夏のシワを「仮性」で防ぐ、タイプ別ケアとは - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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夏のシワを「仮性」で防ぐ、タイプ別ケアとは

2016.07.05 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスンvol.4
シワとは皮膚の老化~老化スピードを遅らせるために~

シワは、皮膚の老化の最初のサイン。老化は悲しいかな、誰にも訪れる現象ですが、努力次第でシワの発生を遅らせたり、目立たない程度に抑えることは十分に可能です。

中医美容による早めのケア、正しいケアで若々しく瑞々しい肌を保ちましょう。

慢性病や不摂生もシワの原因に。生活習慣は乱れていませんか?

心がけ一つでシワは防げる

シワには「自然老化」と「病理的変化」による、2つの種類があります。

 

「自然老化」は誰もが避けては通れないものですが、60代でもシワの少ないツルツル肌美人の方もいらっしゃれば、まだ若いのに、シワの目立つ人もいます。

これは、精気(せいき:成長や発育のためのエネルギー)の量やその精気を蓄える五臓の腎(じん)のパワーなど、もって生まれた個人差にもよりますが、生活習慣やケアの方法も大きく関係しています。

 

「病理的老化」は、自然老化以外の原因による「シワ」のこと。慢性病や不摂生によって体内バランスが崩れ、腎や脾胃(ひい)の機能が正常ではなくなり、気血(きけつ)が不足して、肌の弾力と張りが失われてできるシワです。

 

また、紫外線やメークといった外因も肌に直接ダメージを与え、肌の老化スピードを加速します。

 

美容の大原則はよく眠ること。8時間以上の睡眠が美しい肌を保つ秘訣です

「睡美人(すいめいじん)」になるには

「自然老化」にしても「病理的老化」にしても、その人の心がけ一つでシワはずいぶんと予防できるものです。

 

例えば、中国には「睡美人(すいめいじん)」という美しい響きの言葉があります。本来の意味は「眠り姫」ですが、そこから派生して「よく眠る人は美しい」という美容の大原則を表しています。

肌のトラブルを防ぐには最低8時間の睡眠が必要といわれますが、これを長年しっかりと実行している人はシワが少なく、美しい肌を保っています。

 

また、「気・血・津液」を十分に補えるよう、栄養バランスの取れた食事や水分補給を心がけることも大切です。さらに紫外線に気をつけたり、「病理的老化」の原因となる慢性疾患を積極的に治療すれば、肌の老化スピードをかなり遅らせることが可能なのです。

 

規則正しい生活習慣とちょっとした心遣いが、肌の老化、つまりシワの程度に大きな差をつけるというわけです。

諦めるのはまだ早い!正しいケアでシワを回復

シワは「仮性」のうちに早めの対策

ところで、しっかり予防していても、ちょっとした油断でシワになってしまうこともあります。

 

水分不足による肌の乾燥、表情筋肉の過度な動き、炎症などによる皮膚の一時的な損傷、うっかり日焼けなど、肌の潤いが一時的に減少するだけで、シワは発生してしまいます。

でも、この段階のシワは「仮性のシワ」。ここでどんなケアをするかがとても需要です。早めに気血を養い、肌を潤わせれば、十分に回復は可能です。

 

ところが、この段階でのケアを怠ったり、ちょっとした油断がずっと続いたりすると、手遅れになってしまいます。表皮が委縮して、真皮結合繊維や弾力繊維が変性したり断裂したりしてしまうのです。

こんな状態に、紫外線や慢性炎症、不摂生、重力などが重なると、シワは深く深く刻まれてしまい、「真性のシワ」となるわけです。こうなると、元に戻すことは極めて難しくなります。

 

皮膚の老化=シワは、ひたいやマブタ、目じりといった皮膚の薄いところから起こります。真性シワにならないよう、早め早めの対策と正しいケアを心がけましょう。

生活に中医美容の知恵を。「食」をみなおしてシワ対策しましょう

シワを引き起こす内臓の不調を食でケア

■自然老化のシワ

原因:肌の弾力を維持する腎のエネルギー不足と、消化系の吸収力低下により、肌への栄養が不十分に。

症状:30代からは、肌の乾燥や寝不足などによる仮性のシワが出やすい。40代からは小じわが増え、表情筋肉の過度な動きにより、例えば目じり、眉頭、ひたいにシワができる。脱毛、疲れやすい、月経量の減少、月経の時、腰や膝がだるくなる。

おすすめの食材:ゴマ、長芋、黒大豆、なまこ、うなぎ、黒きくらげ、桑の実、クコの実

 

■病理的老化のシワ

原因:慢性病や不養生の生活習慣による内臓の損傷と機能低下、長期の過度な日焼け。

自覚する症状によってタイプが3つに別れます。自分の症状に当てはまる食材を摂ってケアしましょう。

 

1.【腎虚(じんきょ)】=腎系統の機能が低下した状態 

症状:腰や膝のだるさ、痛み、耳鳴り、耳が遠くなる、脱毛、不妊症、月経量の減少、無月経、冷え性、子宮・卵巣のトラブル、シミができやすい

改善法:補腎益精(ほじんえきせい:老化を防止する)

おすすめの食材:なまこ、うなぎ、くるみ、ニラ、豆腐、ごま、ごま油など

 

2.【脾虚(ひきょ)】=消化器系の機能が低下した状態

症状:無理なダイエットによる痩せや、暴飲暴食、偏食、腹膨、便不調、食欲不振などによるムクミやクスミ

改善法:健脾益胃(けんぴえきい:消化機能を高める)

おすすめ食材:ながいも、焼き魚、黒米、もち米、さつま芋、黒きくらげなど

 

3.【気血不足(きけつぶそく)】=肌をつくる源となる栄養が不足した状態

症状:疲れやすい、めまい、睡眠が浅い、肌荒れしやすい、カサカサ、冬に皮膚が痒くなりやすい、顔に艶が足りない、髪の毛のぱさつき・爪が割れやすい

改善法:補血益気(ほけつえっき:血を養い、気を補う)

おすすめ食材:人参、ほうれん草、キノコ、黒きくらげ、レバー、牛肉、うなぎ、りんご、ナツメなど

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など