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漢方・中医学で薬食同源vol.2ー漢方薬の宝庫「桑」ー

STUDY中医学の基礎

漢方・中医学で薬食同源vol.2
ー漢方薬の宝庫「桑」ー

2020.12.15 UPDATE

漢方・中医学で薬食同源vol.2

最近では、スーパーフードの「マルベリー」としても知られるようになった桑の実。桑は実だけに限らず、葉・枝・根などいろいろな部位が生薬として重宝されてきた万能な植物。今回は、そんな「桑」(クワ科カラグア)の魅力についてみていきましょう。

桑とシルクロード

桑は、今では日本、韓国、ヨーロッパなど各地で見られるようになった落葉高木ですが、原産地は中国であり、一番古い樹木の一種。古代の中国人は、桑を用いて養蚕(ようさん)を行い、シルクと織物の製法を築き、シルクロードを通じて世界の人々の生活様式に大きな影響をもたらしてきました
かつて山西省で発掘された新石器時代の「仰韶(ぎょうしょう)文化」の遺跡に繭の殻が発見され、推算すればなんと5千年前のものだそうです。

桑は漢方薬の宝庫!

約1800年前の中国最古の薬物書の「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」でも、桑葉(そうよう)、桑白皮(そうはくひ)などが記載されています。古来より桑全体が漢方薬の宝庫であった証でもあります。
 
中医学で考える桑の効能
【桑葉(そうよう):桑の葉】
[薬味]苦味・甘味 [性質]寒性 [帰経]肺・肝に作用
効能:
1.去風散熱(風熱の邪気を取り除く)・潤肺止咳(肺に潤いを与え、肺の機能を改善し咳を鎮める)
のどが腫れて痛い、発熱、咳、喀痰(かくたん)の風邪など。有名な代表方剤は桑菊飲(そうぎくいん)があります。
 
2.平肝明目(肝の高まりを鎮め、血圧を安定させ目を鮮明にする)
ストレスの蓄積により肝火が上がり血圧が不安定、または血圧が高く、めまい、頭のふらつき、目が充血や肝腎不足による視力減退など。
 
【桑椹(そうじん):桑の実】
[薬味]甘味・酸味 [性質]寒性 [帰経]心・肝・腎に作用
効能:
滋陰・補血(陰血を補い、身体・目・髪に栄養を与える)・烏髪(陰血を補い、身体・目・髪に栄養を与えカラスのように黒々とした髪が生える)。また、通便作用もある。
過労や加齢による陰血不足やめまい、かすみ目、耳鳴り、白髪、若白髪、不眠、便秘など。月経量が少ない、妊娠しにくいなど虚証タイプの女性に効果を発揮します。
 
【桑枝(そうし):桑の枝】
[薬味]苦味 [性質]平性 [帰経]肝に作用
効能:
袪風除湿(風湿の邪気を取り除く)・通絡止痛(経絡中の気血の流れを良くする)
風湿邪気による関節痛、関節のこわばり、関節のむくみ、筋肉痛、筋肉の痺れなど。また、利尿作用もあるので、下肢のむくみにも良いとされています。
 
【桑白皮(そうはくひ):桑の根の皮】
[薬味]甘味 [性質]寒性、[帰経]肺に作用
効能:
止咳平喘(咳をとめ呼吸困難を緩和する)・利尿消腫(水湿、水腫を治す)
喘息、息切れ、呼吸が苦しい時に使われる。利尿効果があり、浮腫み、尿の出がよくないときに使われる。桑枝と一緒に使うと効果大。
 

桑葉

桑を使ったおすすめ薬膳茶

桑葉:
【乾燥した桑の葉と菊花のブレンド茶】
血圧が高い、喉の腫れに作用。
 
【桑茶と杜仲茶のブレンド茶】
五十肩、リウマチ、腰痛などの関節痛に作用。
 
桑椹:
【桑の実のジャムとクコの実入り紅茶】
眼精疲労、目のかすみに作用。
 
桑枝:
【桑の枝を煎じたクワ茶】 
減痛や利尿作用があり、血圧が高くむくみがでる人におすすめ。
桑の枝の性味は平(温めも冷やしもしない)のため、関節にやや熱感がある場合により効果を発揮します。もし、冷えて痛みを感じるときは桂枝を使うと良いでしょう。自身の痛みの状態を観察して使い分けてみてくださいね。
 
桑白皮(桑の根の皮):
【桑白皮入り黒豆茶】
補腎(ほじん)効果、利尿効果。
注)肺のトラブルによく用いられる桑白皮ですが、尿の出が悪くむくんでいるときにおすすめ。

桑の魅力を知って養生に活用しよう

余すところなく使える桑の魅力をお伝えしました。簡単に分類すると桑葉、桑枝、桑白皮は、実証タイプ(体内に余分なものが溜まり過ぎてしまう)の症状に。桑椹は虚証タイプ(身体に必要なものが足りていない)の症状に使うと覚えるとわかりやすいかもしれません。
 
スローエイジング・気血を補いたい人に大変おすすめの桑。シルク製品はもちろん、お茶など日常生活でも取り入れやすいので、ぜひ活用してみてくださいね。

桑の木畑

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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