よく分かる中医学vol.7-感情と「心」の関係- - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

STUDY中医学の基礎

よく分かる中医学vol.7
-感情と「心」の関係-

2018.01.30 UPDATE

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

前回の記事「よく分かる中医学vol.6-「心」の働き-」で、生命活動の中心を担う「心(しん)」の2つの働きについてご紹介しました。
今回は感情と「心」の関係と、外見に表れる「心」の不調、暮らしの中でできる「心」の養生についてご紹介します。

感情と「心」の関係

「病は気から」という言葉がありますが、精神的なストレスや悲しみや怒りといった感情も、身体や健康状態に影響を及ぼします

中医学では、精神や感情の状態を「喜・努・憂・思・悲・恐・驚」の七つに分類し、これを「七情(しちじょう)」と呼んでいます。
七情は、それぞれ五臓(心・脾(ひ)・肺・腎・肝(かん))と深く関わり、強い怒りや悲しみなどの感情の種類によって、症状が現れる部位(五臓)が変わります。反対に五臓にトラブルが発生すると、感情にも変化が起こります。

心は「喜び」と密接に関わっています。古典には、「喜則気緩(きそくきかん)」(喜びは気を緩める)とあり、適度な喜びは、心に良い影響を与え、気血の流れがスムーズに
ただし、過剰な喜びは要注意。気が緩みすぎて集中力が低下することも。
一方、喜びを感じることが少ない場合には、「血(けつ)」や「水」(体に必要な水分)の不足が考えられます。

●喜び過剰タイプ
・症状:喜びすぎて精神が集中できない、興奮しやすい
・摂り入れたい食材:ゴーヤ、たけのこ、クチナシ など
・おすすめメニュー:ゴーヤチャンプルー、たけのこの煮物

●喜び不足タイプ
・症状:悲しくなりやすい、涙もろくなる、不眠、動悸
・摂り入れたい食材:小麦、鶏ハツ、シナモン、百合根 など
・おすすめメニュー:押し麦と百合根のお粥、百合根入り茶碗蒸し

「心」の不調はココをチェック!

中医学では、「心」の不調は顔色や舌の状態に現れると考えます。
気になる症状があれば、積極的に養生してみてください。

●顔の色つやでわかる心の働き
「心主血脈、其華在面」(心は血脈を司り、その華は顔にある)と中医学の古典にも書かれているように、心の働きは顔で見ることができます。

心の機能が正常であれば、顔の血色は良く、潤ってつやがあります。
一方、気が不足すると顔のむくみ、血の不足では顔色が青白く、つやもありません。血行不良の場合、顔や唇が青紫色に見えます。

●舌に反映される心の状態
「舌は心の苗為り」と言われるように、心の状態は舌に現れます。正常であれば、やや紅く、潤いがあり、動きも滑らかです。

・冷え:舌の色が淡く厚みがある
・血と潤いの不足:舌の色が紅く痩せている
・ストレス過剰、イライラ:舌の色が紅く、ただれがある
・血流の滞り:舌の色は暗紫色、黒っぽいシミやアザがある
・自律神経の乱れ:舌のこわばり、呂律が回らない

<暮らしの養生ポイント>

心の機能をしっかり整えるために、日頃の養生で気持ちを穏やかに保ちましょう。

●朝日を浴びて一日をスタート!
起きる時間はなるべく一定に。朝日を浴びながら腹式呼吸をして、陽気(エネルギー)をたっぷり取り込みましょう。

●質の良い睡眠を
夕方以降のコーヒーやお茶はなるべく控え、早めに就寝を。寝る前の入浴で身体を芯まで温めると眠りやすくなります。

●老廃物をスムーズに排泄
排尿・排便の調子を整え、老廃物をスムーズに排泄させましょう。身体の中をすっきり保つことで、血の質も良くなります。

●「一日一笑」を心がけて!
趣味やおしゃべりを楽しんで、一日に一度は「笑い」のある生活を。また、「少欲・抑目・静耳」(欲張らない、嫌なことは見ない・聞かない)の心がけも、ストレスを溜めないコツです。

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この記事を監修された先生

中医学講師菅沼 栄先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。