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腰痛は「だるい」と「痛い」で違う?中医学で考える体質別の対処法

STUDY中医学の基礎

腰痛は「だるい」と「痛い」で違う?
中医学で考える体質別の対処法

2020.09.15 UPDATE

痛み、しびれ、だるい、重い、脱力など腰痛の症状はさまざま。はっきりとした病名の有無に関わらず、慢性的な腰痛でつらい思いをしている人も多いのでは?

腰痛は老化に伴い起こりやすい疾患のひとつですが、最近では若い人にも増えています。今回は、現代病とも言われる腰痛の対処・予防法をお伝えします。

腰痛は人間の宿命!?それでもつらい…

二足歩行の人間は、四足歩行の動物と違い上半身の体重が垂直に腰へかかるので、腰痛になりやすいと言われています。腰痛が二本足で体を支えて生活をする「人間の宿命」と言われる所以です。

そもそも「腰」という漢字は、肉づきに要(かなめ)という意味が合わさってできているもの。「腰」は人のからだにとって、扇の要のような重要な役目があり、ぎっくり腰になると動けなくなるのは、要が壊れたからと言えるでしょう。

ひとことで腰痛といっても原因は多く、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰椎分離症、脊柱管狭窄症、側湾症など脊柱に由来するものや、尿路結石、子宮筋腫、子宮内膜症、胆嚢炎などの腰以外に由来するもの。また、ストレスなどの心因性によるものもあります。このように腰痛の裏には大きな病気が潜んでいる可能性もあるので、腰痛があれば一度専門家や病院の検査を受けることをおすすめします。

ただ、病名が分かっても分からなくても慢性的な腰痛はつらいですよね。もちろん投薬や手術で痛みを止める方法もありますが、中医学的な体質別ケアで改善する可能性も大いにあります。まずは、自分の腰痛タイプを知ることから始めましょう。

中医学で考える腰痛の原因3タイプ

腰痛の原因は、中医学では「腎虚・労損」「寒湿邪気」「外傷」の3つと深く関係していると考えます。

(1)腎虚・労損タイプ
中医学には「腎は骨を司る」「腰は腎の府である」という言葉があり、腎虚(腎が不足した状態)で骨を滋養することができなくなると骨が脆くなり腰痛になってしまいます。腎虚になる原因は、過労、過度な性生活、加齢など。

また、「久立傷骨」(長く立つと骨を傷つける)とも言われ、長時間立つ仕事をする人や重い荷物を運ぶ人は骨を司る腎が損傷されやすくなります。逆も然り「長く座ると肉を傷つける」という中国のことわざもあり、座りっぱなしで足の筋肉が弱っている人ほど腰痛になりやすくなります。立ちすぎも座りすぎも、どちらも骨を司る腎へダメージを与えてしまうのです。

【気になる症状】
足腰がだるくて痛い、重だるい・膝もだるい、冷え症、頻尿・夜間尿、耳鳴り、腰がしくしく痛む、腰を押すと痛み揉むと楽になる など
 
(2)寒湿タイプ
冷たく湿気のある寒湿邪気が腰の経絡を侵襲し、気血を凝滞(滞らせる)させて痛みを起こした状態。寒湿邪気になる原因は、冷風冷気や湿度の高い環境に長時間いる、冷たい雨に濡れる、冷たい飲食物の摂取し過ぎなど。

【気になる症状】
重い痛み、動けない、患部が冷たい、軟便・下痢をしやすい、浮腫み、舌の苔が真っ白
 
(3)外傷タイプ
けがや打撲などによる外傷は、患部が内出血し、腫れが起きることで気血が凝滞して痛みを起こします。
 
【気になる症状】
激痛・刺痛があり、酷くなると患部や皮膚にあざができて動くと痛みが強くなる。舌の色が紫っぽく瘀点瘀斑(黒い点やあざ)がある

タイプ別の予防・改善法

自分のタイプがわかったら次は養生法です。日常生活や食事のちょっとした心がけが改善への一歩ですよ。

(1)腎虚・労損タイプ
【生活の注意点・予防法】
過労・過度な性生活・夜更かし・長期間同じ姿勢を取ることを避け、適度な運動をする。また、ハイヒールは避け、保温し、慢性的に過労をしないことを心掛けましょう。
【おすすめの食材】
豚や牛の筋、軟骨、豚の腎臓、えび、黒豆、大豆、胡桃、ごま、にんにく、杏仁(杏の種の仁)、カシューナッツ、クコの実 など
 
(2)寒湿タイプ
【生活の注意点・予防法】
保温を心がけ、冷たい飲食物を避ける。温かい風呂にゆっくり浸かるようにしましょう。
【おすすめの食材】
しょうが、ねぎ、玉ねぎ、らっきょう、シナモン、ハトムギ、ウド など
 
(3)外傷タイプ
【生活の注意点・予防法】
急性期は安静するのが一番。医師の指示どおりに処置を行い、局部の内出血や炎症に対して冷湿布を使いましょう。
【おすすめの食材】
いわし、あじ、玉ねぎ、なす、黒きくらげ、紅花、田七人参、桃仁(ももの種の仁)など
【ちょこっと豆知識】
中国ではけが、打撲による骨折や内出血の治療には、田七人参(でんしちにんじん)がよく使われます。外傷の打撲以外にも、瘀血による症状(十二指腸潰瘍による出血や生理痛など)にもよく使われ、70%が田七人参の雲南白薬(うんなんびゃくやく)という方剤は家庭の常備薬として用いられます。田七人参には、活血・止血・消腫・止痛の働きがあり、いざという時の予備薬としておすすめの生薬。

田七人参

腰痛を緩和・予防するツボと体操

腰痛を緩和・予防するツボをご紹介します。

(1)腎兪(じんゆ)
ちょうど腎臓のあたり。親指が背中側にくるようにしてウエストを両手でつかんだときに親指が当たる部分。
(2)大腸兪(だいちょうゆ)
背骨と左右の骨盤を結んだ線の交わるところ。
(3)腰腿点(ようたいてん)
手の甲に2つあるツボ。両手の親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみと、薬指と小指の骨が交わる手前のくぼみ(他にも、人差し指と中指の間など諸説あります)。
 
左右の腎兪、大腸兪を両手あるいは両拳でもむ、またはさすります。痛みが強いときは無理せず、手の甲の腰腿点を押しましょう。
 
痛みが強いときは安静が第一。
痛みが強くない場合は、足腰の筋肉を強化したり、縮んだ筋肉を伸ばすために朝、晩フラフープをするように20回ずつ腰を回転するのがおすすめ。
ただし、前屈・後屈は、勢いをつけると痛めやすいので注意しましょう。
 
諦めがちな腰痛ですが、自分の体質にあったケアとちょっとした心がけで改善することもあります。まずは、1日数分の運動や食養生からチャレンジしてみましょう。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

楊 敏(よう びん)
上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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