美の大敵「不眠」を改善!〜五臓タイプ別ケアで快眠体質に〜 - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

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美の大敵「不眠」を改善!
〜五臓タイプ別ケアで快眠体質に〜

2018.12.04 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン vol.32

なにかとストレスを感じやすい現代社会では、多くの人が不眠の悩みを抱えています。睡眠不足の状態が続くと、体や脳はもちろん、くま、くすみなど肌にもくっきりと疲れが現れるように……。良い睡眠を十分とることは、美と健康を守る大切なカギ。中医学のケアで“眠りやすい体づくり”を心がけ、イキイキとした元気な肌を保ちましょう。

肌細胞は、睡眠中に生まれ変わる

目の下にくまができたり、吹き出物ができたり、顔色がどんよりくすんで見えたり……。睡眠不足が続くと肌にも元気がなくなり、肌悩みが起こりやすくなります。

これは、睡眠中の肌メンテナンスがしっかりできていないため。私たちが寝ている間、体内では「成長ホルモン」が分泌され、古くなったり壊れたりした細胞を再生しています。ところが、睡眠時間が足りないと成長ホルモンが十分に分泌されず、肌のターンオーバーが乱れてさまざまな不調が現れるのです。

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体内の不調が「不眠」を招く

中医学では、不眠の症状は「血」の不足が主な要因と考えます。血には精神を安定させる働きがあるため、不足した状態が続くと気持ちが不安定になり、眠りにくくなるのです。

血と深く関わる臓器は、血を貯蔵する「肝(かん)」(肝臓)と、血を全身に送る「心(しん)」(心臓)です。また、肝と心はストレスの発散や精神の安定とも密接に関わっているため、これらの機能が低下すると、イライラや不安感を招いて不眠を起こしやすくなるのです。

 

その他、「肺」の不調による「気」(エネルギー)の不足、消化不良などの「胃腸」の不調、加齢による「腎」の衰えなど、体のさまざまな不調が不眠につながることもあります。

不眠を根本から改善するためには、薬などに頼るだけなく、こうした体内の不調を改善することがとても大切。日頃の養生を心がけ、スッキリ眠れる“快眠体質”をめざしましょう。

五臓のタイプ別・不眠対策

一口に不眠といっても、寝つきが悪い、眠りが浅い、早朝に目がさめるなど、その症状はさまざま。「気になる症状」から自分の不眠タイプを知り、体質をしっかり整えて不眠を解消しましょう。

 

【「肝」の不調タイプ】
●気になる症状
寝つきが悪い、イライラしやすい、憂うつ感、ほてり など
●気になる美容トラブル
肌が青みを帯びている、ニキビ、毛穴が目立つ、シミ、オイリー肌 など

●おすすめ食材
菊花、ジャスミン、陳皮、しそ、春菊、セロリ、パクチー など「血」を蓄え、ストレスをコントロールする「肝」。その働きが低下すると、血不足を招いて精神が不安定になり、ストレスも溜まってイライラしやすい状態に。その結果、夜も気持ちが落ち着かず、寝つきが悪くなってしまいます。

血を十分に養い、肝の働きを整えましょう。過剰なストレスを溜めないことも大切です。

 

【「心」の不調タイプ】
●気になる症状
眠りが浅い、夜中に何度も目がさめる、不安感、動悸、めまい など
●気になる美容トラブル
肌が赤みもしくは紫を帯びている、シミ、くすみ、肌荒れ、唇が紫っぽい、オイリーと乾燥の混合肌 など
●おすすめ食材
とうもろこし、れんこん、にんじん、トマト、牡蠣、小麦、卵 など「心」は「血」を全身に巡らせ、精神状態とも深く関わる臓器。そのため、「心」の機能が低下すると精神を穏やかに保つことができず、不安感やうつ気分が続いて眠りが浅くなってしまいます。

心の働きを健やかに保ち、気持ちを落ち着かせることが大切です。

 

【「脾胃(ひい)」の不調タイプ
●気になる症状
寝つきが悪い、胃の膨満感、胃のムカつき、げっぷが多い など
●気になる美容トラブル
肌が黄色がかっている、透明感がない、ハリや弾力の不足、目の下のたるみ、オイリー肌 など
●おすすめ食材
山芋、かぼちゃ、大根、大豆、しょうが、ちんぴ(乾燥したみかんの皮)、しそ、粟 など中医学では、胃が不調(夕飯の食べ過ぎなど)だと睡眠も安らかにならないという意味の「胃不和、則臥不安(いふわ、すなわちがふあん)」の話があります。飲み過ぎ食べ過ぎといった食の不摂生が続けていると、「脾胃」(胃腸)の働きが低下して消化不良を起こしてしまいます。すると、夜になっても胃が重く、ムカムカして眠りにくくなるのです。

食生活を改善し、脾胃を元気に保ちましょう。脾胃は冷えに弱いので、冷たい飲食も控えめに。

 

【「肺」の不調タイプ】
●気になる症状
夜中(3~5時)に何度も目がさめる、疲れやすい、息切れ、乾燥肌、肌のかゆみで目が覚めやすい など
●気になる美容トラブル
色白で艶がない、シワ、たるみ、ニキビ、肌荒れ、乾燥肌、敏感肌 など
●おすすめ食材
ゆり根、銀杏、ゆず、白菜、長ねぎ、里芋、れんこん、梨、くるみ など体内の「気」は、心と体の元気を支えるエネルギー源です。その生成には「肺」が深く関わっているため、肺の働きが弱いと気の不足を招くことに。その結果、エネルギー不足で心身ともに疲れやすくなり、熟睡できなくなってしまうのです。

肺は乾燥に弱い臓器。体内の潤いを養い、元気な肺で気をしっかり養いましょう。

 

【「腎」の不調タイプ】
●気になる症状
早朝に目がさめる、夜間の頻尿、腰痛、耳鳴り、物忘れ、冷え など
●気になる美容トラブル
肌が浅黒い、透明感がない、目の下のクマ、肌に色ムラがある、たるみ、オイリーと乾燥の混合肌 など
●おすすめ食材
黒ごま、くるみ、栗、山芋、さつまいも、羊肉、もち米、きのこ類 など中医学では、「腎」は脳の状態と深く関わり、加齢とともに衰えていく臓器と考えます。そのため、年齢を重ねて腎の機能が低下すると、脳の働きにも影響し、精神不安などから熟睡しにくくなってしまうのです。

冷えは腎の大敵です。季節を問わず、体を冷えから守るよう心がけましょう。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など