監修:楊 暁波 先生(中医学講師)
楊暁波先生の中医美容レッスン vol.34(1)
春ものの綺麗な洋服がファッション誌や店先を賑わせる季節になってきました。冬物の厚いコートを脱ぐ時季になると気になるのがボディラインではないでしょうか。
理想の体型に近づけるために、無理なダイエットをしている方は要注意。実際に漢方相談で受けるお悩みとしてニキビなどの肌荒れがありますが、実は無理なダイエットが原因だったということが少なくありません。
中医美容では「健康に美しく」を大切にしています。ボディラインが気になるからとただ体重を減らすのではなく、体質のバランスを整えて健康を保ちながら、肥満の目安となるBMI指数を適正に保つことを目的とします。
今回は中医式のダイエット法をご紹介。健康を保ちながら美しくなる方法をみていきましょう。
食事から「太りにくい体質」へ
ダイエットを行う上でまず心がけていただきたいのは、食事のバランスを考えることです。食べる量はもちろん、順番や速さにも日頃から気をつけておくことで、消化から排泄がスムーズになり、太りにくい体質へと改善されていきます。
太りにくい食べ方「食べる術」
中国で明の時代に書かれた「本草綱目(ほんぞうこうもく)」という書物では、
「五菜為先、所以補佐穀気、流通塞帯」
(野菜から先に食べることで穀類や肉類の消化が助けられ、排泄もスムーズになる)
と記されています。これは「医食同源」の中医学による「太りにくい食べ方」の基本です。
他にも「食べる術」はさまざま。
・お腹いっぱいになってきたかもと感じる「腹八分目」でやめておく
ゆっくり味わって食べ、ひとくち食べ物を口に含んだら20回以上かむように心がけると満腹感を感じやすくなります。
・調理のときには、自分の食べる分量を意識して作る
作り過ぎると、もったいないのでつい食べ過ぎてしまう原因にもなります。
・冷たい飲食物を摂る場合は、前後に温かい食べ物や飲み物を飲む
「脾胃(ひい)」(胃腸)は冷えに弱いので、温めておき調子を整えましょう。
・辛いものやしょっぱいもの、甘いものは控え、さっぱりしたものを多めに
・夜食は禁物!どうしても何かを口にしたいときは、お湯やこんにゃくを摂りましょう。
デトックスしやすい「溜めない術」
食べたらしっかり排泄してデトックスすることも大切です。
・排泄を促してくれる食材
ほうれん草、大根、しょうが、くるみ、松の実、フレッシュチーズ、きのこ類、こんにゃく、キャベツ、白菜、五行草 など
・ツボやお腹のマッサージ
膝頭の外側の下にできるくぼみから指4本下にある足三里(あしさんり)をボールペンなどで10~20回押すのを1日3セット。
手のひらでお腹をぐるぐるとなでるのを時計回り・反時計回り各10回3セット。
他のことをやりながらでもできる簡単なマッサージです。
「太りにくい体質」は日頃から継続して行うことで作られていきます。まずは無理なく、楽しみながらチャレンジしてみましょう。
この記事を監修された先生
中医学講師楊 暁波 先生
楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など