「今から始める妊活の漢方レッスン」in 神戸に参加してきました! - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

STUDY中医学の基礎

「今から始める妊活の漢方レッスン」in 神戸に
参加してきました!

2017.09.19 UPDATE

こんにちは、スタッフの西村です。
7月9日(日)に、週刊朝日MOOK『心とからだを整える本格漢方2017』出版記念講演会の第2弾として兵庫県神戸市にて「今から始める妊活の漢方レッスン」が開催されました。ご来場者は200人を超え、大盛況のうちに終了しました。

今回は、その模様をご紹介します。

第一部 不妊治療の最前線から学ぶ妊活の基礎知識
~卵子は老化する~

第一部のご講演では、神戸元町夢クリニック名誉院長の松本恒和(まつもとつねかず)先生にお話しいただきました。
近年の平均出産年齢では、第一子の出産が30代となっており高齢化しています。

知っておかなければならないのが、卵子の老化です。女性は胎児期に700万個の卵子が作られ、そこから先、新たに造られることはありません。つまり、約40年間、卵子と卵胞は、卵巣という缶詰の中に保存され、排卵のたびに数も減少していきます。その上加齢とともに、卵子と卵胞が老化し妊娠率が低下してきます。

卵巣内で卵子の老化が進むと、卵子が分裂・成熟する過程で分裂した卵細胞に染色体がうまく分配されず、細胞によって染色体数に不揃いができます。このような卵子が精子と受精すると受精卵の染色体数に異常が生じて流産の原因になります。卵子の染色体数の異常が発生する頻度は年齢とともに高くなり、流産が増加し出生率の低下をもたらします。
女性側の主な不妊因子としては、卵管での卵子のピックアップ障害、腹腔内出血やクラミジアなどによる腹膜炎から生じる卵管癒着や閉塞、そこから生じる卵管水腫、また、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮奇形などによる着床障害や、子宮内膜症が引き起こす卵子の質の劣化などが挙げられます。不妊因子をつきとめる不妊検査は妊娠に必要最低限の検査ですが、これで全ての原因がわかるわけではありません。

 

ご夫婦の年齢や検査結果により治療方法も変わってきます。将来子供がほしいと思っているのであれば、早急に男性、女性ともに検査を受けることをお勧めします。

 

不妊検査によって問題点が判明した場合はその治療を行い、問題点がわからない場合は、年齢的な余裕があればステップアップ法を行います。ステップアップ法は、まずタイミングを3~6回ほど行い、次に人工授精を3~6回、最後に体外受精を行う方法です。

 

体外受精の場合は、複数の卵胞を発育させるために排卵誘発法を行います。排卵誘発法は、自然周期、低刺激周期、高刺激周期の3つの方法に分けられ、それぞれ薬の量や使い方が異なります。

 

体外受精以外にも顕微授精という治療があります。顕微授精は一つの卵子に一つの精子だけを受精させる方法で、良い運動精子が足りない重度乏精子症や、運動能力が悪くて精子が卵子の所まで泳いで行けない重度精子無力症、及び人工受精では受精できない受精障害の場合が適応です。

 

漢方の中には、血流を改善する効果を持つものがあり不妊治療に有効です。全身の血流が良ければ脳から出るホルモンや酸素、栄養が子宮・卵巣などの骨盤臓器に到達しやすくなり、さらに子宮の内膜での細胞分裂が活発になる可能性が考えられます。しかし、漢方療法だけでは治療が難しい場合があります。外科的な処置が必要な癒着や子宮筋腫などには、西洋医学で対処するべきです。

 

妊活のコツは、「自分にあった施設や医師を選ぶ」ことです。担当医師の説明が十分で納得できるか、現在の治療法は卵巣や体に負担がかかりすぎていないかなど、自分のレベルに合った治療を勧めてくれる医療機関を選びましょう。
一日でも早くみなさんのその手で赤ちゃんを抱きしめてあげてほしいと願っております。


松本恒和(まつもと つねかず)先生プロフィール
神戸元町夢クリニック名誉院長
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医

第二部 中医学による妊娠しやすいからだのつくり方
~不妊の要因を知り妊娠力を高める~

続いて第二部の劉伶(りゅうれい)中医学講師の講演内容をご紹介します。

 

不妊に影響を与えている要因として、加齢、ストレス、夜更かし、たばこ、お酒などが考えられます。

まずは、自分できる妊娠力のチェックしてみましょう!

