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西洋医学的にみた冷え症って?

SPECIAL特集

西洋医学的にみた冷え症って?

2016.10.18 UPDATE

前回インタビューさせていただきました東京医科歯科大学の別府正志先生に、西洋医学の視点から見た冷え症について教えていただきました。
(過去の別府先生へのインタビュー記事「「漢方薬は効かない」から180度変わった中医学との出会い」はこちらから
 
 

別府先生に冷え症について聞いてみました!

「冷え症(冷え性とも)」は西洋医学ではかなり軽視された症状と言えるでしょう。「症」とあっても病気とは認知されていません。命に関わらない病気の研究はどうしても遅くなる傾向があるので仕方ないのかもしれません。今回は西洋医学的に冷え症に迫ってみたいと思います。
 
実は「冷え症」に関して、医学的に広く認知された定義は存在しません。冷え症を研究しているグループなどが定義しているものが散見されますので、それらを参考に、私見を過去の臨床経験を基に述べていきたいと思います。

 

そもそも体温って?

動物にはご存じのように変温動物と恒温動物があります。ヒトはもちろん恒温動物。体温の調整機構は非常に複雑です。血流、発汗、筋肉の動きなどはよく知られていますが、内臓や脂肪、皮膚などの働きはほとんど解明されていません。
ただ一つ確実なのは、ヒトの体には天然の「体温計」があって、全ての発熱・放熱のコントロールはそれによって行われている、ということです。
ヒトの体温は、脳の視床下部にある「体温調節中枢」で管理しています。ここを温めると、汗が出たり血管が拡張して熱が放散され、冷やすと震えたり血管を収縮させて熱を作り出そうとします。皮膚にも温度を感じる器官があることが知られていますが、メインは視床下部です。体温調節中枢は、体温を一定に保つために温度を「セット」しています。通常、体の様々な働きがもっとも適当である37度ぐらいにセットされています。
ここに例えば細菌感染が来ると、39度ぐらいにセットされ、視床下部は体温が37度だと「寒い」と感じて震えたり血管を収縮させたり様々な熱産生機構を動員して体温を上げようとします。感染症の場合は原因が取り除かれればまたセットポイントが元に戻り、熱は下がります。
 

冷え症って?

冷え症には、幾つかのタイプがあるように思われます。
 
■末梢が冷えるタイプ
 
■躯幹が冷えるタイプ
 
もちろん、「全部冷える」という方もいらっしゃいますが、むしろ少ないと思います。また、冷える季節によってもタイプがあるようで、冬しか冷えないタイプ、一年中冷えているタイプ、夏のクーラーと冬に冷えるタイプ、など見られます。
 
数少ない西洋医学的な冷え症の研究は、ほぼ手足の冷えに絞って考えているようで、腰やお腹が冷えているといった研究はまだほとんどされていないようです。

冷えタイプ別の特徴

末梢が冷えるタイプ

【冷えの部位】
手足の先端が中心
 
【冷えの原因】
手足が冷えない、という人でも、外気温が下がれば当然そのストレスにさらされます。しかし一時的に下がった手足の温度が、冷え症の人の場合はなかなか温まらないのが問題になるのです。その原因は次のようなものが考えられます。
 
◆自律神経の不調
視床下部が直接コントロールしているのが自律神経になります。自律神経の乱れの原因は、ストレスや運動不足、過度な温度変化(エアコンの効いた部屋と外を頻繁に出入りするなど)があります。
 
◆血流の不調
末梢の血管が収縮・拡張することによって体温は調節されるので、血流の不調は冷えに直結します。
 
◆筋肉量
筋肉は熱を産生する重要な臓器です。そもそも男性が女性より冷え症が少ないのは筋肉量が多いからです。女性でもダイエットのしすぎなどで筋肉が落ちてしまうと冷えが出やすくなります。
 
【冷えで困ること】
手足の冷えで一番困るのは、実は睡眠障害です。足が冷たくて眠れないのです。「頭寒足熱」が健康のポイントですからね。手足が冷えること自体が困ることですし、頭痛や耳鳴りの原因になる人もいると思います。
 
 
 
 

躯幹が冷えるタイプ

【冷えの部位】
腰や腹や首(もう少し先の大腿や肩・上腕ぐらいまで含んでも)
 
【冷えの原因】
自律神経や副腎皮質ホルモンの分泌が狂うと冷えが起こりやすくなると思われます。
 
◆セットポイントの低下
「平熱が35度代前半」という人とお目にかかることがあります。セットポイントが低すぎるのではないかと思いますが、低下している理由は謎です。
 
◆脂肪量 
脂肪は体の中で産生した熱を外に逃がさないために重要です。ただ、脂肪は一度冷えてしまうと逆に温まりにくく、冷え症が悪化する場合もあります。
 
◆冷飲・冷食 
冷蔵庫が普及するまで、夏の冷たい飲み物と言えば井戸水でした。井戸水は年間通じて約17度。これで喉には十分です。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の言葉通り、喉を過ぎると氷水だろうとお茶だろうと感じなくなります。口や喉を喜ばせるために冷たい飲み物を摂る必要はないのです。夏こそ熱い飲み物を。これは冷え症の人に限らず守って欲しい大原則です。
 
◆女性ホルモン
女性ホルモンの乱れも血流に大きな影響を与えます。
 
【冷えで困ること】
躯幹の冷えでは、腰痛や便秘・下痢・腹痛などが起こります。女性では月経痛や月経不順が起きることもあります。ひどいと不妊症の原因にも・・・って、これは東洋医学的かもしれません。
 

冷え症の治療

残念ながら西洋医学ではほとんど効果的な治療はないと言えるでしょう。よく使われているのはビタミンEでしょうか。血流を改善すると言われています。不眠があれば睡眠導入剤、頭痛があれば頭痛薬…などという対症療法は西洋医学の得意とするところですが、結局漢方薬を使ったり我々漢方医を紹介したりすることが多いようです。

PROFILE

医師別府 正志 先生

東京医科歯科大学血流制御内科学(老化病内科)講師。同大学医学部付属病院産婦人科・分娩部病棟医長を経て現職。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。日本中医学会理事、日本東洋医学学会指導医・専門医。更年期障害の治療に長年携わる。

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