見た目年齢を左右する!「首のシワ・たるみ」のお手入れ法 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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見た目年齢を左右する!
「首のシワ・たるみ」のお手入れ法

2020.08.04 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン vol.52

年齢を重ねると、気になり始める首のシワやたるみ。あまり目立たないようで、実は“見た目年齢”を大きく左右するやっかいなトラブルです。顔のお手入れはしっかりしていても、首はノータッチという人は意外と多いので、ぜひこの機会にネックケアを習慣に。マッサージや体質改善で、ふっくら肌のキレイな首元をキープしましょう。

首のシワ・たるみの原因は?

皮膚の構造は、顔も首も基本的には同じ。ただし、首の皮膚はとても薄く、皮膚割線(目に見えない皮膚の線)が横に走っているため、頷いたりうつむいたりといった日常の動作で横ジワができやすくなります。また、首は露出しているため、さまざまな刺激を受けます。紫外線のダメージも受けやすくコラーゲンが減少すると、光老化となって現れます。年齢を重ねると縦ジワやたるみが目立ちやすくなることも。

また、首には靭帯がないことも特徴で、皮下組織の加齢変化がシワやたるみに大きく影響するとも考えられています。

一方、首は汗が多く、ほこりやウイルスなどの影響を受けやすいことから、特に敏感肌の人は紅斑やかゆみといった肌トラブルが起こりがち。こうした炎症が皮膚の老化を招き、縦ジワの増加につながることもあります。

◎横ジワの主な要因:加齢、日常の動作(頷く、うつむく等)
◎縦ジワの主な要因:加齢、紫外線や炎症によるダメージ

※皮膚疾患の可能性
首にできるブツブツとしたイボは、「スキンタッグ」「軟性繊維腫」「ビダール苔癬(たいせん)」といった皮膚疾患の可能性も。気になる症状がある人は、医師の診察を受けるのをおすすめします。

 

肌の老化につながる「腎」の不調

加齢とともに目立つようになる首のシワやたるみ。中医学では、こうした肌の老化は五臓の「腎」と深く関わっていると考えます。

腎は生殖、ホルモン分泌、自律神経などと広く関わり、生命活動の源となる臓腑。そのため、腎の働きが弱くなる(腎虚)と生命力が落ち、さまざまな老化症状が起こりやすくなります。

もちろん、肌への影響も大。腎は身体の潤いやエネルギーの源で、コラーゲンの生成とも深く関わっています。そのため、腎が衰えると肌の乾燥やエネルギー不足を招き、老化が目立ちやすくなるのです。

【腎虚のタイプ】
(1)腎陰虚:腎の陰液(全身の潤いの源)が不足しているタイプ
(2)腎精虚:腎精(生命力の源)が不足しているタイプ
(3)腎陽虚:腎の陽気(身体を温めるエネルギー)が不足しているタイプ

腎は加齢とともに自然と衰えていく臓器で、女性は35才頃からその傾向が強くなるとされています。老化の進行を穏やかにするためにも、早めに腎のケアに取り組みましょう。
また、肌の弾力を支える筋肉は食事の栄養によって養われるため、腎と合わせて「脾胃(ひい)」(胃腸)を元気に保つことも大切です。

 

今日から習慣に! 中医美容のネックケア

顔とセットでお手入れすれば自然と続けられるので、ぜひ取り入れてみて。習慣にすることで、年を重ねてもキレイな首元のキープにつながります。

【キレイな首元をつくる3つのケア】
(1)洗う:薬用ソープで清潔をキープ
首は汗をかきやすいので、炎症を起こさないためにも清潔な状態を保つことが大切。解毒作用のある苦参(くじん)、紫根(しこん)などを配合した薬用ソープで、1日2回程度洗いましょう。

(2)パック:皮膚の常在菌バランスを整える
五行草のパックで肌を清浄に。雑菌が繁殖しやすい夏は特におすすめです。
・五行草6g(緑茶3gでも代用可)を400mlの水に入れ、半量くらいまで煮詰める
・煮出した液を首用のタオルなどに浸し、5〜10分程度パック

(3)マッサージ:首のたるみを予防
肌に負担をかけないよう、マッサージオイルやクリームなどを使ってお手入れを。
・首筋を下から上へ引き上げる(左右10回)
・後頭骨の下のくぼみのツボ「風池(ふうち)」を押す(10回)

【ネックケアの注意点】
・首は皮脂膜が多いため、保湿はローションのみでOK。乾燥が気になる人は少量のクリームを。
・汗拭きシートの使い過ぎは肌の負担になることも。汗を拭くときは濡らしたタオルで十分です。
・日焼けケアも小まめに行いましょう。

エイジングケアは「腎」の養生から

不調が起こる前に対処する「未病先防(みびょうせんぼう)」という考え方は、中医学の基本。首のシワやたるみも、くっきり目立つ年齢になる前に早めの対処で予防しましょう。

【タイプ別「腎」のケア】
(1)「腎陰虚」タイプ
潤い不足で身体をうまく冷ませず、ほてり、のぼせ、イライラなどの症状が現れます。睡眠をしっかり取って交感神経を鎮め、食事は豚肉、鴨肉、鶏肉を多めに。トマト、きゅうり、なす、アスパラガス、梨など、潤しながら熱を冷ます野菜・果物も積極的に摂りましょう。

【おすすめ食薬両用生薬】
枸杞子(クコの実)、すっぽん、亀板(きばん)、桑椹(そうじん) など

(2)「腎精虚」タイプ
生命力の源「精」が不足している虚弱体質で、生理不順、不妊症、早期の老化(脱毛、難聴など)といった不調が起こりやすくなります。このタイプは過労、過剰な性生活などを避けることが大切。食事は身体のエネルギーとなるタンパク質や肉類、魚類を多めに取りましょう。

【おすすめ食薬両用生薬】
哈士蟆油(はしまゆ)、紫河車(しかしゃ・プラセンタ) など

(3)「腎陽虚」タイプ
身体を温めるエネルギーが不足しているタイプ。季節を問わず、冷えに悩まされやすいので、服装や冷房の調節で夏でも身体を冷やさない工夫を。食事は羊肉、牛肉、鹿肉、うなぎ、えび、くるみ、シナモンなど温性の食材を積極的に摂り、冷たい飲食は控えましょう。
中医学には「冬病夏治(とうびょうかじ)」(冬の不調は夏に予防する)という言葉があります。「腎陽虚」の人は秋冬にかぜを引きやすい傾向があるので、夏の間にしっかり体質を整えておきましょう

【おすすめ食薬両用生薬】
鹿茸(ろくじょう)、杜仲(とちゅう)、紫河車 など

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など