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よくわかる中医学vol.15-中医学の診断方法「舌診」-

STUDY中医学の基礎

よくわかる中医学vol.15
-中医学の診断方法「舌診」-

2018.11.20 UPDATE

よくわかる中医学vol.15

よくわかる中医学シリーズ、今回のテーマは中医学の診断方法の一つである「舌診(ぜっしん)」です。

中医学には、「望診(ぼうしん)」、「聞診(ぶんしん)」、「問診(もんしん)」、「切診(せっしん)」という基本の4つの診断方法があります。「舌診」は観察して診断する「望診」の中の一つです。
中医学で舌は「内臓の鏡」、「露出の内臓」と呼ばれています。「舌診」とはこの舌の様子を見ることによって体質、体調、病気の原因などを診断する、中医学には欠かせない診断方法です。

今回はこの「舌診」について、基礎知識から舌の見方まで詳しくご紹介していきます。

臓腑の状態がわかる「舌」。舌診で未病を予防!

現代ではさまざまな診察方法がありますが、主に検査をして数値によって判断されます。しかし、病気になり異常な数値が出るまでの過程を検査では見ることができません。

皮膚がなく薄い粘膜に覆われているだけの舌は、血流の状態が見えやすいです。そのため、「気・血(けつ)・津液(しんえき)」や内臓の状態がわかり、病気になる前に診断することができます。

また、舌は体質を表すので、その人にあった診断を下すことができるのです。


「内臓の鏡」である舌を見ることは、不調を感じるけれど原因がわからない「未病(みびょう)」の予防に必要不可欠。その日の体調によって舌の状態も変化するので、日々鏡を見て気軽にチェックしてみましょう。

舌の基本!正常な舌の状態を知ってセルフチェック

健康な人の舌は、きれいなピンク色でうっすらと白い舌苔(ぜったい)があります。この状態を「淡紅舌(たんこうぜつ)」、「薄白苔(はくはくたい)」と言います。また、適度な潤いがあり、大きさや厚さも程よい状態です。

【舌のセルフチェック方法】
(1)なるべく自然光の下で観察
夜間、暗い場所、照明の色によっては見えにくかったり、色を正しく診断することができません。
(2)鏡に向かい「あっかんべー」
力を入れすぎず、自然に舌を出しましょう。

セルフチェックをするおすすめの時間は、朝起きてすぐの歯磨き前
飲食や服用した薬によって舌の色が変化してしまうことがあるので、食後・服用後は一時間置いてからチェックするようにしましょう。

【舌と臓腑の関係】
経絡を通して、舌の部位ごとに五臓の健康状態が反映されます。それぞれの部位の舌・苔の状態を見て、臓腑の異常の参考にします。

舌の色・形、苔の色・質で見分ける基本のセルフチェック

健康な人の舌を理解したら、自分の舌と見比べていきましょう。主な見分け方を抜粋してご紹介します。

【冷え体質?熱体質?】
●冷え体質の「淡白舌(たんぱくぜつ)」
淡い白色の舌。「気」(エネルギー)、「血(けつ)」が足りていない「気血両虚(きけつりょうきょ)」で寒邪が入り込み冷えてしまっている状態。舌がむくんで歯型ができる場合は、体が冷えて水分代謝の機能が衰え、余分な水分が停滞している状態と考えられます。寒邪の影響で苔は白くなりやすいとされています(白苔(はくたい))。

●熱体質の「紅舌(こうぜつ)」
赤みが強い舌。熱が体にこもってしまっている状態で、赤ければ赤いほど熱が強いと診断されます。
例えば、心・肺に熱があり、寝付きが悪い、睡眠が浅い方は舌の先が紅いことが多いです。

【苔のある・なしは消化機能の表れ】
地面に栄養があると植物が生えるように、胃に「気」(エネルギー)と「陰」(潤い)があると苔が生えます。また、熱邪による食べ過ぎや寒邪の影響によって消化機能が弱まっていると苔が厚くなります。
 

●苔がない「無苔(むたい)」
胃の「気」、「陰」が損なわれている状態。苔がなく光っているように見えるので「光滑舌(こうかつぜつ)」ともいいます。

●苔が黄色く厚い「黄苔(おうたい)」
色が濃いほど症状が重いです。熱が体にこもって食べすぎてしまい消化機能が弱まっている状態と診断されます。

●灰色または黒色の苔が厚い「灰苔(はいたい)」「黒苔(こくたい)」
寒または熱のどちらかがとても強く体に影響していて色が濃くなってしまっている状態です。白い苔が混ざっていて舌が潤っていれば寒邪、黄色い苔が混ざっていて乾燥していれば熱邪の影響と考えます。

脾胃のセルフケアはよく分かる中医学vol.8-「脾胃」の働きと養生-をご覧ください。

※舌は薄い粘膜に覆われているので摩擦させて無理に取らないようにしましょう。口臭は体の中から邪気を取り除くことで改善されます。
※寝たきりの方などは苔が溜まりやすいです。カビが生えてしまうこともあるので、舌ブラシなど専用のブラシで取り除くようにしましょう。

女性に多い!血が足りない「血虚」タイプと血行不良「瘀血」タイプの見分け方

月経や妊娠で血を消耗しやすい女性は「血虚(けっきょ)」になりやすいと言われています。血が足りないと血行不良にもなりやすいため「瘀血(おけつ)」の方も多いです。

これらのタイプの、舌診によるセルフチェック方法を簡単にお伝えします。

【血虚タイプ】
●淡白舌(たんぱくぜつ)
舌が薄い「痩薄舌(そうはくぜつ)」
血が足りないと気も同時に足りない場合が多いため、「気虚(ききょ)」タイプも同様に舌の特徴として表れます。舌にむくんで歯型ができる場合はより気が失われている状態です。

【瘀血タイプ】
●暗い紫色の「紫暗舌(しあんぜつ)」
黒い点やあざが見られる「瘀点(おてん)」「斑(おはん)」
舌下静脈(ぜっかじょうみゃく)の異常(怒張など)
上記の内1つでも条件が当てはまると瘀血です。
舌が紅みが強い紫色だと熱による瘀血、青みが強い紫色だと寒による瘀血と考えられます。
舌下静脈とは舌の裏を見たときに舌から伸びる血管のこと。通常は2本見られますが本数が多かったり、血管の太さが2.7mmより太くなっていたり、血管の長さが舌の長さの2/3よりも長く伸びていた場合、瘀血に見られる舌下静脈の異常と考えられます。

血虚と瘀血のセルフケアはよくわかる中医学vol.12-中医学の生理観「血」-をご覧ください。


自分の体質や今の体調を舌診によって知ることができます。これらの診断方法をもとに日々のセルフチェックを実践してみましょう。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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