めざせ健やか体型! 「太れない」悩みを体質から改善 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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めざせ健やか体型!
「太れない」悩みを体質から改善

2022.02.15 UPDATE

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

多くの人が抱える体型の悩み。「なんとか痩せたい」とダイエットに励む人がいる一方、「太りたいのに、太れない」と困っている人も少なくありません。“贅沢な悩み”などと言われがちですが、痩せて体調にも不安がある場合は体に不調が隠れていることも。この機会にきちんと体質を整えて、健やかな体型をめざしましょう。

痩せていても元気なら大丈夫

そもそも“健康的な体”とは、太りすぎでも痩せすぎでもなく、筋肉がきちんとあり、血色が良く、元気に活動できる状態のこと。そのため、痩せすぎかなと感じても、不調もなく体が元気であれば特に問題はありません。遺伝的要因で痩せている人は、食べても太らないけど元気、ということも多いと思います。
一方、がんばってたくさん食べているのに痩せたままで、体調も優れず疲れやすい、という人は注意が必要。病院の診察などで特に異常が見つからない場合も、中医学ではこうした状態を「未病」と捉えて対処します。未病は病気になる一歩手前の状態で、そのまま放っておくとさまざまな病気を招く要因に。不調に気づいたら、早めの対処で改善することが大切です。

痩せすぎ・お疲れ体質は「脾胃の虚弱」が原因

“食べても痩せていて元気がない”という体質は、「脾胃(胃腸)の虚弱」が主な要因と中医学では考えます。脾胃は消化吸収した栄養から「気(エネルギー)」「血」を生み出し、また、筋肉の生成とも深く関わる臓腑。そのため、脾胃が健やかに働いていれば体内の気・血が充実し、筋肉もついて、元気な体を保つことができます。
反対に、脾胃の働きが弱いと食べても十分な栄養を吸収することができません。その結果、気・血や筋肉をしっかり養うことができず、体力不足の痩せた体となってしまうのです。
【脾胃虚弱の主な原因】
●生まれ持った体質
生まれつき脾胃が弱い体質の人。食習慣を整えることで改善することもできます。
●食習慣の乱れ
脾胃に負担のかかる食生活を続けることで、脾胃が疲れて働きが弱くなります。
・冷たいもの、生もの、甘いもの、脂っこいものなどの取り過ぎ
・食べ過ぎ、飲み過ぎ(自分の消化能力を超える量の飲食)
・よく噛まず早く食べる
・食事の時間が不規則
・夜遅い時間の夕食
●無理なダイエット
主食や肉類を一切食べない、食事はスープだけといった偏った食生活を続けると、脾胃がダメージを受けて消化吸収機能が低下してしまいます。

食習慣を整えて「脾胃」を健やかに

気・血を生み出す脾胃は、体の基本を支える大切な臓腑。体型の維持に関わらず積極的にケアをして、元気な脾胃を取り戻しましょう。
【おすすめ食材】
気・血を養い、脾胃を元気にする食材を積極的に。
長いも、大和いも、じゃがいも、大豆製品(納豆、豆腐、湯葉など)、かぼちゃ、にんじん、キャベツ、カリフラワー、小松菜、しいたけ、卵、鶏肉、牛肉、豚肉、鯛、かつお、なつめ、蓮の実、りんご、みかん など
〈おすすめ料理〉
・長いもと棗入りのお粥
 すりおろした長いもを仕上げにかけて。さいの目切りでお粥と煮込んでもOK。
・鶏肉とキャベツ・にんじん・しいたけの炒めもの
【脾胃にやさしい食事のポイント】
①脾胃は冷えに弱い臓腑。冷たい飲食は避け、季節を問わず温かい飲み物、食べ物を心がけましょう。
②生ものは脾胃の冷えや食中毒につながります。特に貝類などはしっかり加熱して食べる習慣を。
③脂っこい料理や甘いもの、辛いものなどは、脾胃に負担がかかるので食べ過ぎに注意。
④食事は“自分の消化能力”に見合う量を意識して。太りたいからと無理にたくさん食べても、消化吸収しきれずかえって脾胃に負担をかけてしまいます。
⑤食欲がない時は無理して食べないことも重要。消化の良いスープやお粥を食べる、腹八分目にするなど、脾胃を休めることを意識しましょう。
⑥よく噛んで、ゆっくり食事をする習慣を。“ひと口30回噛む”“1回の食事に30分”を目安にしてみて。
⑦1日3食、毎日なるべく同じ時間に食べる習慣を。夕食は早めを心がけて。
⑧積極的に体を動かして“お腹を空かせる”習慣をつけましょう。
⑨体の疲労は脾胃のダメージにもつながります。十分な睡眠、入浴などで日々の疲れを残さないように。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。