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美肌のカギを握る「血管力」

2017.04.04 UPDATE

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

楊暁波先生の中医美容レッスンvol.13

知ってた?美肌のカギは「毛細血管」にあり!

日頃のお手入れはしっかりしているのに、肌の調子がなかなか良くならない。そんな悩みを抱えている人は、“カラダの内側”のケアにもぜひ注目を! 肌と血(けつ)の密接な関係を知って、イキイキ輝く健やか美肌をめざしましょう。

毛細血管と肌の深い関係

皮膚は、毛細血管が密集している器官です。毛細血管の主な働きは、血に含まれる栄養や潤い、酸素などをすみずみの細胞に届け、不要になった老廃物を回収すること。
こうした働きを微小循環(びしょうじゅんかん)といいますが、微小循環がしっかり働いていれば皮膚にも栄養や潤いが十分に行き届き、新陳代謝も活発になって、健やかな肌が保たれます。
反対に、微小循環が十分に働いていないと、皮膚の栄養や潤いが不足しがちになり、老廃物も溜まりがちに。その結果、乾燥やしわ、くすみといった肌の不調が起こりやすくなるのです。
■「十分な血量」「サラサラ血流」が元気な毛細血管の基本
毛細血管の働き(微小循環)を支えているのは、体内を巡る「血」です。血の量が十分にあって、血流がスムーズに保たれていれば、微小循環はしっかりと働きます。
ところが、過労や胃腸機能の低下、偏食などのアンバランスな食事が続く、不規則な食生活などが原因で「血虚(けっきょ:血の不足)」の状態になったり、緊張やストレスから「瘀血(おけつ:血行不良)」を招いたりすると、血が毛細血管まで十分に巡りません。すると、微小循環の働きも落ちて、肌の不調が起こりやすくなるのです。
女性は生理や出産があるため、血との関わりも自然と深くなります。気づかぬうちに血虚や瘀血を招いていることも多いので、肌の不調を感じている人はこの機会にチェックしておきましょう。
■「血虚」「瘀血」ってどんなこと?
「血虚」は、体に栄養を届ける「血」が不足したり、「血」の質が悪くなった状態を指します。生理トラブルとの関わりも深く、めまいや睡眠トラブル、動悸や息切れなどの全身症状とも関連しています。美容面では、細胞への酸素や栄養分の補給が不足しやすいため、肌荒れやしわ、乾燥などの原因となります。
「瘀血」は、血流が悪くなった状態のこと。瘀血の特徴として“しこり”“痛み”“黒ずみ”が挙げられますが、筋腫や頭痛、肩こり、アザなどと関連しています。美容面では、血流が悪いため、老廃物が肌にたまった状態になりやすく、しみやくすみ、目の下のクマの原因となり、肌の透明感が失われてしまいます。

あなたの血は大丈夫?「血虚」「瘀血」をセルフチェック!

血虚や瘀血の状態になると、肌だけでなく、心と体のさまざまな不調につながるので要注意。気になる項目が【3個】以上ある人は、積極的にケアをして健康美肌をめざしましょう。
【血虚】
<美容面の症状>
□血色が悪い
□乾燥しやすい
□肌荒れ気味
□ツヤがない
□シワっぽい
□爪が割れやすい
□髪がパサパサで、脱毛や白髪が多い
<生理の症状>
□生理が遅れ気味
□経血量が少ない
□経血の色が淡い
□生理期にめまいがする
□生理期に腰がだるい
□生理期に眠い
□生理期に集中力が低下する
<全身の症状>
□疲れ目になりやすい
□夢をよくみる
□眠りが浅い
□こむら返りしやすい
□動悸がする
□息切れがする
□めまい、立ちくらみがよくある
【瘀血】
<美容面の症状>
□顔色が黒ずんでいる
□しみ、くすみがある
□目の下のクマが気になる
□アザができやすい
□舌に瘀斑・瘀点がある
□舌の裏側の静脈が腫れている
□唇が黒い
<しこりの症状>
□子宮筋腫がある
□子宮内膜症がある
□卵巣嚢腫(のうしゅ)がある
□乳腺症がある
□腫瘍がある
□ポリープがある
□メタボリックシンドロームである
<痛みの症状>
□肩がこる
□頭痛持ち
□生理痛がある
□経血に血塊がある
□腰痛がある
□関節痛がある
□神経痛がある

“補”と“通”のケアで、カラダの中から健やか美肌に!

「血虚」を改善するすためには、不足している血を補う“補(ほ)”のケアを、また「瘀血」が気になる人は、滞った血流を通じさせる“通(つう)”のケアを心がけることが大切。それぞれのケアに応じた食材やサプリメント、中医スキンケアなどを上手に使い、体の中と外、両面から肌を健やかに整えていきましょう。

 

【血虚:“補”のケア】

<おすすめ食材>

えび、トマト、にんじん、赤ピーマン、牛肉、豚肉、レバー、魚、卵、うなぎ、しじみ、ほうれん草、かぼちゃ、山芋、りんご、バナナなど

 

<おすすめのお茶>

ミルクティー、人参ウーロン茶、ほうじ茶 など

 

<暮らしのポイント>

◎胃腸の調子を整える

血を補うためには、元気な胃腸でしっかり栄養を取ることが大切です。冷たい飲食、暴飲暴食、偏食などは胃腸の負担になるので気をつけて。

 

◎過労や目の疲れに気をつけて

目の酷使、過労、睡眠不足などは、血を消耗する原因となります。スマホの使い過ぎにも注意して、夜はしっかり睡眠を取るよう心がけましょう。

 

◎運動は体をほぐす程度に

ヨガやストレッチなど、体をほぐす程度の軽い運動がおすすめです。汗を大量にかくような激しい運動は、血の消耗にもつながるので要注意。

 

 

 

【瘀血:“通”のケア】

<おすすめ食材>

青魚(さば、いわし など)、にんにく、たまねぎ、しょうが、唐辛子、にら、サフラン、トマト、黒酢、桃、赤ワイン など

 

<おすすめのお茶>

玫瑰花(マイカイカ)茶、ウコン茶、プーアール茶 など

 

<暮らしのポイント>

◎ストレスを溜めない!

「気」のエネルギーは血流をサポートしているため、ストレスで気の巡りが悪くなると、血流も滞りがちに。ストレスを感じやすい人は、こまめな発散を心がけましょう。

 

◎適度な運動で血行を促す

ウオーキングや水泳など、適度な運動を習慣にして血行を良くしましょう。肩こりや頭痛が気になる人は、ストレッチでこまめに体をほぐすことも意識して。

 

◎入浴で気血の巡りを良く

体をしっかり温めて、血行を促しましょう。気持ちをリラックスさせれば気の巡りも良くなるので、ゆっくり温まる半身浴もおすすめです。

 

こうした肌ケアは、中医学で“補血排毒養顔(ほけつはいどくようがん)”と呼ばれています。体を健やかに整え、内側から美しさがあふれ出す健康美肌づくり。年を重ねて肌の不調をあきらめていた人も、ぜひ取り組んでみてください。

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この記事を監修された先生

中医学講師楊 暁波 先生

楊 暁波(よう きょうは) 中医学講師。
不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。1984年雲南中医薬大学医学部卒業。94年埼玉医科大学客員研究員として来日、96年日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。共著に「やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法」「やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科」(ともに文芸社)「イスクラ中医学入門「1」中医基礎学」、「同「2」中医診断学」(ともに日本中医薬研究会)、「[簡明]皮膚疾患の中医治療」(東洋学術出版社)など