トップページ >

MAGAZINE >

STUDY >

よく分かる中医学vol.8-「脾胃」の働きと養生-

STUDY中医学の基礎

よく分かる中医学vol.8
-「脾胃」の働きと養生-

2018.03.20 UPDATE

「よくわかる中医学」では、vol.2から五臓について紹介しています。今回のテーマは、五臓の中から「脾胃(ひい)」です。
 
食欲不振や胃もたれといった症状が続くと、体力が落ち、体調を崩しやすくなってしまいますよね。
中医学では、「脾(ひ)」は栄養素や水分を吸収し全身に運ぶ「運化(うんか)」を、「胃」は飲食物の「消化」をそれぞれ受け持っていると考えます。つまり、脾胃は西洋医学で考える「胃腸」(胃、小腸、大腸の機能)のようなもの。食事から栄養を吸収し、生命活動の基本となる「気」(エネルギー)・「血(けつ)」を生み出す大切な役割を担っているのです。

「食べる」ことは健康の基本

「脾胃」が元気で栄養をしっかり摂ることができれば、基本的な体力、免疫力が養われ、健康な身体をつくることができます。一方、脾胃の機能が弱くなると、食欲不振や消化不良、下痢といった症状を招き、栄養やエネルギーが不足しがちに。
体調を崩しやすくなり、夏バテや疲労、冷えといった不調も起きやすくなってしまいます。
 
脾胃の働きを良くすることは、健康の土台づくりにつながる大切なこと。しっかり栄養を摂って元気な身体をつくるためにも、脾胃を健やかに保つよう心がけましょう。

脾胃には消化・吸収のほか、「血液が血管から漏れないよう保護し、血尿や月経過多などを防ぐ」「胃下垂などの内臓下垂を防ぐ」「全身の筋肉や四肢を養う」といった働きもあります。
脾胃のそれぞれの働きについて詳しくご紹介します。

「脾胃」の働き①食べ物の消化・吸収

「脾胃」は体内の「気」(エネルギー)・「血(けつ)」を生み出す源。飲食物を消化して栄養素や水分を吸収し、気や血に変えて全身に運びます

脾胃が元気なら、食欲は旺盛。栄養をしっかり摂ることができるので、身体全体が元気になります。水分もスムーズに吸収、運搬されるので、「痰湿(たんしつ)」(体内の余分な水分や汚れ)が溜まることもありません。
基本的な体力が養われ免疫力も高まるので、病気にもかかりにくくなります。

反対に、脾胃の働きが弱くなると食欲が落ち、胃もたれや消化不良、疲労感といった症状が現れるように。水分がスムーズに処理できず痰湿が溜まりやすくなるため、下痢やむくみなどの症状が現れることもあります。痰湿は脾胃の機能をさらに低下させてしまうので、早めに取り除くことが大切です。

脾胃には栄養素を肺などに運び上げる働きもありますが、この機能は、内蔵を持ち上げて正しい位置に保つ役割も果たしています。そのため、脾胃の働きが弱くなると、胃下垂など内蔵下垂の症状が現れることもあります。

脾胃は冷えに弱いため、冷たい飲食物の摂り過ぎに注意しましょう。日頃から温かい食べ物、飲み物を摂るよう心がけるだけで、脾胃をいたわることができます。

●気になる症状
食欲不振、軟便、お腹の張り、胃もたれ、げっぷ、吐き気、下痢、むくみ、疲労感、息切れ、めまい、便秘、内臓下垂
 
●摂り入れたい食材
脾胃を補い、機能を高める食材:
米、インゲン豆、大豆製品(豆腐など)、アジ、豚肉、牛肉、山芋、かぼちゃ、じゃがいも、キャベツ、りんご など
脾胃の痰湿を取り除く食材:
しょうが、きゅうり、冬瓜、はと麦、緑豆、小豆、もやし、春雨、茶、梅干し、こんにゃく など

