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よくわかる中医学vol.13-中医学の生理観「津液」-

STUDY中医学の基礎

よくわかる中医学vol.13
-中医学の生理観「津液」-

2018.08.21 UPDATE

よくわかる中医学シリーズ、テーマは中医学の「生理観(せいりかん)」の中から「気・血(けつ)・津液(しんえき)」です。
前回の「よくわかる中医学vol.11」では「気・血・津液」の「気」を、「よくわかる中医学vol.12」では「血」を取り上げました。今回は「津液」のお話です。

「気・血・津液」とは体の組織を構成し、体内を巡る最小の単位。この3つのどれか1つでも不足してしまったり、流れが滞ってしまったりすると体の不調に繋がります。

臓腑・器官を潤す正常な水分「津液」

「気・血・津液」としていますが、広く知られているのは「気・血・水」ですよね。「水」とは生命活動を維持する血液以外の正常な水分のこと。中医学では「津液」と呼びます。
水分は、臓腑・器官の働きを潤す潤滑油のようなもので、成人の体重の約60%を占め、赤ちゃんの場合、なんと体重の約80%を占めます。
 

津液は、主に「脾胃(ひい)」(胃腸)の運化機能により、飲食物を消化吸収して生成され、肺や腎に輸送されます。
肺に輸送された津液の働きは、身体の上部へ輸送され目・鼻・口・皮膚毛孔などを潤すこと。その後、不要な水分は汗などとして排出されたり、腎や膀胱に降ろされたりします。
腎に輸送された津液は、体にとって必要な清らかなもの(水分や有益物質)と不要な汚れたもの(老廃物や余分な水分)に分けられます。必要なものは再吸収されますが、不要なものは尿へと変わり排出されます。

津液の働きを良くするためには「脾胃」「肺」「腎」の臓器を健やかに保ち、発汗・排尿によって水分代謝をスムーズにすることが大切です。

「津」と「液」それぞれの働き

津液は、皮膚・孔竅(こうきゅう・体表の穴)・関節・脳髄などの臓腑・器官を潤す働きのほか、血液を薄めて血行をよくさせる働きがあります。
 
また、津と液は区別されていて、それぞれが緊密に繋がり協力しながら生命活動を支えています。
・津
薄くさらっとしていて、流動性が大きく、主に皮膚・筋肉・粘膜などに分布。孔竅を潤しながら水分などの物質代謝のバランスを維持しています。例えば汗、涎、鼻水、涙、尿、血漿(けっしょう)など。
・液
濃くねっとりしていて、流動性が小さく、主に臓腑・関節・脳髄に分布。潤す働きのあるそのもののこと。例えば胃液、関節包の滑液、脊髄の髄液、脳の脳液など。

津液トラブルとその対策

津液トラブルによってもたらされる症状には、津液の不足と滞りがあります。

【津液の不足「津液不足」】
・気になる症状
口や喉がカラカラする、口の渇きが激しい、唇がひび割れる、皮膚が乾燥して弾力がなくなる、尿が少ない、乾燥した便が出る、舌が赤く乾いている など
・津液不足になりやすい生活習慣
高齢者の水分摂取不足、真夏や高温な環境での作業が多い
・摂り入れたい食材
きゅうり、トマト、スイカ、梨、葡萄 など
・便が乾燥して出にくいときのツボ
支溝(しこう):手の甲の手首から指4本分下

※「津液不足」と「陰虚(いんきょ)」の違い
津液不足とは、体内の正常な水分が不足している状態のこと。陰虚とは、津液だけでなく精(生命エネルギー)や血などの「陰液」が不足している状態のこと。

【津液の滞り「痰湿」】
・気になる症状
むくみやすい、身体が重だるい、めまい、頭痛、水っぽいものを嘔吐する、尿が少ない、鼻水が多い、咳をしたときに出る痰が多い など
・痰湿になりやすい生活習慣
暴飲(1日2L以上の水や酒を飲む)、暴食、運動不足、ストレスが多い
・摂り入れたい食材
しょうが、ねぎ、冬瓜、ヘチマ、はと麦 など
・下肢のむくみに良いツボ
復溜(ふくりゅう):内くるぶしの一番高いところから親指の幅2本分上

自分がどのような状態なのか、体質が気になる方は体質チェックをしてみましょう。

一つでもトラブルが起こると互いに影響する気・血・津液の関係

気・血・津液について、3回に分けてお伝えしてきました。これまでの内容のまとめとして、気・血・津液の相互関係をおさらいしましょう。

【気と血の関係】
血には気を養ったり(滋養)、気を乗せて運ぶ働きがあるため、「気の母」と言われています。一方、気には血の機能と巡りを促す働き(促進)と体外に漏れないようにする働き(固摂)があるため、「血の帥(すい)」と言われています。また、飲食物から血を生成させるのも気の働きです。

【気と津液の関係】
津液も血の働きと同じように、気を乗せて運ぶ働きがあります。一方、気には津液を全身に巡らせて、体外に漏れないようにします。また、飲食物から津液を生成させるのも気の働きです。
 

【血と津液の関係】
血と津液はどちらも脾胃で消化された飲食物から生成されるため、「汗血同源(かんけつどうげん)」または「津血同源(しんけつどうげん)」といわれています。血と津液はどちらか一方が不足すると、転化して補い合います。

気には血と津液を生成し、巡らせ、固摂する(液体を漏らさないようにする)働きがあり、血と津液には気を乗せて全身へ運ぶ働きがあります。どれか一つでも異常な状態になってしまうとお互いに影響し合い、体の不調につながってしまうのです。
まずは日頃から体に向き合って、その不調に気づいてあげることが大切です。ご紹介してきた養生を参考に生活習慣を見直してみてくださいね。

PROFILE

中医学講師楊 敏 先生

上海中医薬大学医学部および同大学院修士課程卒業。同大学中医診断学研究室常勤講師・同大学附属病院医師。
1988年来日。東京都都立豊島病院東洋医学外来の中医学通訳を経て、現在、上海中医薬大学附属日本校教授。日本中医薬研究会や漢方クリニックなどの中医学講師および中医学アドバイザーを務める。
主な著書に『東洋医学で食養生』(世界文化社・共著)『CD-ROMでマスターする舌診の基礎』、『(実用)舌診マップシート』(東洋学術出版社)など。

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