監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスン vol.27
決して悪いイメージばかりではない「そばかす」。チャーミングな印象もありますが、顔の中心に広がるそばかすは女性を悩ませる厄介な存在です。
そばかすは、セルフケアで完全に消すことは難しいもの。でも、きちんと対処をすれば、濃くなるのを防ぎ、目立たなくすることも期待できます。そのためにも、日頃のお手入れに気を配り、そばかすのできやすい体質を改善して、肌を健やかに整えましょう。
そもそも「そばかす」って?
そばかすはシミの一種で、肌に散在する小さな褐色の色素斑のこと。スズメの卵の模様に似ていることから、医学的には「雀卵斑(じゃくらんはん)」と呼ばれています。
体にも見られますが、主に鼻から両頬にかけて左右対称に広がることが特徴。白人または色白の人にできやすい傾向があります。
【先天性と後天性】
そばかすは幼少期に発症することが多く、そのほとんどは遺伝的な要因によるものです。こうした先天性のそばかすは成長とともに増え、思春期にかけて色が濃くなる傾向に。その後、個人差はありますが、年齢を重ねるにつれて薄くなったり消えたりすることもあります。
一方、まれに大人になってからそばかすができることも。こうした後天性のそばかすは、紫外線や肌の摩擦、喫煙習慣といったダメージの蓄積が主な要因となります。
【そばかすの原因】
紫外線を浴びると、そのダメージから肌を守るためにメラニンという色素(肌の色を黒くする要素)が生成されます。多量の紫外線を浴びてこのメラニンが過剰につくられると、色素が沈着し、そばかすができたり、色が濃くなったりする原因となります。
【夏は濃く、冬は薄く】
そばかすはメラニンが原因となるため、強い紫外線を浴びる春から夏はメラニンの生成が多く、そばかすも濃く目立つように。反対に、秋から冬はメラニンの生成が比較的少ないため、そばかすも自然と薄くなる傾向にあります。
“そばかす体質”の改善で、肌も身体も健やかに
中医学でも、そばかすは生まれ持った体質が主な要因と考えます。“そばかす体質”の基本は、身体に熱がこもりやすい人。体内の余分な熱が「経脈」(気血の通り道)を傷つけると、「気」(エネルギー)や「血(けつ)」の流れが停滞してしまいます。すると、肌に十分な栄養やエネルギーが行き届かず、肌のターンオーバーが乱れてメラニンが定着し、そばかすができやすくなるのです。
“そばかす体質”には、主に次の3タイプがあります。症状から自分のタイプをチェックして、積極的に体質を整えましょう。
①血虚タイプ
全身に栄養や潤いを運ぶ「血」が不足し、血流も滞りがちに。肌の栄養や潤いが不足してしまうため、ターンオーバーが乱れてそばかすにつながります。
全身に栄養や潤いを運ぶ「血」が不足し、血流も滞りがちに。肌の栄養や潤いが不足してしまうため、ターンオーバーが乱れてそばかすにつながります。
このタイプは、栄養をしっかり取って血を養うよう心がけて。過剰なダイエットや偏食は、血不足を悪化させる要因になるので注意しましょう。
【気になる症状】
そばかすが目立つ、肌の乾燥・かゆみ、肌に透明感がない、めまい、立ちくらみ
【おすすめ食材・生薬】
食材:レバー、ほうれん草、ひじき、小松菜、黒豆、あずき など
生薬:当帰、枸杞の実、なつめ、竜眼肉、紫河車(プラセンタ)
②気虚瘀血タイプ
身体のエネルギーとなる「気」が不足しているタイプ。気は血の流れをサポートしているため、不足すると血流も滞りがちに。結果、肌にエネルギーや栄養が行き届かず、そばかすなどのトラブルが起こりやすくなります。
根本的な元気が足りないこのタイプは、胃腸を整えてバランスよく食事を摂り、気をしっかり養うことが大切です。
【気になる症状】
そばかすが濃い、肌にハリがない、くすみやすい、疲労感、食欲不振、消化不良
【おすすめ食材・生薬】
食材:きのこ類、にんじん、山芋、キャベツ、納豆、肉、魚 など
生薬:薏苡仁(よくいにん)、霊芝、余甘子(よかんし)、沙棘(サージ)、西洋人参
③血熱タイプ
食の不摂生やストレスなどの影響で血に熱がこもり、血流の悪化を招いているタイプ。そばかすだけでなく、ほてり、発疹、かゆみといった肌トラブルも起こりやすくなります。
養生の基本は、食生活を整えて、身体に余分な熱をこもらせないこと。油っこい食事や辛いものなどは控えめにしましょう。また、過剰なストレスやイライラも熱を生む要因になるので、リラックスして過ごすことも大切です。
【気になる症状】
深い色のそばかす、赤ら顔、ほてり、炎症を起こしやすい、興奮しやすい、精神不安、不眠
【おすすめ食材・生薬】
食材:きゅうり、れんこん、トマト、セロリ、苦瓜、白菜、槐花 など
生薬:紫根、五行草、金銀花、菊花、ローズ、干地黄、カミツレ
そばかす対策の食養生&スキンケア
そばかす対策は、紫外線から肌を守り、ターンオーバーを整えてメラニンの代謝を促すことがカギ。遺伝だからと諦めず、日頃のこまめなケアを心がけましょう。
【基本の食養生】
肺を養う“白”の食材、ビタミンCを豊富に含む食材を積極的に。
体質別の食養生にプラスして摂りたい、そばかす対策の基本食材です。
・肌と関係の深い「肺」を養う
食材:白きくらげ、冬瓜、いちじく、豆腐、白菜、ヨーグルト など
生薬:桑白皮(そうはくひ)、白芷(びゃくし)、沙棘(サージ)
・ターンオーバーを整え、メラニンの代謝を促す
食材:山査子(さんざし)、りんご、レモン、トマト、ワイン
生薬:沙棘(サージ)、刺五加、真珠、当帰、薬用人参、五行草
【スキンケア】
・紫外線対策
季節を問わず「日焼け止め」を。夏は帽子や日傘もプラスしましょう。紫外線は、そばかすが濃くなったり増えたりする要因になります。
・お酢洗顔
400ccの水に小さじ1杯程度のお酢またはレモン汁(半個分)を入れ、洗顔の仕上げとしてすすいでぐださい。肌を健やかに整え、メラニンの代謝を促します。
・ヨーグルトパック
プレーンヨーグルトに少量のはちみつを入れ、薄く伸ばしてパックを(2〜3分で洗い流す)。肌の潤いを守り、健やかに整えます。
・おすすめの美容成分
沙棘油、真珠、刺五加、ローズマリー油、ユーカリ油、山査子、桑白皮(そうはくひ)、白芷、トコフェロールなど。
シミや色素沈着などの肌トラブルでお悩みの方に「セ・サージクリーム」などもおすすめです。
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この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など