「脾胃」の働き②血液の運行管理

「脾胃」には、血液が血管から漏れないように保護し、必要な器官に必要な分を届ける運行管理の働きがあります。
脾胃が弱くなりこの機能が低下すると、血尿や血便、皮下出血、月経過多などの症状が現れることも。慢性的な出血の症状は、原因に応じた治療を行いながら、脾胃の機能を整えて根本的な改善を心がけることも大切です。
 
●気になる症状
血尿、血便、皮下出血、月経過多 など
 
●摂り入れたい食材
脾胃の気・血を補う食材:
なつめ、クコの実、竜眼肉、ぶどう、レバー、鶏肉、卵、鮭、黒砂糖 など

「脾胃」の働き③筋肉や四肢のサポート

脾胃は全身の筋肉や四肢に栄養素を運び、身体のスムーズな動きをサポートしています。
この機能が低下すると、筋肉の衰えや四肢の倦怠感などを感じるように。身体の運動機能を保つためにも、脾胃を整えてしっかり栄養を摂るよう心がけましょう。
 
●気になる症状
筋肉の無力、筋肉の萎縮、四肢の倦怠感 など

●摂り入れたい食材
脾胃を補い、機能を高める食材:
米、インゲン豆、大豆製品(豆腐など)、アジ、豚肉、牛肉、山芋、かぼちゃ、じゃがいも、キャベツ、りんご など

「脾胃」の不調チェック!・暮らしのワンポイント

●脾胃の不調チェック
中医学では、「脾胃」の不調は唇や味覚に現れると考えます。下記のポイントを参考に、気になる症状があれば積極的にケアしてみてください。
 
・味覚に異常は?
「味がしない」「口が苦い」「口が甘い」「口臭がある」といった異常を感じたら、脾胃に不調があるサインです。
 
・唇の状態は?
「唇が白っぽい」「唇にツヤがない」。こんな症状を感じたら、脾胃の状態をチェックしてみましょう。
 
●暮らしのワンポイント
・冷たいものは脾胃の大敵、なるべく温かいものを
中医学には「冷たいものは脾胃を傷つける」という言葉があります。なるべく温かい食べ物、飲み物を摂るよう心がけ、脾胃をいたわりましょう。
サラダや刺身などを食べるときは、みょうがやしそを添えるなどの工夫を。
 
・暴飲暴食や脂っこいものは避けて
暴飲暴食はもちろん、脂っこいものの食べ過ぎや激辛料理なども脾胃の機能を低下させる原因に。脾胃に負担のない食事を心がけましょう。
 
・食事に集中、「専食」の習慣を
中国には「専食」という言葉があり、食事中は食べることに専念することが大切とされています。本を読んだり、テレビを見たり、おしゃべりをしたり、考えごとはほどほどに。食事中は「専食」を心がけましょう。
 
・身体を動かして食欲アップ!
ウオーキングなど、日頃から適度な運動を心がけて。身体を動かして軽い疲労を感じると、脾胃が働いて食欲がアップします。
 
・朝食は消化の良いものを
脾胃がまだ働いていない朝の食事は、温かく消化の良いものを。中国では「おかゆ」が朝食の定番メニューです。

・食欲がないときは香りの良いものを
脾胃の不調で食欲が落ちているときは、香りの良い食材を摂り入れて。サンザシ、ちんぴ(乾燥したみかんの皮)、みょうが、フェンネル、カルダモン、山椒の実がおすすめです。

・脾胃を元気にするツボを押す
膝頭の外側の下にできるくぼみから指4本下の「足三里(あしさんり)」がおすすめです。

PROFILE

中医学講師菅沼 栄 先生

1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。
1979年、来日。
1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。 主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)など。

MEMBER登録募集中!

会員登録で、健康と美容に役立つメルマガ配信、こころとカラダを元気にする耳寄り情報、イベントやクーポンなどメンバー限定企画をお届け!

お名前とメルアドで簡単入力!
登録は無料です♪

会員登録