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中医学的筋トレ!肌の美白・ツヤにまで影響する「筋肉」をつける方法

2020.02.04 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン vol.46

ダイエットやスタイル維持のために取り組む人も多い筋トレ。実は、これが美肌づくりと深く関係していることをご存知でしょうか。最近の研究では、筋肉量の多い人ほどシワやシミの少ない“美肌体質”であることもわかってきたのだそう。
ぜひこの機会に日々のトレーニングを習慣にして、体も肌も元気にキレイをめざしましょう。

美白からツヤまで。驚きの筋力効果

筋力と美肌。一見無関係のようですが、そこには肌の弾力維持から美白効果まで、さまざまな関わりがあります。
【筋力が肌に与える影響】
(1)肌の弾力を保つ
筋力は皮膚や脂肪を支え、重力の影響で垂れ下がるのを防いでくれます。そのため、顔の筋力が十分にあれば、たるみにくく、弾力のある肌を保つことができます。
反対に筋力が弱いとしわやたるみができやすく、特に筋肉が柔らかい目の下などは、たるみが目立ちやすくなります
(2)「マイオネクチン」が美白に有効
筋肉で作られるホルモン「マイオネクチン」。最近の研究で、このホルモンにメラニンの生成を抑える可能性があることが示唆されています。つまり、十分な筋肉を保つことで、シミ予防や美白に効果が期待できると考えられているのです。
(3)肌のターンオーバーを促進
ターンオーバーを促し、肌ダメージを回復させる「成長ホルモン」。このホルモンは運動時に分泌されやすいため、筋トレなどを習慣にすることで健やかな肌づくりにつながります
(4)血流アップで肌に栄養
運動をして筋肉量が増えると、血行も良くなります。すると、血液によって運ばれる栄養や潤いが肌にしっかり行き届くため、肌が健やかに保たれます

筋力アップに不可欠な「脾胃」の働き

中医美容学では、筋力を維持するためには、十分な「気」が必要と考えます。「気」は体の活動を支えるエネルギーで、新陳代謝を促す力でもあります。そのため、「気」が充実していれば筋力を保ちやすく、ツヤやハリ、弾力のある健やかな肌が保たれるのです。
また、五臓の中で筋肉や筋力維持と密接に関わるのは「脾胃(ひい)」(胃腸)の働きです。脾胃は、食事の栄養をもとに「気」を生み出し、栄養物質を体のすみずみに運ぶことで筋肉を養います。そのため、脾胃が弱く十分に栄養を取ることができないと、肌にも影響してシワやたるみ、全身のセルライトなどが目立ちやすくなるのです。
筋肉は体質によってつきにくい人もいますが、大切なのはトレーニングを習慣にして、栄養をしっかり取るよう心がけること。筋トレはとかく三日坊主になりがちですが、“継続”を意識して筋力アップをめざしましょう。

どこでもできる「プチ筋トレ」!

筋トレは“継続”がとにかく大切。紹介するトレーニングはどこでも簡単にできるので、ぜひ毎日続けてみて。体内の「気」は動くことでも生まれるので、長期間継続すれば「気」が充実し、ハリのある肌につながります。
【顔の筋肉体操】
・空気を口いっぱいに含んで頬を膨らませ、20〜30秒数えてキープ。
・しっかり力を入れて、口を「あ」「い」「う」「え」「お」の形に。それぞれ10秒キープ。
【かんたん腹筋】
空気を大きく吸い込み、お腹をぐっと引き締めて20〜30秒キープ(無理のない時間で)。
上記を1日各3セットを目標に。別の作業をしながら、スキマ時間にやって習慣にしましょう!
このほか、体を鍛える一般的なトレーニングももちろん効果があります。“続けられること”を基準に、自分に合った筋トレを実践してください。

筋力のつきやすい体質づくり

がんばってトレーニングを続けても、体質によって効果が出にくいことも。筋肉・筋力の基本となる「脾胃」を健やかに整えて、日々の筋トレを体質からサポートしましょう。
(1)脾胃のエネルギー不足「脾気虚(ひききょ)」タイプ
脾胃のエネルギー不足で働きが弱くなると、消化吸収の力が落ちて栄養を十分に取ることができず、筋肉・筋力がつきにくくなります。水分代謝も落ちるため、水太りのぽっちゃり体型を招きやすくなります。
【気になる症状】
むくみ、水太り、目の下のたるみ、冷え、血色が悪い、顔色が黄色い、お腹の張り、軟便・下痢、疲労感、四肢に力が入りにくい、おりものが水っぽい、舌の肥大・歯の痕がつく、舌苔が厚く白い
【おすすめ食材・生薬】
しょうが、しそ、キャベツ、羊肉、牛肉、鹿肉、こしょう、山椒、シナモン、雑穀、はと麦 など
※中国では、鶏肉などの食材に田七人参・黄蓍(おうぎ)・白朮(びゃくじゅつ)などの生薬を入れた田七人参鍋が人気。脾気虚タイプにおすすめです。
(2)持ち上げる力が弱い「中気下陥(ちゅうきかかん)」タイプ
脾胃には、栄養など体に必要なものを“上へ持ち上げる”という働きがあります。脾胃が弱く、脾胃の「気」が不足すると、内臓や皮膚を持ち上げる力も弱く、内臓下垂や肌のたるみの原因になります。
【気になる症状】
痩せ気味、内臓下垂、下腹部に脂肪がつきやすい、お腹が出ている(食後は特に目立つ)、めまい、ふらつき、疲れやすい、起立性低血圧、顔色が黄色い、唇の乾燥、食べ過ぎると便秘になりやすい、舌の色が淡い、舌苔の色が薄くて白い(薄白苔)
【おすすめ食材・生薬】
焼き魚、豚肉、鶏肉、スッポン、かぼちゃ、山芋、里芋、納豆、きのこ類、粟、薬用人参・西洋人参(健康食品など) など
※中国では、人参烏龍茶などが選ばれ、中気下陥タイプの方に親しまれています。

脾胃を健やかに保つために気をつけたい「NG習慣」

・「冷たい飲み物」「生もの」は脾胃の負担になるので控えめに。
・脾胃に不調がある時は、体のエネルギーも不足しがちになっています。そんな時は、ムリをして体を動かさないこと。トレーニングも遊びも、ほどほどを心がけましょう。
「脾胃」は「気」の源です。「脾胃」を健やかに保つことは、美容はもちろんのこと、ヘルスケア全般に影響します。
まずはNG習慣を避け、無理なく筋トレを続けることを目標に始めてみましょう。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など