〜つらい痛みやこりをほぐす〜ツボ押し&体質ケアで“関節トラブル”対策 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

BEAUTY
&RELAX中医美容

〜つらい痛みやこりをほぐす〜
ツボ押し&体質ケアで“関節トラブル”対策

2025.01.07 UPDATE

監修:楊 紅娜(中医学講師)

楊紅娜先生のBeauty & Relax Vol.26

関節のトラブルは加齢とともに起こりやすくなりますが、若い人も無関係ではありません。日々の仕事の負担、スポーツによる損傷など、関節に不調が起こる原因は案外少なくないのです。関節に痛みやこりがあると、体の動きが制限されて日常生活に支障が出てしまうことも。ストレスも溜まりがちになるので、きちんとケアをして痛みやこりを和らげましょう。

仕事やスポーツも原因に。年齢を問わず起こる関節トラブル

関節は骨と骨とのつなぎ目にあたり、その役割は体をスムーズに動かすこと。歩く、座る、手で物をつかむといった体の自由な動きは、関節の機能によって成り立っています。そのため、なんらかの原因で関節に不具合が生じると、体を動かしにくくなり、仕事や家事といった日常生活にも支障が出てしまうのです。こうした状態を放置していると、痛みがつらいことはもちろん、動きを制限される不自由さから、ストレスが溜まりやすくなってしまうこともあります。関節にトラブルが起こる要因は、加齢、けが、過労(手や足の酷使)、気候の影響などさまざま。若い年代でも仕事やスポーツなどで不調が起こることは多いので、症状を悪化させないためにも、放置せずきちんとケアすることが大切です。

関節のトラブルには体内不調の影響も

中医学では、関節トラブルは、その原因によって「実証」(過剰なタイプ)と「虚証」(足りないタイプ)に分けて考えます。

 

● 実証(主に外邪や外傷)の関節トラブル
外邪(風・寒・湿・熱)の侵入、けがなどが原因

● 虚証(主に老化)の関節トラブル
「肝」「腎」の虚弱(肝腎両虚)が原因

 

よく耳にする“雨の日や寒い日に関節が痛む”というケースは、湿邪や寒邪の侵入によって起こる実証タイプ。一方、関節の状態と深く関わる「肝」「腎」の虚弱によって起こる不調は虚証タイプで、こちらは高齢者に多く見られます(腎は加齢とともに衰えていくため)。関節トラブルにはこうした体内の不調も影響しているため、自分の体質や症状に合わせ、体を整えていくことも大切です。

タイプ別 基本のケア

関節トラブルのケア方法は、原因によって異なります。現れている症状からタイプを判断して、積極的にケアを行い、痛みやこりを和らげていきましょう。

 

【 風寒タイプ 】
冬の寒さや夏のクーラーなどで、寒邪が侵入しているタイプ。寒さで関節の痛みやこりが強くなることが特徴で、体全体の冷え、畏寒(温めることで改善できる寒気)などの症状が現れます。

 

<体をしっかり温めて>
・湿布は“温湿布”を。お灸もおすすめ。
・季節を問わず冷えない服装を。首や足首が出ていると冷えやすいので気をつけて。
・冬は暖房を上手に使い、夏はクーラーで冷えすぎないように。
・シャワーで済ませず、湯船につかる習慣を。
・おすすめの飲み物は、生姜湯。

 

 

【 湿タイプ 】 
雨や湿度の高さなどで、湿邪が侵入しているタイプ。湿気の多い梅雨時期などに関節のこわばりや痛みが起こりやすく、体の重だるさ、むくみなどの症状が現れます。

 

<湿を取り除いて体をスッキリ>
・湿布は“温湿布”を。お灸もおすすめ。
・水分は摂り過ぎないように。
・胃腸の調子を整えて水分代謝をよく。飲み過ぎ食べ過ぎに気をつけて。
・おすすめの飲み物は、はと麦茶(薏苡仁)。

 

 

【 熱タイプ 】
炎症などで熱が発生しているタイプ。外傷、仕事やスポーツによる酷使などで関節が熱を持ち、痛みが生じます。

 

<熱を冷まして炎症を抑える>
・湿布は“冷湿布”を。お灸はNGです。
・炎症が強いときは、冷却シートなどで熱を冷まして。

症状別ケア ツボ押しで痛みやこりを和らげる

関節の痛みやこりにはツボ押しも効果的。首や肩の痛み・こり、膝痛など、症状に応じたツボや対処法をご紹介するので、痛みやこりがつらいときは参考にしてみてください。

 

【 首の痛み 】
主な原因は、邪気の侵入、過労、けが、老化。

<ツボ>
・阿是穴(あぜけつ):押して気持ちいいと感じるところ
・天柱(てんちゅう):髪の毛の生え際付近、首の太い骨の外側
・後渓(こうけい):手の側面、小指の付け根から1.5cmほど手首より
冷えが原因のとき
・大椎(だいつい):うつむいたとき、首のつけ根で一番出ている骨のすぐ下
・風門(ふうもん):うつむいたときに一番出ている背骨の2つ下の骨から、左右外側に指2本分移動したところ
けがが原因のとき
・膈兪(かくゆ):肩甲骨の下、背骨から指2本分外側
・合谷(ごうこく):手の甲、人差し指と親指の骨が合流するところ
老化が原因(肝腎虚弱)のとき
・肝兪(かんゆ):肝臓の背部
・腎兪(じんゆ):ウエスト位置、背骨から指2本分外側

