2019.04.12
【開催報告】日本で初開催!アジア太平洋地域中医薬サミット
2019年4月7日(日)、8日(月)の2日間開催された「アジア太平洋地域中医薬サミット」に、弊社イスクラ産業株式会社が共催しました。本サミットでは日本中医薬研究会第15回全国大会が同時開催されました。
「アジア太平洋地域中医薬サミット」はアジア太平洋地域における中医薬のさらなる交流と発展を促進し、人々の健康増進に貢献することを目的として定期的に開催されていますが、日本での開催は今回が初めて。主催は中国北京に本部を置く世界67の国と地域の団体からなる「世界中医薬学会連合会」と、日本全国約1000店舗の薬局・薬店からなる「日本中医薬研究会」です。
世界15の国と地域から不妊治療、皮膚病、鍼灸を専門とする研究者らが集結し、少子高齢社会における中医学の役割や臨床研究成果などについて講演。イスクラ産業の中医学講師による同時通訳で進行し、来場した約700名が傾聴していました。
【基調講演「新時代における中医薬の役割」】
講演者:張 大寧氏(天津市中医薬研究員教授、国医大師)
中国政府が授与する中国で最高の医師の称号であり、日本における重要無形文化財・人間国宝に相当する国医大師の張大寧氏。
中国で古代から長い年月をかけて中医学が発展してきた理由や、予防、治療、リハビリ、養生について有効である中医学の魅力について講演。また、「腎」を補う「補腎」や、「血(けつ)」の巡りを促す「活血」の融合が健康長寿をつくると力説されました。
【主題講演1「アトピー性皮膚炎の中医学診療及び研究」】
講演者:陳 達燦氏(広東省中医病院教授)
【主題講演2「胚移植反復着床障害に対する中医学の治療方策」】
講演者:連 方氏(山東中医薬大学教授)
中医学の有効性や治療現場での取り組みや症例などをお話しいただきました。
【シンポジウム「活血化瘀の意義と臨床応用」】
・シンポジスト
川嶋 朗氏(医師、東京有明医療大学教授)、談 勇氏(医師、南京中医薬大学教授)、横澤隆子氏(富山大学大学院理工学部研究員)
・コーディネーター
陳 志清(イスクラ産業株式会社代表取締役、中医学講師)
医師や研究者の立場から長年中医学に携わってこられた経験や症例などから、意義と臨床応用についてお話しいただきました。
超高齢社会の中で膨らみ続ける日本の医療費が財政に与える負担について触れ、財政赤字を抑えるには、「未病(みびょう)」のうちから対策し、元気で長生きすることが重要であると訴えました。血流悪化が人体に及ぼす悪循環や、最新医療機器によるCT画像を用いながら、脳内の血流悪化と認知症の関連性などについて解説。また、自宅にあるドライヤーで簡単にできる「ドライヤーお灸」を血行促進のためのセルフケアとして提案されました。
・談 勇氏
血の巡りが滞る「瘀血(おけつ)」が女性に起こりやすい理由は、女性特有の子宮などの組織、月経などの機能と関連があることを紹介。血流が排卵や子宮内膜の状態にも影響を及ぼすことなどを指摘しました。不妊治療において、瘀血を取り除く「活血化瘀(かっけつかお)」が重要であり、瘀血の原因を見極めながら、それぞれの体質に沿って対応しなければならないと強調されました。
・横澤隆子氏
活血化瘀の代表的生薬である「丹参(たんじん)」を含む製剤の薬理実験に長年携わってこられた実績から、丹参製剤が慢性疾患の予防と治療において効果が期待できると紹介しました。
活血化瘀は予防と治療のどちらにも活用でき、血液・血管・血流のポイントからなる「血管力」にもアプローチできるため、健康長寿に大きく貢献できます。活血化瘀の意義について再確認できたシンポジウムとなりました。
このほか、不妊治療、皮膚病、鍼灸をテーマとした分科会や学術交流会が行われるなど、2日間を通して活発な学術交流が行われました。
日本中医薬研究会とイスクラ産業は、日本における中医学普及のパイオニアとして、今後も世界的な学術交流と進化を促し、さらなる中医学の普及に挑みます。