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中耳炎になりやすい体質を中医学で改善する方法

2020.01.21 UPDATE

監修:車田 光穂 先生(中医アロマセラピスト)

みなさんは「中耳炎」になったことがありますか?中耳炎は子どもがかかりやすいと言われていますが、実は大人も発症してしまうことがあります。

中耳炎とは、鼓膜の奥に菌が繁殖し膿がたまる状態のこと。かぜが流行る時期は、鼻や喉の粘膜が炎症を起こしやすく、中耳炎になりやすいです。また、早い方だと1月から花粉症を発症し、そこから発展して中耳炎を引き起こすパターンもあります。中耳炎はきちんと対処できないと治まるまでに数ヶ月かかったり、繰り返しやすくなります。
今回は、中耳炎を引き起こさないためのケアをご紹介します。

中耳炎における大人と子どもの差

中耳炎というと、耳に原因があると思われがちですが、実際は鼻から入ってくる菌に原因があります。鼻と耳をつなぐ「耳管(じかん)」という部位で菌が繁殖し、炎症へと至ります
中耳炎が大人より子供に起こりやすいのは、子供のほうがこの耳管が太く短く、傾きも水平に近いため。菌が入り込みやすく、さらに免疫力が弱いので、そこから菌の繁殖へつながりやすいとされています。

中耳炎になりやすい体質とは

中耳炎になりやすい人は、中医学的には「衛気不足(えきぶそく)」のタイプといえます。
「衛気」とは現代医学的に言えば、肌のバリア力。皮膚や鼻・気管支などの粘膜の強さのことです。この「衛気」を司る「肺」は、呼吸器の働きだけでなく、免疫系や皮膚、鼻に関係が深いといわれています。肺を健やかに保つことで、免疫力アップにつながるのです。

中医学で考える「肺」の働きと養生について詳しくはこちら

衛気強化の漢方薬や食材で予防

【おすすめ漢方】
漢方薬では、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という方剤を使うことがあります。体の表面に屏風を立てて、外からの邪気を防ぐ効能があるというのが、名前の由来です。玉(ぎょく)とは、中国では翡翠などの宝石一般を指します。玉で作った屏風、つまり頑丈に防ぐという意味を指しています。
中身は、衛気を補い、皮膚や粘膜のバリア力を上げてくれるといわれる、黄蓍(おうぎ)・防風(ぼうふう)・白朮(びゃくじゅつ)という3つの生薬で構成されています。
【おすすめ食材】
・長芋、大和芋など
・にんじん、ピーマン、パプリカ、かぼちゃなどの緑黄色野菜
・しいたけ、マッシュルーム、えのき、しめじなどのきのこ類
・しょうが、玉ねぎ、ねぎ、みょうがなどの辛味野菜(少量でよい)
・かつお、鶏肉、豚肉、卵など
【控えたほうがいい食材】
・乳製品(チーズや牛乳などの加工されたもの)
・小麦製品(パン、菓子パン、クッキー、ケーキ、加工小麦食品全般)
・体温より低いものの摂りすぎ(常温のものや生のもの含む)

衛気強化の精油と続けたい生活習慣

【おすすめ精油】
ティートゥリー、ユーカリ、ラベンダー、パインニードル、サイプレス、レモン、ペパーミント
これらの精油をホホバオイルで1%濃度に希釈(5mlのホホバオイルに対して1滴(1滴0.05ml))し、綿棒で鼻の粘膜に塗るのもおすすめです。
初めて行う場合は、いきなり鼻に入れず、必ず他の部位で試してみてからに行いましょう。特にペパーミントは清涼感が強いので濃度には充分ご注意ください。
粘膜にすでに炎症がある場合は、特に慎重に。皮膚がもともと弱い方は、マスクに垂らして使うのも良いでしょう。
【生活習慣のポイント】
・中耳炎かもと思ったら、早めに耳鼻科へ行き対処すること
・かぜを長引かせないこと
・かぜをひいている時は、飛行機に乗らない。
どうしても乗らなければならない場合は、鼻汁を溜めず、都度出し切ること。のど飴を舐めるなどして適度な保湿と、つばを飲み込むことによってきちんと耳抜きを定期的にしましょう。
寒さに負けず、元気に冬をお過ごしください。

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この記事を監修された先生

中医アロマセラピスト車田 光穂 先生

車田 光穂(くるまだ みつほ)
登録販売者、国際中医専門員、中医アロマセラピスト、日本中医薬研究会会員店にて3年間勤務。その後イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学び、イスクラ薬局六本木店の店長を経て独立。現在は東京・南麻布にて「漢方四月一日庭(つぼみてい)」の庭主として、漢方薬だけでなく、食事、アロマセラピーなどの養生法を適材適所で使い、心地よい生き方を提案している。