温める?or冷やす?春に起こりやすい頭痛のタイプ別ケア - 漢方・中医学の情報サイト|COCOKARA中医学

STUDY中医学の基礎

温める?or冷やす?
春に起こりやすい頭痛のタイプ別ケア

2018.02.20 UPDATE

監修:車田 光穂 先生(中医アロマセラピスト)

気候や生活環境の変化によって自律神経の働きが乱れやすい春。自律神経の乱れは頭痛を引き起こす要因の一つです。

西洋医学的にみると、頭痛には「片頭痛」、「緊張型頭痛」、「群発性頭痛」の3タイプがあげられます。これらは一次性頭痛と呼ばれ、日々慢性的に起こります。
一方、二次性頭痛といって、脳出血や脳腫瘍といった命に関わる病気が要因となって引き起こされる頭痛もあります。普段頭痛がない方でも起こるので、いつもと違うという違和感を感じたら、すぐ病院で診てもらって下さい。

この記事では、中医学で対象となる「一次性頭痛」にスポットを当てて、頭痛のタイプをご紹介します。

外感タイプと内傷タイプ

一次性頭痛は「外感」と「内傷(ないしょう)」の2つに大別され、それぞれの中でまた細かくタイプが分かれていきます。
外感頭痛は急性、内傷頭痛は慢性のものと捉えるとわかりやすいかもしれません。
【外感タイプ】
外部の邪気を受けることによって発生するもの。季節の変わり目や気象状況に左右される事が多く、突発的です。
外邪には「風(ふう)」、「暑(しょ)」、「寒」、「湿」、「燥」、「火(か)」の6つの邪があります。ほとんどの外邪は風に伴われて体内に侵入してくるため、「風邪(ふうじゃ)」が他のどの外邪を伴うかで、頭痛の症状に差が出ます。
また、この外感タイプの場合、頭痛以外の症状も頭部に集中することが多くあります。
【内傷タイプ】
臓腑の機能失調によって現れる頭痛。頭痛に関連する主な臓腑として「肝(かん)」(肝臓)、「脾(ひ)」(胃腸)、「腎」があげられ、その中でも一番多く関連がみられるのが「肝」です。
肝は気の巡りを司り、さまざまな代謝機能を影で支えている臓腑です。また、自律神経系とも関わりが深く、身体がストレスを受けると真っ先にダメージを受けやすい臓腑でもあります。
上記2つのタイプは混ざりあうことも多く、体質的要因があるがゆえに、外的影響を受けやすいというパターンもよくみられます。たとえば、ストレスフルな人(内傷)が春や秋といった季節の大きな変わり目の気圧の変動が激しい時(外感)に頭痛を引き起こしやすいなどがその例です。

8つのタイプ別体質チェック

それではさらに頭痛のタイプを細かく分けてみたいと思います。
【外感タイプ①:ひえひえ頭痛(風寒(ふうかん))】
□頭以外に、うなじから背中にかけてズキズキと疼くように痛む
□寒気が強い
□風に当たると症状が悪化する
□口の渇きはない
【外感タイプ②:熱っぽい頭痛(風熱)】
□熱感とともに張ったような痛み(重症の人は破裂感を伴う)
□発熱、喉の痛みなどを伴う
□風に当たると症状が悪化する
□口の渇きが強く、飲み物が欲しくなる
【外感タイプ③:ダル重~頭痛(風湿)】
□頭全体が重く締め付けられるような痛み
□食欲がない
□下痢をする
□全身が重だるい
【内傷タイプ①:イライラ頭痛(肝火(かんか))】
□片頭痛であることが多い
□ストレスを受けると頭痛がする
□血圧が高めで目が充血しやすい
□難聴、耳鳴り、便秘を伴う
【内傷タイプ②:おつかれ頭痛(気血不足)】
□疲れると頭痛が起こる
□目眩を伴う
□動悸、息切れ、冷えやすい
□眠りが浅かったり、寝入りが悪い
【内傷タイプ③:ダラダラ頭痛(痰湿(たんしつ))】
□頭重感(ずじゅうかん)が強い
□ダラダラと痛みが長引く
□目眩・吐き気を伴う
□胃上部がつかえる感じがある
【内傷タイプ④:ドロドロ頭痛(瘀血(おけつ))】
□痛みが強く、血管が脈打つ感じ
□いつも同じ場所が痛む
□頭に怪我をしたことがある
□慢性疾患を患っている
【内傷タイプ⑤:エイジング頭痛(腎虚(じんきょ))】
□痛みの弱い頭痛が慢性化している
□目眩・耳鳴りを伴う
□手足の冷え、もしくは火照り、足腰のだるさがある
□物忘れが多い

タイプ別養生法〜中医アロマ編〜

それでは最後に、中医学の観点から精油を使った簡単な養生法をご紹介してみたいと思います。ポイントは温めるのか冷ますのかということ。
温める場合はホットタオル(よく絞ってレンジで温める)、冷ます場合は水で絞ったタオルを使いましょう。
下記を参考にお好みの精油を1種類選んで、水を張った洗面器に1滴垂らし、そこにタオルを浸して使用して下さい。
【外感タイプ:外からやってきた邪は、発散させて叩き出す】 
ひえひえ頭痛
部位:うなじを温める
精油:ジンジャー、シナモン、ユーカリ
②熱っぽい頭痛
部位:額を冷ます
精油:ペパーミント、ユーカリ、ラベンダー
③ダル重~頭痛
部位:デコルテを温める
精油:パチュリ、ペパーミント、レモン
【内傷タイプ:各臓腑に合わせた対処法
①イライラ頭痛
部位:タオルをアイマスクにして冷ます(目に当てられない状況の時はこめかみに当てる)
精油:カモミールローマン、ゼラニウム、フランキンセンス
②おつかれ頭痛
部位:デコルテ全体を温める
精油:マージョラムスイート、フランキンセンス、マンダリン
③ダラダラ頭痛
部位:背中の真ん中あたり(胃の上部)辺りを温める
精油:パチュリ、フランキンセンス、サンダルウッド
④ドロドロ頭痛
部位:うなじから肩にかけてを温める
精油:フランキンセンス、ローズマリー、レモン
⑤エイジング頭痛
部位:腰を温める
精油:フランキンセンス、ローズオットー、ローズウッド

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この記事を監修された先生

中医アロマセラピスト車田 光穂 先生

車田 光穂(くるまだ みつほ)
登録販売者、国際中医専門員、中医アロマセラピスト、日本中医薬研究会会員店にて3年間勤務。その後イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学び、イスクラ薬局六本木店の店長を経て独立。現在は東京・南麻布にて「漢方四月一日庭(つぼみてい)」の庭主として、漢方薬だけでなく、食事、アロマセラピーなどの養生法を適材適所で使い、心地よい生き方を提案している。