1.生理痛がひどい
2.生理不順
3.無月経
4.普段より生理の量が減っている
5.出血が7日以上続いている方

以上の5項目のいずれかに当てはまる方は要注意です。
さらに、排卵期のオリモノに注意することや体質のチェックも大切です。基礎体温をつけることで冷えの有無がわかります。また、常に乳房が張って痛い、妊娠していないのにしぼったら乳汁が出るなどの症状を見ていきます。他にはストレスや睡眠も重要です。

妊娠力を高めるポイントとして、たっぷりと血を養う「養血(ようけつ)」、血流を良くする「活血(かっけつ)」、生殖能力を充実させる「補腎(ほじん)」が大切です。

養血は、妊娠に必要な栄養を提供し、卵子や受精卵の成長、子宮内膜の改善にも役立ちます。活血は、気血のめぐりをよくして、月経の排泄や排卵をスムーズにする目的があります。補腎は、卵子の老化を遅らせ、卵巣機能やホルモンバランスを整えます。

妊娠のタイミングをはかるのに重要なのが基礎体温です。基礎体温からは、排卵の有無、黄体機能の正常、異常、ストレスが溜まっているかなどがわかります。正常な人は、月の前半は低温期、後半は高温期になります。低温期(36.2~3℃)から高温期(36.7℃)の間に一日だけスムーズに体温が上昇することをニ相性(にそうせい)の体温といい、だいたい0.3℃ほどあがります。

妊娠しやすい体づくりのためには、生理周期に合わせた養生が必要になります。(※詳しくは、『妊活のための中医学入門vol.3妊娠しやすいからだへ導く「周期調節法」とは』 にてご紹介しています。)

漢方をのむことで、自覚症状がよくなる、基礎体温が改善された、生理周期が整った、など生殖能力に関わる部分でも改善を期待できます。

また、ストレスは、基礎体温や生理周期の乱れ、生理痛、排卵障害、高ブロラクチン血症、不妊などすべてにつながりますので体にストレスがたまらないようにしましょう。

男性の不妊については、精子を元気にするためにたばこは控えましょう。さらにお風呂は、熱い風呂や温泉は精子によくありません。きつい下着やジーンズなども避けましょう。
中医学としてのサポートとしては、精子が少ない、運動率が低い、精液が黄色いなどは漢方によって改善が期待できます。

漢方は心身ともに整えるひとつの方法です。妊娠力を高めるには、「心身一如(しんしんいちにょ:心と体のバランス)」、心に栄養を与える、自分をほめてあげることが大切です。


劉伶(りゅう れい)先生プロフィール
遼寧中医薬大学客員教授
日本中医薬研究会専任講師

第三部 教えて先生!妊娠力UPのポイント

フリーアナウンサーの八木早希さんを迎えて、松本恒和先生、劉伶先生とのスペシャル鼎談(ていだん)が行われました。漢方を取り入れるタイミングや漢方と西洋医学の併用で注意する点など、参加者の皆さんからいただいた質問にお答えいただきました。

最後に八木さんより、励みになる言葉をお話しいただきました。

「48歳ではじめて出産をしたというイタリアの女性です。不妊治療を行ってつらかったけれども、子どもがほしいと思って頑張ることを“Beautiful Adventure”だと思って頑張ったとおっしゃいました。
冒険とは、予測できないことも多いですし、体の負担や不安がつきものですが、精子と卵子が出合うあの瞬間の映像は、奇跡にしか見えないと思いますので、『私は美しい冒険をしているんだ』と、ぜひ笑顔で治療を続けていただければと思います。」

 

今回の講演会で先生方や八木さんのお話を聞いて勇気をもらった、明日から行動しようというお声をたくさんいただきました。会場で行われた漢方相談会も大変好評でした。

今後も継続して講演会などを開催し、みなさんの生活に役立てる中医学の情報を伝えていきたいと思います。

 


八木早希(やぎ さき)さんプロフィール
フリーアナウンサー NHK「ぐるっと関西おひるまえ」、KTV「胸いっぱいサミット」などにレギュラー出演中

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