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体の中から乾燥!?秋冬になりやすい「血燥」の体質別ケア

2018.11.06 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスン vol.31

秋が深まり、空気がひんやりと感じられる季節。ようやく夏の疲れも回復する頃ですが、これからの時期は「乾燥」に注意が必要です。
肌の乾燥は美容の大敵になるだけでなく、かゆみや炎症といった皮膚トラブルの要因になることも。日頃の保湿ケアと体質改善を心がけ、肌の潤いをしっかり守りましょう。

乾燥による肌トラブルのメカニズム

乾燥肌とは、角質層の水分や皮脂の分泌が減って、肌の潤いが不足している状態のこと。カサカサ、かゆみ、つっぱり感、粉ふき、といった症状が現れます。
乾燥による皮脂の減少によって、角質層に含有される水分やセラミドが不足した状態になり、皮膚からの水分蒸発量が増えます。すると、肌の弾力が低下し、皮膚の血液循環も悪くなってしまうのです。
乾燥を放って置くと皮膚が熱を持ってしまい、吹き出物やニキビができやすくなります。潤いを与えながら余分な熱を取り除く対策が必要です。
当然、外側からの保湿も重要ですが、セラミドやヒアルロン酸などの皮膚の構成成分とともに、セラミドを増やす生薬や食材を摂ることも重要。内側から潤すことで、外側からのスキンケアの作用もより確実なものになります。
肌の乾燥は年齢を問わず起こりますが、特に気をつけたいのは、皮脂の分泌が少なくなる30代後半から。不足しがちな水分・油分をしっかり補って、肌の潤いを守りましょう。

秋冬は体の中からも乾燥する!「血燥」って?

中医学では、「気」(エネルギー)、「血(けつ)」、「津液(しんえき)」(潤い)を栄養分として取り入れ、乾燥を防いでいると考えられています。このどれかが足りなくなると、肌に十分な潤いや栄養が行き届かなくなるため、体の内側から乾燥してしまう。このことを「血燥(けっそう)」といいます。近年の中医学の発展により生まれた概念です。
血燥になると、肌のバリア機能(肌の水分を保ち、外からの刺激をブロックする働き)が低下し、乾燥肌などの不調が起こります。
秋冬は乾いた空気の影響を受けて、気・血・津液を消耗しがちな季節。血燥も起こしやすくなるので、積極的に対処することが大切です。肌表面の保湿ケアはもちろん、体内の乾燥状態もしっかり改善して、内側から潤う体質づくりを心がけましょう。

上・中・下の特徴を知って部位別スキンケア

肌の状態には、体の「上部」「中部」「下部」で特徴があります。それぞれの部位に適したケアで、日々の潤い補給を心がけましょう。
(1)上部
・目のまわり
・口のまわり
・首のまわり
皮膚が薄く、水分が失われやすい場所。その分、水分も入り込みやすいので、たっぷりのローションで保湿しましょう。ローションの後はクリームなどで油分を補い、水分の蒸発を防ぐことが大切です。
(2)中部
・背中
・肩
・手
体の中部は皮脂腺が比較的多く、乾燥しにくい場所。ただし、秋冬は潤いが不足しやすいので油断は禁物。ボディケア用のローションやクリームで、きちんと保湿しましょう。
また、手は家事や手洗いなどで潤いが失われやすいため、こまめな保湿を心がけて。
(3)下部
・すね
・かかと
すねは皮脂腺が少なく、とても乾燥しやすい場所。クリームなどをたっぷり塗って、潤いを補いましょう。
かかとは角層が厚いので、乾燥すると固くなり、ひび割れを起こすことも。油性の軟膏などでしっかりケアをして、乾燥を防ぐことが大切です。
☆ケアをしてもかかとのひび割れやガサガサなどが改善しない場合は、「カビ」が原因になっていることも。気になる人は、皮膚科などで一度チェックしてみてください。

乾燥を防ぐスキンケアのポイント

・入浴に気配りを

保湿作用のある入浴剤を使いましょう。
湯温は38~40℃のぬるま湯、入浴時間は10分程度を目安に。
体を拭いたらすぐにスキンケアを。入浴で補った水分は5分程度で蒸発してしまいます。
・保湿は1日3回が理想。手は水を使うごとにハンドクリームでケアを。
・皮膚の摩擦はなるべく避けて。肌にやさしい素材を選ぶことも大切です。
特にシルクや柔な布の素材の下地がおすすめ。保湿性が高いのはシルク製品です。シルクスカーフを枕カバーにして寝ると肌にいいですよ。

「血燥」を改善して内側から潤う肌に!血燥タイプチェック

血燥には、主に4つのタイプがあります。それぞれの症状を参考に自分のタイプを見極めて、乾燥体質をしっかり改善しましょう。
【「気血不足(きけつぶそく)」の血燥】
・気になる症状
髪のパサつき、血色が悪い、シワができやすい、肌にツヤや弾力がない、爪が割れやすい など
・おすすめ食材
きのこ類、肉、魚、レバー、りんご、にんじん、なつめ、ひじき、プルーン、小松菜 など
・おすすめ生薬
黄耆(おうぎ)、地黄(じおう)、朝鮮人参(ちょうせんにんじん)、当帰(とうき) など
【「津液不足(しんえきぶそく)」の血燥】
・気になる症状
口の渇き、シワができやすい、スネなどに粉がふく、ドライアイ、唇の乾燥 など
・おすすめ食材
白きくらげ、梨、れんこん、百合根、杏仁、ヨーグルト、緑黄色野菜 など
・おすすめ生薬
沙棘(さーじ)、地黄(じおう)、西洋人参(せいようにんじん) など
【「瘀血(おけつ)」(血行不良)の血燥】
・気になる症状
あざができやすい、シミ・そばかすができやすい、肌のくすみ など
・おすすめ食材
青魚(いわし、さば、さんま など)、玉ねぎ、にら、サフラン、サンザシ、シナモン など
・おすすめ生薬
芍薬(しゃくやく)、沙棘(さーじ)、大黄(だいおう)、丹参(たんじん)、 など
【「血熱(けつねつ)」の血燥】
・気になる症状
顔が赤い、顔がほてる、赤ニキビ、湿疹 など
・おすすめ食材
柿、きゅうり、トマト、れんこん、苦瓜、白菜、セロリ、緑茶 など
・おすすめ生薬
芍薬(しゃくやく)、牡丹皮(ぼたんぴ)、地黄(じおう) など

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など