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中医学の基礎

こんなに眠いのはなぜ…?
更年期の「眠気・だるさ」対策

2026.03.17 UPDATE

更年期で眠い女性

監修:楊 敏 先生(中医学講師)

こんにちは。中医学講師の楊敏です。
日中でもとにかく眠い、体がだるい……。更年期に入ると、こうした不調に悩まされる人は少なくありません。単に歳のせいとも思われがちですが、実は、眠気やだるさ、疲労感などは更年期にみられる代表的な症状。不調が続くと仕事や日常生活にも影響してしまうので、積極的に体質を整え、すっきり元気な体づくりを目指しましょう。

更年期は睡眠の質が下がりやすい時期

更年期は、女性にとって体のターニングポイント。卵巣機能の衰えとともに女性ホルモンの分泌が低下し、心身にさまざまな変化が起こるようになります。日中の眠気やだるさも、こうした更年期症状の一つ。その詳しい仕組みはまだ十分に解明されていませんが、ホルモンバランスの乱れが一因と考えられています。
女性ホルモンである「エストロゲン」は、自律神経の働きや睡眠のリズムとも深く関わっています。更年期に入りその分泌が不安定になると、自律神経が乱れ、睡眠が浅くなったり、夜中に何度も目が覚めたりするように。また、更年期特有のホットフラッシュ、精神不安などが影響し、睡眠の質も低下しがちになります。その結果、夜にしっかり休めず、日中に強い眠気やだるさを感じるようになるのです。

元気を支えるエネルギー「腎気」の不足に気をつけて

中医学の視点から見ると、更年期の眠気やだるさは、体内の「気」(エネルギー)の不足が主な要因と考えます。中でも深く関係するのは「腎気(じんき)」の状態。腎は生命活動の根本を支える臓腑で、腎気は心身の“元気の源”となります。
ところが、腎は加齢とともに衰えていくため、40歳を過ぎるころからその働きは下り坂に。蓄えていた腎気も少しずつ減ってしまうため、「腎気虚弱」で心身のエネルギーが不足しがちになります。その結果、とにかく眠い、体がだるい、寝ても疲れが取れない、といった不調が起こるようになるのです。

 

【 知っておきたい!「気」の基礎知識 】
「気」は全身を巡り、各臓腑の働き、免疫機能、精神状態などを支える心身のエネルギー。主に、「脾胃」(胃腸)が消化吸収する栄養、「肺」の呼吸によって取り込まれる酸素、「腎」が蓄える精気、この3つの要素から生成されています。そのため、脾胃、肺、腎が健やかで、栄養を十分に取り、しっかり呼吸ができれば、気が充実して元気な心身を保つことにつながります。
気はその働きによって、次の4つに分けられます。
● 衛気(えき):免疫力のような働き。体の表面(皮膚や粘膜)を巡り、ウイルスなどから体を守る
● 営気(えいき):血管の中を巡り、滋養効果をもたらす
● 宗気(そうき):胸に集まり、心肺活動を支える
● 元気:生命活動の原動力。腎に蓄えられ、成長・発育、各臓腑の働きを支える
また、腎気、肺気、脾気のように、各臓腑に入るとその臓腑の気となって機能します。

日々の食事で「腎気」を養う 〜更年期の眠気・だるさ対策〜

腎気を養うことは、更年期の眠気やだるさ、疲労感の予防・緩和につながります。不調を感じる人はもちろん、特に症状がなくても“転ばぬ先の杖”と考え、40代に入ったら早めのケアで腎気アップを心がけましょう。
気を充実させる基本は、日々の食事。バランスよく栄養を摂りながら、補腎益気(腎を補い、気を養う)の食材を積極的に取り入れてみてください。

 

~こんな症状は「腎気虚弱」のサイン~
□ とにかく眠い
□  無性にだるい
□  寝ても疲れが取れず、疲労が蓄積されていく
□ 睡眠が浅い
□ 頭がぼーっとする、集中できない
□ 耳鳴り
□ 腰痛
□ 冷え(特に下半身)
□ むくみやすい
□ 頻尿
□ 夜中にトイレに行くことが増えた
□ 舌全体が腫れぼったい、舌の色が淡い、舌苔が白い

 

<補腎益気のおすすめ食材>
長芋、大和芋、じゃがいも、キャベツ、にんじん、枝豆、そら豆、ブロッコリー、カリフラワー、マッシュルーム、舞茸、ブロッコリースプラウト、豚肉、えび、うなぎ、貝柱、鯛、黒豆、黒ごま、くるみ、松の実、カシューナッツ、栗、桑の実、クコの実 など
〜おすすめ料理〜
ブロッコリー、にんじん、サラダ菜、えびのサラダ(くるみとブロッコリースプラウトを添えて)

補腎益気のおすすめ料理イメージ

暮らしのケア

・過労や睡眠不足は「腎気」を消耗する大きな要因に。夜はなるべく12時までに就寝し、十分な睡眠をとることを心がけましょう。また、睡眠の質を良くすることも大切です。夕方以降はカフェインを避け、ハーブティーや麦茶などを。寝る前の入浴で身体を温めるのもおすすめです。

・食事の栄養は、気を充実させる基本。暴飲暴食、偏食、過度なダイエットは避け、栄養バランスの良い食事を摂るよう心がけましょう。おやつには、腎を養うナッツ類がおすすめです(1日5〜6個を習慣に)。

・適度な運動で、体力、筋力を付けて。ジョギング、ヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる有酸素運動がおすすめです。

・過剰なストレスは気の消耗につながります。“無理せず、がんばり過ぎず”を意識して、気持ちをリラックスさせるよう心がけて。好きなことを楽しんで、ストレスを上手に解消することも大切です。

 

<更年期におすすめのツボ>
元気を補う
● 足三里(あしさんり):膝頭の外側の下にできるくぼみから指4本下
● 気海(きかい):おへそから指2本分下

腎を整える
● 三陰交(さんいんこう):内くるぶしから指4本分上の骨の後ろ

更年期におすすめのツボ位置

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。