監修:和田 暁 先生(一般社団法人薬膳アカデミア理事長)
【難易度★☆☆】椎茸は疲労解消、風邪予防、消化力をアップします。
椎茸 平性/甘味 体力の強化、体力低下の予防、消化吸収の促進、粘膜及や皮膚の炎症を防ぐ、貧血傾向の改善 など
栄養豊富な椎茸は、中医学では気力を補い、消化吸収促進、蕁麻疹や粘膜、皮膚の炎症を防ぐと考えます。また、生活習慣病や抗ウイルス効果があり、体力や食欲の低下、貧血などにおすすめです。栄養学的には、抗肝炎、血小板凝集への抑制、食物繊維のβ-グルカンはマクロファージなど免疫の働きを活性化させるなどの力があります。また、干し椎茸は、生の椎茸に比べて栄養価が高いのが特徴としてあげられます。脾胃に寒湿が溜まっている方やガスが溜まっている気滞タイプの方は控えるようにしましょう。
参考文献:「中国 国家中医薬管理局「中華本草」編委会 上海科学技術出版社」
椎茸たっぷり精進炒め
RECIPE
2月上旬。新年初めの節気である「立春」を迎え、冬に蓄えた陽気が徐々に甦えり、上昇し始めます。しかし、まだまだ寒暖の差が激しく、天候が不安定な日が続くため気力が不足し、基礎疾患の悪化や風邪、花粉症、インフルエンザなどが出やすくなる時期でもあります。中国の古典書「千金方(せんきんほう)」には、“温補陽気、省酸増甘”(陽気の上昇を助けるために、辛味(香り)の野菜を多めに摂り、収斂(しゅうれん)作用のある酸味を控える)という言葉があります。今回は、自然な甘味の食材が多く摂れ、元気がたっぷりチャージできる献立にしました。干し椎茸とかぼちゃは、元気を補い、消化吸収機能、皮膚や粘膜を強くし、風邪予防になります。気血水をめぐらせる玉ねぎ、ビタミンCとβカロチン豊富なパプリカ、パクチーを加えさらに、カルシウム満点の小松菜は椎茸のビタミンDと共に骨や歯も強くしてくれます。高齢者や成長期の子供たちにもおすすめの一品です。
調理時間20分(調理時間)
材料
【2人分】
干し椎茸……………6~8枚(約25g)
パプリカ……………1/2個
たまねぎ……………大1/2個 約150g
かぼちゃ……………約60g
小松菜………………2株
パクチー……………少量
調味料
A
すりおろし生姜……小さじ1
塩……………………少々
胡椒…………………少々
片栗粉………………大さじ1
B
鶏スープ……………1カップ
醤油…………………小さじ1
砂糖…………………小さじ1
オイスターソース…小さじ2
塩……………………少々
油(揚げ物用)……適量
COOKING
- 1椎茸を水で戻し、そぎ切りにし、水をしっかりと切った後、調味料Aのおろし生姜、塩、胡椒に漬け込む。
- 2①に片栗粉をまぶし、油できつね色になるまで揚げた後しっかりと油を切る。
- 3パプリカ、たまねぎ、かぼちゃをスライスし、小松菜は3cmほどに切る。
- 4フライパンに油大さじ1をひき、かぼちゃ、パプリカ、玉葱の順を炒める。
- 5④に調味料Bを加え、煮立たせたら、小松菜を加えさっと炒める。
- 6皿に盛り、パクチーを散らす。
料理のポイント
- point! 椎茸は傘の表面を上にして、大きめのボールに入れます。かぶる位の冷水を注ぎ、ラップして4時間以上置きましょう。
- point! ビタミンDなどの脂溶性の栄養分は、油を使うと吸収しやすくなります。椎茸揚げは、少量の油で短時間でカラッと揚げられますので、油が濁りにくく再利用可能です。
- point! 戻し汁は栄養たっぷりですので、捨てずにスープなどに利用しましょう。
この記事を監修された先生
一般社団法人薬膳アカデミア理事長和田 暁 先生
和田 暁(わだ しゃお)
上海中医薬大学中医学部卒、同大学付属病院勤務。昭和大学研修中、日本医食同源第一提唱者の新居裕久教授と出会い、中医学を毎日の食卓へ届けることを目指し、薬膳普及の道へ進む。
2015年、世界中医薬学会連合会より世界初の高級中医薬膳伝授師称号を授与。現在、一般社団法人薬膳アカデミア理事長・世界中医薬学会連合会常務理事、日本国際中医薬膳管理師会会長、上海中医薬大学日本校教授、東京栄養士薬膳研究会顧問。
主な著書に『薬膳で治す』(時事書房・共著)『まいにち養生ごはん』(学陽書房・監修)『中医婦人科学』(上海科技出版社・共著)雑誌『助産雑誌』連載執筆など。