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漢方・中医学で薬食同源vol.3冬に食べたい体質別の薬膳鍋

STUDY中医学の基礎

漢方・中医学で薬食同源vol.3
冬に食べたい体質別の薬膳鍋

2021.01.19 UPDATE

1月は冬の真只中で鍋の温もりが一番恋しくなる時期。最近では鍋の種類や価値観も変化し、一人鍋でも十分に楽しめるようになってきました。日本と中国とでは国が違っても、冬になると鍋料理を食べたくなるのは同じです。そんな鍋の魅力を中国の鍋文化も交えてお伝えしていきます。

ルーツはあの人。地域によっても違う火鍋

中国でも冬になると、人気料理のひとつとして愛されているのが火鍋料理。もともとは内モンゴル、東北、北京などの寒い地方で盛んでしたが、清の時代になると四川省などの寒く、湿気も多い西南地域に広がってきました。
 
また、ここ数十年の中国の経済発展や流通の利便性の向上により、鍋料理のなかった上海や広州などの南方を含む中国全土まで浸透するようになりました。そんな火鍋は、内モンゴル、東北、北京などの北方地域では、チンギス・ハーンの影響で白湯にしょうが、ねぎ、白菜、豆腐、そして羊肉などをいれる羊肉のしゃぶしゃぶ鍋が定番のようです
 
一方、四川省などの湿気の多い西南地域では、唐辛子や花椒などの麻辣な香辛料をたくさん入れ、麻辣の紅湯に野菜や肉団子、魚や鶏肉などをいれるのが一般的です。湿気の多い地域に辛みのある食材が多いのは、辛味食材には発汗させて身体の中の湿を外に出す作用があるから。とくに四川省では、附子(ぶし)と羊肉の煮込みなど、寒湿を取り除く作用のある附子を使うこともあります。
 
また、日本で火鍋というと白と紅の2種類のスープで知られていますが、中国では一般的に白い鍋を火鍋と言い、秦の時代より前から始まったと言われ、青銅の鍋ができた頃から鍋料理が始まったと言われています。
 
ひと昔前までは鍋というと冬だけの料理でしたが、今では季節を問わずいつでも鍋料理が食べられるようになりました。とはいえ、やっぱり寒さが厳しい真冬は一番恋しくなりますよね。

冬に食べる鍋料理は理にかなっている!

1. 寒さで気血の巡りが悪くなる
中医学では「陰盛則寒」(陰が勝れば寒くなる)、「寒則血凝」(寒くなると血が滞りやすくなる)という言葉があります。
 
冬になると日照時間が短くなり、低温の日々が続きます。そんな冬の寒冷陰寒の気候は、私たちから体温を奪い、身体の芯から冷えを感じさせます。また、寒冷の気候で血管が収縮して血流が悪くなると、冷え症とともに頭痛、肩こり、関節痛、レイノー現象、しもやけなどを起こしやすくなる要因に。酷くなると腰痛、五十肩にも繋がるので注意が必要です。
 
2.陽の気を損傷する
中医学には、「陰盛則陽虚」(陰が盛んになると陽気を損傷する)という考えがあります。冬の陰寒の気候は陽気を傷つけ、身体を温める力を弱くし、外邪に対する防御力も低下させます。
 
身体やお腹が冷えると免疫力を下げることにもなり、風邪やインフルエンザなどの感染症リスクも高めてしまいます。とくに今年の冬は、新型コロナウイルス感染症予防のためにも免疫力を高めたいところですよね。
 
【寒い冬を乗り切る改善法】
冬の寒さによる体調不良を予防・改善するには、中医学の基本の治療原則である「寒者熱之」(寒の場合、熱を持って治療する)、「療寒以熱薬(食物)」(寒さの治療には熱性(温性)のものをもって治療する)です。これらの基本原則に従い、あつあつの料理、また温・熱・平性の食材を多く使う料理を取り入れるのが良いでしょう。
 
体温が上がると免疫力も高くなるといわれるように、今こそが身体を温める鍋料理の出番です。鍋料理におすすめの食材は、やはり平・温・熱性のものです。
 
温熱性:長ネギ、しょうが、人参、キャベツ、にら、たまねぎ、羊肉、山椒 など
平性:白菜、春菊、小松菜、鶏肉、じゃがいも など
 
免疫力を高めるしいたけ、マッシュルーム、ブロッコリーなども良いですね。また、大根やほうれん草は、体の熱を冷ます涼性ですが鍋に入れれば冷やす性質を減らすことができるので鍋料理によく用いられます。
 

中医学講師おすすめ!体質別の薬膳鍋

少し前までは昆布や鰹節で出汁を取って鍋を作っていましたが、現在ではたくさんの鍋の素がスーパーに出回り、それらを利用すると簡単に鍋料理ができます。
 
そこにちょっとだけ中医学の知恵を借りて、自分の体の状態に合わせ入れる食材などを調節すれば、より一層身体に良い鍋になります。
 
1. 女性に多いお悩み改善鍋
[症状]
冷え症、頭痛、肩凝り、レイノー症候群、しもやけ、冷えからくる腹痛、下痢、腰痛、月経痛
 
[おすすめ食材]
しょうが、長ネギ、にら、白菜、にんじん、鶏肉のつみれのほかに、血流を促す効果がある青魚のいわしのつみれ、黒きくらげ、山椒
 
2.免疫力向上鍋
[症状]
風邪ぎみ、感染症予防
 
[おすすめ食材]
しょうが、長ネギ、香味野菜 など また、免疫力UP効果が期待できるしいたけ、しめじ、舞茸などのきのこ類や旬のブロッコリー、鶏や豚肉などの肉類
 
3. 潤いアップの美容鍋
[症状]
肌のかさつき、乾燥タイプの肌トラブル
 
[おすすめ食材]
潤い作用のある豆乳を使った豆乳鍋、補血・潤膚作用のある牡蠣、ほうれん草、クコの実、棗、竜眼肉(りゅうがんにく)、はまぐり、白きくらげ、豆腐、湯葉、レタス 

体質や体調に合わせた鍋で養生しよう

昔ながらの火鍋からトレンド感たっぷりの鍋まで、さまざまな鍋が出回っています。時間がなくても料理が苦手でも、体質に合わせた食材をカットして煮込めば出来上がり!簡単な鍋養生ですよね。もちろん、鍋の素を使わなくても、骨付き肉などで出汁をとるのもおすすめです。
 
ただ、鍋料理でお腹を温めた後やお風呂上がりにアイスなどの冷たいものは避けるようにしましょう。また、〆のラーメンやうどんをする時は、塩分にも気をつけてください。今年の冬こそ、心も体もほっと温まる鍋で乗り切りましょう!
 

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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