監修:張 立也 先生(中医学講師)
生理について考える
中医学では、経血は体の状態を表すサインとして捉えています。婦人科系のトラブルばかりでなく、ストレスや生活習慣の乱れなども経血に何らかのサインが現れることが多くあります。また、漢方相談の現場では、生理のトラブルとは関係のないご相談の場合でも、体質タイプや体調を判断するために、生理の状態をお聞きすることがあります。
生理の状態を観察してみましょう
次にそれぞれの項目についてご紹介します。
1.周期と日数
生理開始から次の生理までの周期は、28日を基本として26~32日程度が一般的ですが、個人差があります。平均より多少周期が長めでも、不妊につながる要素がなければ特に問題はないと考えます。生理周期が通常よりも4日以上早まったり、遅れたりした場合は注意が必要です。
生理の継続日数は5日を基本に3~7日が正常範囲です。
2.経血の色
正常な経血は血液よりも少し濃いめで、鮮やかな赤色。生理初日は色が薄めです。
中医学では経血の色によって体質タイプをチェックすることもあります。色が薄い場合は、「血(けつ)」や体のエネルギーとなる「気(き)」が不足した「血虚(けっきょ)」「気虚(ききょ)」の状態です。茶色やくすんだ色の場合は、体が冷えていたり、血の巡りが滞った「瘀血(おけつ)」の可能性があります。
3.量
経血量が少なすぎる、多すぎるといったことも生理不順のひとつと捉えます。個人差はありますが、1回の生理では30~100mlが適切な量といえます。2~3日目に量が多く、4日目以降は少なくなります。気をつけたいチェックポイントは、以前とくらべて量が多いか少ないかということです。
なお、経血量は年齢によって変化します。初潮の頃は少なく、女性としての体ができあがる頃に正常な生理となり、30代後半から40代を迎える頃に量が減少していきます。
4.質
経血は妊娠しなかったために不要となった子宮内膜の組織や血液、子宮や膣の分泌物などが混じったものです。経血はサラっとしているか、ややドロっとしている状態で、粘りや塊があまり無いのが理想です。糸を引くような粘りや塊は「瘀血(おけつ)」があると考えます。
5.痛み
生理中に下腹部が重い、だるいと感じる程度であれば問題はありません。生理は痛くて当たり前と思っている方もいるようですが、本来、痛みが無いのが正常な状態です。痛み止めを生理のたびに毎回服用していたり、寝込んでしまうほどの強い痛みがある場合には「月経困難症」などのトラブルが隠れていることも。出血が多いときに痛みが強いのは「瘀血(おけつ)」があるかもしれません。
生理痛が直接不妊につながるわけではありませんが、不妊の原因となる病気が潜んでいる場合もありますので、あまりにも痛みが強い場合には婦人科でのチェックをおすすめします。
いかがでしたか。
自分の生理を知ることが妊娠しやすい体づくりへの第一歩です。ストレスを和らげ、食事や生活習慣を見直して、生理を整えていきましょう。
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次回は、中医学で妊娠力を高める「周期調節法」についてご紹介します。
この記事を監修された先生
中医学講師張 立也 先生
張 立也(ちょう りつや)中医学講師。
医学博士。不妊カウンセラー。
中国・遼寧中医薬大学医学部卒業。同大学に医師・講師として勤務。1996年に来日し、埼玉医科大学で医学博士号を取得。 現在は日本中医薬研究会専任講師として、中医学の普及と指導に務める。
主な著書に「中医の非薬物療法基礎と臨床」「中医整体学」など。