきます。梅雨を迎えるこの頃は、湿気が多く雑菌の繁殖が気になる時期。肌の常在菌にも影響してさまざまなトラブルにつながるので、中医美容学を生かした“菌活スキンケア”で健やか肌を保ちましょう。
※二十四節気:1年の気候変化を24に分けて表したもの

肌の状態を左右する「皮膚常在菌」

人の体と共存し、健やかな体づくりに役立つ常在菌。免疫と関わる「腸内フローラ(常在菌叢)」はよく知られていますが、常在菌は肌表面にも存在しています
<3つの皮膚常在菌>
善玉菌
肌に良い影響を与える菌。潤い成分をつくったり、外部の刺激から肌を守ったりする働きをしています。
悪玉菌
肌トラブルを引き起こす菌。通常は数が少なく無害ですが、増えすぎると肌荒れや皮膚炎の要因となります。
日和見菌
良くも悪くもなる菌。肌に善玉菌が多いと良い働きを、悪玉菌が多いと悪い働きをします。アクネ菌もその一つで、悪玉菌が多い肌ではニキビの要因に。
トラブルの少ない肌を保つためには、こうした常在菌がバランスよく存在していることが大切。梅雨から夏の時期は湿気や汗で常在菌バランスが崩れやすいので、日々のケアを心がけましょう。

“腠理力”(そうりりょく)で常在菌のバランスを保つ

中医美容学では、常在菌のバランスを保つためには「腠理(主に表皮から真皮までの組織)」の状態が整っていることが大切と考えます。これは、腠理を巡る「気(エネルギー)」「血」「津液(潤い)」が充実し、バリア力・保湿力・解毒力が高い状態のこと。腠理力の強い肌は善玉菌が生息しやすく、常在菌のバランスを保ちやすくなります。
一方、常在菌バランスの乱れには、外的・内的な要因があります。梅雨から夏にかけての主な外的要因は、湿気と熱。高い湿度と気温で皮脂分泌が盛んになり、カビ菌などが増殖しやすくなります。
内的要因は、ストレスなどで発生する「心」「肝」の熱、「脾胃(胃腸)」の不調による「湿(余分な水分や汚れ)」の停滞など。こうした熱や湿が肌にも影響し、腠理力が落ちて常在菌のバランスが崩れやすくなります。

体の内と外から。中医美容で“W菌活”【 スキンケア編 】

腠理力を高め、善玉菌が生息しやすい肌環境に。スキンケアは「補(バリア力・保湿力のアップ)」と「通(解毒力アップ)」がポイントです。
【おすすめの中医美容成分】
〜補(補潤)のケアに〜
バリア力、保湿力を高める生薬
人参、黄耆、当帰、地黄、薏苡仁、沙棘 など
〜通(解毒)のケアに〜
解毒作用(抗炎症、抗アレルギー、抗菌作用)のある生薬
紫根、地楡(ちゆ)、五行草、金銀花、緑茶、茵蔯蒿(いんちんこう)、苦参、黄柏、山椒、丁子(ちょうじ)、ラベンダーなど
【スキンケアのポイント】
洗顔や保湿、パックには、肌の状態に合わせて上記の中医美容成分を選んで。
●洗顔
洗顔で汗や皮脂を落としましょう。メイクは帰宅後すぐにオフ。朝は水洗顔のみでOKですが、オイリー肌の人はソープを軽く使って。
●パック
夏のマスク生活は肌が蒸れがちに。雑菌も繁殖しやすいので、解毒作用のある生薬パックで肌を整えましょう(生薬を煮出した液で3〜5分)。
●入浴
入浴で肌を清潔に。ただし、ゴシゴシ洗いは肌の皮脂膜を取りすぎ、腠理力に影響するので気をつけて。
●保湿
常在菌バランスを保つためには保湿も大切。全身をきちんと保湿しましょう。
●マスクケア
マスクをしている時は、解毒作用のある生薬液などでこまめにスプレーを。雑菌の繁殖を抑えて肌を整えましょう。
●メイク
ファンデーションのスポンジはこまめに洗って清潔に。細菌の繁殖がしやすく、肌トラブルの原因となります。
【おすすめ商品】
入浴時に:
保湿に:

体の内と外から。中医美容で“W菌活”【 体質ケア編 】

この時期に気をつけたいのは「脾胃」の不調。水分代謝が落ちると体内に「湿」が溜まり、肌にも影響してカビ菌が増殖しやすくなります。胃腸の不調を感じたら早めのケアを心がけて。
【体質チェック】
当てはまる項目があれば、脾胃が弱っているサインです。
□ オイリー肌
□ 髪のベタつき
□ むくみ(特に足)
□ 口のネバつき
□ 口臭、口渇
□ 汗が臭う
□ 頭や体が重だるい
□ 軟便気味
□ 舌淡、舌苔が厚い
【胃腸不調の食養生】
脾胃を養う食材、湿を取り除く食材を積極的に。水分の取り過ぎや過剰な塩分は、湿が溜まる要因となるので気をつけましょう。冷たい飲食も控えめに。
[おすすめ食材]
にんじん、じゃがいも、すいか、大根、もやし、はと麦、シナモン、しょうが、八角、こしょう など
[おすすめ生薬]
党参、白朮、薏苡仁、山薬、山査子 など
【胃腸を整えるツボ】
「足の三里」:膝頭の外側の下にできるくぼみから指4本下
「三陰交」:内くるぶしの指4本分上の骨の後ろ

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など