 

【 肩こり・五十肩など肩の痛み 】
主な原因は、邪気の侵入、過労、けが。
<ツボ>
・阿是穴:押して気持ちいいと感じるところ
・肩髃(けんぐう):腕を真横に上げるとできる肩のくぼみ
・肩髎(けんりょう):肩髃から後ろ(背中側)に少し下がったところ
・肩貞(けんてい):肩の後ろ側、脇から指3本分上に上がったところ
・曲池(きょくち):ひじを曲げたときにできる、シワの終わるところ
肩の前が痛いとき
・合谷:手の甲、人差し指と親指の骨が合流するところ
肩の側面が痛いとき
・外関(がいかん):手の甲側、手首から指3本分ひじより
肩の後ろが痛いとき
・後渓:手の側面、小指の付け根から1.5cmほど手首より

 

【 ひじの痛み 】
主な原因は過労。
<ツボ>
・阿是穴:押して気持ちいいと感じるところ
ひじの外側が痛いとき
・合谷:手の甲、人差し指と親指の骨が合流するところ
・肘髎(ちゅうりょう):ひじを曲げたしわの外側から、肩に向かって指1本分のところ
・外関:手の甲側、手首から指3本分ひじより
・天井(てんせい):ひじの骨(ひじ頭)から、肩に向かって指1本分のところ
ひじの内側が痛いとき
・陽谷(ようこく):手首の手の甲側、小指側にある骨のでっぱりの上のくぼみ

 

【 手首の痛み 】
主な原因は過労、邪気の侵入。
<ツボ>
親指を外に開きにくいとき
・列欠(れっけつ):親指の付け根のくぼみから指2本ひじより
・陽渓(ようけい):手の甲側、手を大きく開いたときに親指の付け根にできるくぼみ
親指を内側に曲げにくいとき
・魚際(ぎょさい):手のひら側、親指の付け根の膨らみの中央あたり
・太淵(たいえん):手のひら側、手首の親指近くのくぼみ
人差し指から小指(4本)を外に開きにくいとき
・陽池(ようち):手の甲側、手首の中央からやや小指より
・合谷:手の甲、人差し指と親指の骨が合流するところ
人差し指から小指(4本)を内側に曲げにくいとき
・大陵(だいりょう):手首の内側、中央あたり
・内関(ないかん):手のひら側、手首から指3本分ひじより

 

【 ひざの痛み 】
主な原因は、邪気の侵入、過労、けが、老化。
<ツボ>
・鶴頂(かくちょう):膝の皿の上中央あたり
・内膝眼(ないしつがん):ひざの皿のすぐ下、内側にあるくぼみ
・外膝眼(がいしつがん):ひざの皿のすぐ下、外側にあるくぼみ
・委中(いちゅう):ひざの裏側、ひざを曲げた時にできる線の中央あたり
・陰陵泉(いんりょうせん):ひざの内側にある骨(脛骨)の下にあるくぼみ
・陽陵泉(ようりょうせん):ひざの外側にある骨(腓骨)の下にあるくぼみ

<ケアのポイント>
避けたいこと
・階段や坂道の昇り降り
・ハイヒールで歩く
・しゃがんだ姿勢
・長時間立っている
取り入れたいこと
・体(特にひざ周り)を温める
・クッション性のある歩きやすい靴を選ぶ
・適正体重を保つ(太り過ぎに注意)
・ひざの負担が少ない運動で筋肉をつける。水中ウォーキング、水泳、散歩、ヨガなど。
・タンパク質、コラーゲン、カルシウムを積極的に摂る。

 

 

【 足首のねんざ 】
<ツボ>
・阿是穴:押して気持ちいいと感じるところ
足首の外側をねんざしたとき
・懸鐘(けんしょう):外くるぶしから指4本分上
・申脈(こうけい):外くるぶしの下のくぼみ
・丘墟(きゅうきょ):外くるぶしの斜め前下のくぼみ
足首の内側をねんざしたとき
・三陰交(さんいんこう):内くるぶしの頂点から指4本分上
・照海(しょうかい):内くるぶしの下のくぼみ
・商丘(しょうきゅう):内くるぶしの斜め前下のくぼみ

<ケアのポイント>
急性期(おおむね24時間以内):冷やす
ねんざの直後は患部が炎症を起こしているので、“冷やす”ことが大切。

慢性期(おおむね24時間以降):温める
強い痛みや腫れが落ち着いたら、患部を“温めて”血行を促して。

登録無料!中医学の情報をLINEでお届け!

健康と美容に役立つ季節の中医学情報、体質チェック、友だち限定キャンペーンなどを配信!

この記事を監修された先生

中医学講師楊 紅娜

楊紅娜(よう こうな)中医学講師。 登録販売者。鍼灸師。 2006年遼寧中医薬大学修士号取得。 2006年~2016年、大連市にて精神科臨床医として10年間勤務。 「中国摂食障害の防治指南」の編集委員担当。 2016年来日。日本にて登録販売者、鍼灸師取得。