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よくわかる中医学vol.22-相生・相克の関係が体に及ぼす影響-

STUDY中医学の基礎

よくわかる中医学vol.22
-相生・相克の関係が体に及ぼす影響-

2019.05.21 UPDATE

よくわかる中医学vol.22

前回の記事「よくわかる中医学vol.21-「五行説」の特性を活かした養生法-」で、五行説の「木火土金水」それぞれの性質についてご紹介しました。前回お伝えしたとおり、私たちの体の臓腑も木・火・土・金・水の5つの属性に分けることができます。これら5つはそれぞれの性質によってお互いに影響を与え、協力しあいながら私たちの心身の健康状態を保っています。
今回は、木・火・土・金・水の相互関係にはどのようなものがあるのか、また、バランスがくずれると起こる不調と対処法についてお伝えします。

人間にとって必要不可欠な五行の相互関係

五行にはそれぞれの五臓・五腑が当てはまり、下図のようにそれぞれが影響しあっています。
 
・相生(そうせい)
図の赤い矢印が「相生」の関係です。木・火・土・金・水は互いに助け合い、一方が片方を生かす「相生」の関係を持っています。
 
・相克(そうこく)
図の灰色の矢印が「相克」の関係です。木・火・土・金・水は、相生のように互いに助け合う関係だけではなく、互いに抑制し、片方を損なう「相克」という関係を持っています。
 
「相生」によって促される働きを、「相克」によって抑制しながら物事のバランスをとっているので、どちらの関係も私たち人間にとって共に必要不可欠なのです。

相生のバランスが崩れている状態「相生異常」

相生と相克のバランスがとれていて、うまくはたらいているのが健康な状態ですが、これが崩れるとさまざまな不調が現れます。ここからは「肝(かん)」(肝臓)を中心とした相生相克の異常を例に挙げて紹介します。
 
相生の関係にある臓腑の一方が不調になると、もう一方の臓腑にも影響してしまうことが「相生異常」です。この場合、どちらか一方だけでなく影響してしまった臓腑にも着目して治療を進める必要があります。

【症状の例】
「心肝火旺(しんかんかおう)」
ストレスによって「肝(かん)」(肝臓)の「気」(エネルギー)が滞っている状態を「肝鬱(かんうつ)」といいます。この肝鬱状態が長引くと、肝の気が熱を帯び火を生じて、憂鬱、イライラ、顔が赤い、便秘、人を怒鳴りつけたくなるなど「肝鬱化火(かんうつかか)」の症状がみられるようになります。「心肝火旺」とは、この肝の熱が「心(しん)」に及んでしまった状態のこと。肝の症状に加えて、不眠などの心の症状もあらわれてしまいます。
食養生として、くちなし、ミント、カモミール、イカ、あさり、蓮の実などがおすすめです。中国では「蓮子心(れんししん)」という蓮の種子の中にある緑色の胚芽を使ったお茶「蓮心茶」がよく飲まれます。

相克の関係が過剰になっている相克異常「相乗(そうじょう)」

相克の関係にある臓腑同士も影響して、体の不調を引き起こすことがあります。「相乗」とは、克つ側の臓腑の働きが過剰になっていることで、相克のバランスが崩れ、体の不調を引き起こしていることです。

【症状の例】
・肝火犯胃(かんかはんい)
肝は胆汁を分泌して消化を促すなど「脾(ひ)」(消化器系)の働きを助けています。「肝火犯胃」とは、肝の働きが過剰になってしまうことで、相克関係にある脾胃の消化機能に異常をきたしてしまうこと。胃から酸っぱいものがこみあげてくる、胃痛、胃潰瘍などの症状がみられます。
食養生として、ミント、サンシシ、パクチーなどがおすすめです。

相克の関係が逆転して影響してしまう相克異常「相侮(そうぶ)」

相克の関係は本来、矢印の方向に影響を及ぼしますが、影響を受ける側の臓腑の不調が克つ側の臓腑に影響を及ぼして、体の不調を引き起こしていることです。特に、克つ側の臓腑の働きが弱まっている場合に多く見られます。

【症状の例】
・肝火犯肺(かんかはんはい)
ストレスなどにより肝が不調になり、それが肺に及んでしまう状態のこと。気管支炎や喘息になりやすいなど肺が弱い傾向にある方が、強いストレスにさらされたとき、喘息症状になりやすいのはこの状態と考えられます。
食養生として、陳皮(乾燥したみかんの皮)、大葉、大根、梨などがおすすめです。

五臓の関係に着目しバランスを整える中医学

西洋医学では、胃痛、下痢、咳といった症状に着目し、その症状を取り除くことに注力しますが、中医学では、五臓の相互関係に着目し、その人の体全体をみてバランスを整えます。そのため、そのときの症状だけでなく、日頃から働きが弱い傾向にある臓腑など、自分の体質を知っておく必要があるのです。
漢方薬局・薬店では、症状だけでなく、日頃の生活習慣や悩み、体の状態なども伺いますが、これらは五行の相互関係からその人の体質と対処法を考える上でもとても重要な情報になります。自分の健康を考えるときにも、五行の考え方を取り入れて体と向き合う時間を作ってみてくださいね。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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